マガジンのカバー画像

時計の契約(コントラクト)

26
5歳の時、颯空(そら)はじいちゃんを亡くし、その深い悲しみに心を閉ざしていた。しかし、一冊の不思議な本と共に彼の人生は大きく変わり始める。 失われた家族への思い、過去への後悔、そ…
運営しているクリエイター

#魔導書

時計の契約:第5章21時

21時:過去と未来を繋ぐ 「ちょっとまって、君!!僕たち怪しくないからー」と怪しさ満点で追いかけるが、体力がかなり消耗されているので二人ともフラフラだった。その先には深い森が見える。その奥に少女が入っていったので追い抱える。その時、悪魔たちが俺たちに忠告をした。 「ここからは危険だ。」その言葉にほっとする俺がいた。ゼー、ハー、と息が整わないでいると、遙が口を開いた。 「なんで追いかけたんだっけ」その言葉で俺たちは笑ってしまった。確かに、あの本が探している本だという保証は一ミ

時計の契約:第5章22時

22時:共鳴する記憶 これで全ての文字がそろった 「ア・マ・ル・ヴォ・ラ・ヴィ・ナ・レ」 意味は全く分からない。白い悪魔が口を開けた 「この呪文は一度のみだ。正しき言葉を導き出した時、本の力を解き放ち、この世界が解放される」続けて黒悪魔が口を開く。 「間違えてしまえば、全員消えてなくなるだろう、お前たちもそして、俺たちも」 その言葉の重さに息をのんだ。たった一度きり。俺たちは文字のパズルを一回で当てなければならない。全く意味が分からないパズルを見てくじけそうになる。俺たちは

時計の契約:第5章23時

23時:時の結び目 「そして、家で怯えていた時に時の本が俺の憎悪を感じ俺を喰らったんだ」悪魔たちはそうやって本の中に閉じ込められてしまったようだ。その記憶を辿ると、暗闇の中に取り残されたような孤独感が包み込んだ。だから、退院して連れて帰ってからすぐ居なくなってしまったんだね。 あぁ、俺はまた何も知らずにのうのうと生きていたのか。深い傷をさらにえぐられる気分だった。過去の出来事を振り返り、自分が何も知らずに過ごしてきたことに対する悲しみと後悔が胸に広がるのを感じた。静まり返っ