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明日も頑張ろ

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大丈夫 あなたは素晴らしい 明日が遠く感じるあなたへ
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#小説

寂寥

ぼんやりと月を眺める。 まん丸の月は満面な笑みで、微笑んでいるように見える。 私も思わず笑って、忘れたい感情を滲ませる。 泣けば泣くほど、不思議と笑顔になって空を見上げるのが こんなにも気持ちが良いなんて初めて知った。 昨日までの感情は地上へ残し空へと舞いあがりたい気持ちだ。 地上に残した感情の名前を知りたくて辞書を引いてみるんだけど 何が当てはまるのか分からなかった。 せめて答えだけでもわかったなら、心のざわつきも 少しは落ち着きそうなんだけどな。 映画なんてほとんど見な

夜の01:08、魔法のライブ

春の風がそよそよと吹く夜、窓辺に佇む彼女はスマートフォンを手に01:08を待つ。今宵も、彼女の日課が始まる。その世界には顔も知らない、どこかの誰かの何気ない日常が小さな花を咲かす。 毎晩01:08から始まるライブ。たった一人か二人のファンのため、彼は歌い、語りかける。彼の優しい声が、寂しい夜を包み込む。彼女は居場所を求め、その時間に思いを浸す。 今日もやってくるいつもの時間。ささいな日常の話しから始まり、心の奥底に触れる言葉を綴る。時間はゆっくりと流れ、彼女はその音色に耳

赤い金魚と僕の物語り

風が止み、夕焼けが空を染める頃、静かな町の一角に佇む古びた家。 早くに両親を亡くし、姉は嫁ぎ、広い家にただ一人。生きるために生きている。三十路を目前にし、僕は考えることを諦めていたそんな人生について向き合っていた。金魚鉢の前に座り、水槽の中で穏やかに泳ぐ「金魚」に話しかけて。それは、投影していたのかもしれない。金魚鉢で飼いならされる金魚と僕を。 姪っ子がお祭りで手に入れたその金魚は、飼い猫を理由に僕のもとへと託された。とても小柄で泳ぎ方が少しだけ変な真っ赤な金魚。定期的に水

怪獣の挑戦(仮)

暗闇の中に立ち尽くす彼女は 内なる怪獣との戦いを知っている 心の中、私の存在を否定するものに 彼女は自らの光を探し求めて、戦う 黒く彷徨う影が彼女を包み込み 絶望の嵐が彼女の心を襲う それでも、立ち上がる 不安と孤独にくじけそうになっても 怖れに立ち向かうその勇気は ちっぽけかもしれないけど 彼女の心には光り輝くものがある それは暗闇でも光る星々のように 闇が再び訪れようとも 彼女は決して屈しない 内なる勇気と希望が彼女を永遠に導く 彼女の中で眠る怪獣が力に変わる時

無限の乾杯

小さな君が口にする「かんぱい」 周りを笑顔に彩る魔法の言葉 未熟なるお父さんも、君の前で 失敗を乾杯する勇気を知る 君の笑顔は無限で 何事も「かんぱい」と 心に勇気を注ぐ お父さんの背中に感じる 君の純粋な愛と力 未来への歩みを励まされ この無限の力は 愛と笑顔に満ちて 君のそばにいるから 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 子供 × 乾杯 言葉を覚えたてのこどもは とても純粋にことばを遊ぶ 何気ないことばに 勇気と愛をもらって お父

しゃぼん玉

人生でたった1日だけ しゃぼん玉を2時間ふいた いい年の大人が 黙々と、ただ一人で 心が壊れてたんだ 自分でも気づかないほど 魂も飛んで行ったんだ 私がしらないあいだに しゃぼん玉にのせて 悲しみも苦しみも しゃぼん玉のように ふわふわとどこまでも ずっと飛んでいった先で 静かに消える そっと、悲しみも消えればいいのに あとがき 実話。

スニーカーの合図

サイズ違いの2足のスニーカー エヴァみたいってはしゃいだね 今日はどこまで行こうか スニーカーを持つ手が二人の合図 暗闇に溶ける前に 二人の時間を、足元に灯す 星空の下、足跡は暗闇を彩る 心が近づく、その一歩一歩 会話は深く、風が耳をなでる 夜の静けさが心地いいね おそろいのスニーカーが 二人の絆を深める 夜のジョギング、 特別な時間を共に駆け抜ける アスファルトのざらつき 君の笑い声が、夜空に響き渡る スニーカーの色が、街灯に反射して輝く 夜風が運ぶ、海の塩の香りが近

