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言葉の羅列から生まれるストーリー

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言葉の羅列から生まれるストーリー無造作に無作為に言葉を羅列するそのままの順番でストーリーを作る
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#眠れない夜に

深海の光

息継ぎを忘れた魚のように 尾びれを揺らして眠りにつきたい 忘れがちな記憶と生命力は 透けて見えなくなってしまっても それでいいんだ。 大人になろうとすればするほど 上手に泳げもしない私を、残酷で冷酷な目で見てくる。 見たかった風景は美しくて好きだけど 少し疲れた私は水面に浮上する。 そのことがとても虚しくて、悲しくて まるで売れ残りの魚のように息絶えるようだった。 「おはよ」って優しい色の海に言えなくなってからは 正解を探して、空を眺めている。 私の切り取った輝かしい過

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

休息の花

まだ寝てていいよ、安心できるこの場所で 夢の続きを見よう、まだ起きなくていいから。 振り向いた先には、頑張って頑張って一人ずっと頑張って 認められたくて、もがいて、一度壊れた君がいて 夢を叶えたって、息をしたって、うまく笑えない君は 「神様は、笑ってくれない」って泣いていた 運命は変わらなくて、過去に戻ってもきっと同じことの繰り返しで 最高に自分を好きだったあの頃を、今でもあんなに執着してしまって ぐちゃぐちゃの泣き顔は、優しい君のままなんだけど 君は君の優しさで、押しつ

夜明けの猫と消えた鳥

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 闇夜を歩く猫、湧き水で遊んだ帰り迷子のようにキョロキョロと周りを見渡す鳥を見つけた。その姿は今にも消えそうなほど細く弱々しく、そのまま彼は扉の前で弧を描くようにうずくまってしまった。 それでも視線だけは何かをとらえ、足先は震えているが何かの到着を待ちわびているようにも見えた。風が彼を容赦なくたたきつける。古びた街灯から猫は様子を伺う。夜明け前の薄暗い

左目の言葉たち

「先生、質問です」そばにいるだけでよかったけど、 私の心の原石は、音もなく崩れていく 映画を見に行こうって待ち合わせた昼下がり、 最初の言葉に愛があふれる 手のひらに書いた「人」の字を左目だけで見つめる 姿勢の悪い先生の授業の中の長い沈黙がすき 帰り道の鳥居、小さい頃よく来た懐かしさに浸る 手を添えてまた明日 つま先に力を入れて、遅刻寸前の坂道を走ろう メガネ姿に細い目の先生と話したくて、制服のスカーフを直す 三本目の木の下、街路樹にいる先生の仕草が無邪気で そして穏や

透明な記憶の夢

思い出される記憶はすべて無色透明だった。 素朴なあいつの顔が浮かぶ。 朝ごはんを食べるのは決まって 太陽が西に沈む時間だった。 砂を食べているように味がしない事も、 不規則な生活も、すべては心の痛みから始まる。 あの頃の葛藤に比べれば 波が引いたように静かになった。 いつかの約束を紙一面に書きだす。 頭の中は架空の世界でいっぱいだ。 その世界に入るための鍵は ぐっすり眠ることにある。 彼の動くことのない決意を 小指でなぞる。 光のような存在の彼の背中には ドーナツのよう