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言葉の羅列から生まれるストーリー

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言葉の羅列から生まれるストーリー無造作に無作為に言葉を羅列するそのままの順番でストーリーを作る
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2024年6月の記事一覧

花かんむりと優しさ

朝の清々しい空気の中、私たちはピクニックに出かけた 食後の紅茶の香りが漂う中、優しい空を見上げる 花冠をつけた君が欠伸をしている姿に微笑みがこぼれた 眠気で温かい体温を上書きするようになぞる指先 私だけが知っている君、瞬きの回数でわかる気持ち 平熱に戻るまで夢の中にいることを知っている 眠る前に言えばよかった、瞬きの答えを。 夏の日差しが君を溶かしてしまうまでは 日陰よ、どうかそのままでいてほしい 君の安らかな寝顔を見つめた 偶然飛んできたアゲハ蝶が舞い踊ると花が揺れ 君

深海の光

息継ぎを忘れた魚のように 尾びれを揺らして眠りにつきたい 忘れがちな記憶と生命力は 透けて見えなくなってしまっても それでいいんだ。 大人になろうとすればするほど 上手に泳げもしない私を、残酷で冷酷な目で見てくる。 見たかった風景は美しくて好きだけど 少し疲れた私は水面に浮上する。 そのことがとても虚しくて、悲しくて まるで売れ残りの魚のように息絶えるようだった。 「おはよ」って優しい色の海に言えなくなってからは 正解を探して、空を眺めている。 私の切り取った輝かしい過