想い羽

羽ばたくその姿は美しく 想いが空高く舞う 夢と希望の軽やかな羽音が 心に静かな歓びを奏でる 枯れた大地に生まれた花のように 愛と喜びで満たされた羽根が 空を舞い、 空を満たす そよ風に乗って、永遠の空へ 想いは風に乗り 空に輝く星のように輝く 想い羽は自由の象徴 未来への夢を運ぶのだ 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 想い × 羽 想いがあると 強くなれる 誰かへの想いなのか 夢への想いなのか あなたの情熱が 想いとなり 夢とな

重い羽

背負うその重みは 沈みゆく心を押し潰す、過去の傷 前への進みかた、未来への不安が 背負った石のように重く 羽根は枯れ、折れ 羽ばたくことも忘れた 空への渇望は遠く 地に足をつけたまま 重い羽、苦しい舞い 進むこともできず ただ立ち尽くす、息もできず 自らの枷となった しかし、日々の重荷を乗り越え 羽根が再び生える日が来るならば 重い羽も軽くなり 空への夢を取り戻せるかもしれない 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 重い × 羽

不完全なパズル

ジグソーパズルのピースが一つ足りない それはまるで、私のよう 何かが欠けている、心の隅に 風景はほぼ完成しているけれど 最後の一片が見つからない 探し求める旅は続く 欠けた部分を埋めるために 一つ足りないピースは 私の中の空虚を映し出す 満たされない思い、静かな叫び 完全なるものへの渇望 だけど、その欠けた部分が 私を独特な存在にする 完璧ではないからこそ美しい 不完全な世界の中で、私は私

資料の山の冒険

朝の光が窓を叩く、 急ぐ足音、時計の針は待たない。 机の上、散らばるページはどこへ? 大事な会議、心はもうそこに。 だけど、ああ、小さな手が いたずらに変えた物語。 資料の山は絵本に、 娘の笑顔、心を溶かす魔法。 コーヒーカップは手に震え、 落ち着かない、まだ温もりを感じて。 彼女の無邪気な瞳は、 父の心を癒す、甘い朝の光。 絶望と微笑み、交錯する感情、 娘の愛らしさに、怒りは消えて。 今日の会議、何よりも大切な、 小さな手と、その絵本の物語。 あとがき 小さい子供

泣き虫の笑顔

ケーキ屋の扉を開けて 泣きながら入る女性 しくしくと涙を拭いながら ひとつのケーキを選ぶ 何があったのか どんな思いが彼女の心を 揺さぶったのか ケーキの甘い香りが 彼女の心を包み込む 少しでも安らぎを与える そして、彼女は再び 外の世界へと歩みを進める 泣き虫の心に ほんの少しの笑顔を届けて 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 泣き虫 × 笑顔 20歳ころ働いていた会社のアラフォーの女性は 田舎だけどいつも素敵な身だしなみで バ

86%の彼

放課後の教室 この後どこ行くかワイワイ話してる いつもの光景、いつものメンバー 女の子2人男の子3人は中学からの仲良し5人組 私の居場所だ 彼はいつも通り私の隣の席に座っていた 「今日はいい天気だね」私に話しかける 「カカオ86%だよ。君の好きなやつ」 彼はそう言って私にチョコを渡す 彼は私の目を見て笑った この少年のような笑顔に私は弱い。 中学の時から身長が20センチ伸びた彼は サッカーをしていたから筋肉もあって 更に優しい。 学校でモテモテだ。 そし

22:30リセット

今日の終わりに、 アラームをセット 時計の針は22:30を差す 静かなリセット。 お疲れ様、わたし、 一日の重さを脱ぎ捨て、 枕に頭を預ける至福の時間 夜の静寂が包み込む、 テレビも音楽もない空間が 心のざわめきを静め、 今日という扉を閉じる。 また明日、新しい私が待っている 今宵はゆっくり休んで、 明日を迎える準備を。 おやすみなさい、わたし。 心のリセット。 あとがき 今日も一日お疲れ様でした どんな一日でしたか? 何時にベッドに入りますか? アラームは何時に