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言葉の羅列から生まれるストーリー

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言葉の羅列から生まれるストーリー無造作に無作為に言葉を羅列するそのままの順番でストーリーを作る
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#愛

花かんむりと優しさ

朝の清々しい空気の中、私たちはピクニックに出かけた 食後の紅茶の香りが漂う中、優しい空を見上げる 花冠をつけた君が欠伸をしている姿に微笑みがこぼれた 眠気で温かい体温を上書きするようになぞる指先 私だけが知っている君、瞬きの回数でわかる気持ち 平熱に戻るまで夢の中にいることを知っている 眠る前に言えばよかった、瞬きの答えを。 夏の日差しが君を溶かしてしまうまでは 日陰よ、どうかそのままでいてほしい 君の安らかな寝顔を見つめた 偶然飛んできたアゲハ蝶が舞い踊ると花が揺れ 君

飴色の夕焼け

空が遠い。僕には手の届かない場所。 陽が落ちるこの時間帯は、なぜ物悲しい気持ちになるのだろう。 まだ落ちないで太陽よ、月よあと少しだけ待っててよ。 見送りたくて、バス停まで君と肩を並べて歩く。 話したいことが頭の中で文字になって舞い上がっている。 ふわふわする頭と心と足をどうにか地につけて、 消える太陽を見る君を僕はのぞき込む。 夕日が反射する美しい瞳に何かが割れる音がした。 ふわりと体が浮くような感覚に、胸が痛みだした。 飛び回る鳥を見て僕も一緒に飛びまわれたら この痛

うつろい儚く散れますように

声が、声が。出そうとしているのに出てこない。どうしてこうなったのか全く覚えていないけれど、私はどうやら死んでしまったようだ。そして病む私。死んでも病んじゃうんだ、つらい。 目の前には夫が私の名前を呼びながら泣いている、ねぇ私ここにいるよ? もう何十回何百回、いや何万回と叫んだけど私の声は届かなくてそれでも彼の時間は進み続けることに後悔している。 知らなければよかった、あなたがこんなに私を思っていただなんて。私が死んで20年。変わらず私を愛してくれている。なんでそこまで私にこ

赤い靴の夢幻

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 赤い靴を履いた少女は砂時計を片手に少年の前に立つ。曲がったネクタイを整えて、さぁ映画館に入ろうか。 まるで熟したトマトのような色の靴は映画のシーンとともに、かわるがわる色を反射する。一コマ一コマを堪能するように靴もそれに応えるように。 透明な吐息は鋭い映像と同化し、まるで蝶が回っているように両方のスピーカーから聞こえる音は儚げだった。私ルールに縛られた

遠くへ消えた微笑み

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 神様。どうか私に微笑みをください。 この吐露する思いは、苦いチョコレートのようだった。後味の少し悪い大人の味だけど、慣れてしまえば甘く感じるあの感覚。 あなたの背中を追いかけていた小学生のころは、静かに紙飛行機を飛ばして遊ぶような子供ではなく、常に楽しそうな明かりを追い求めて走り回っていた。欲しいものは誰にも言わない。言ってしまうと無くなるんじゃない

左目の言葉たち

「先生、質問です」そばにいるだけでよかったけど、 私の心の原石は、音もなく崩れていく 映画を見に行こうって待ち合わせた昼下がり、 最初の言葉に愛があふれる 手のひらに書いた「人」の字を左目だけで見つめる 姿勢の悪い先生の授業の中の長い沈黙がすき 帰り道の鳥居、小さい頃よく来た懐かしさに浸る 手を添えてまた明日 つま先に力を入れて、遅刻寸前の坂道を走ろう メガネ姿に細い目の先生と話したくて、制服のスカーフを直す 三本目の木の下、街路樹にいる先生の仕草が無邪気で そして穏や