見出し画像

狄村(えぞむら)〜外浜や平内にいたアイヌの人々


奥内に妻の実家があるのですが

むかうと

その途中にはアイヌ由来の地名とされるところが多くあります。

先ずは
田沢 たざわ、タンネナイ ( 長い沢 ) 
夏井田 なついだ、ナッ・イ・コタン( 流れ〈川〉に沿う村 )
瀬戸子  せとし セトウシュ・ナイ( 鳥の巣多き処 )
奥内 おくない オク・オマプ・ナイ ( 機弓を置く沢 )
前田  まえだ マツ・タ・ウシ・イ( ハマナスを取る沢 )
内真部 うちまんぺ ウ・チ・イマニツ・ペッ ( 我等の魚焼串を取る川 )
後潟 うしろがた オショロ・カタ( 湾の上手の原 )

さらに280号線の上磯を北に向かうと

平舘の「宇田」うだ はアイヌ語の「オタ」(砂、砂浜)

今別に「袰月」、ほろずきは「ポロ・トゥキ」(大きい・坏(つき))

などなど

アイヌの人々の民族文化に由来する地名が道の奥に残されています。

その昔、アイヌの人々と我々の祖先はどのように暮らしていたのでしょう

そんなことをふと思います。

調べてみたら

江戸時代の北奥に生きた本州アイヌと呼ばれる人々が、
弘前・盛岡両藩に津軽アイヌ・下北アイヌとして支配され
彼らの集落(アイヌコタン)が津軽半島や夏泊半島、下北半島の各地に確認されているそうです。

近世の北奥地域は
本州で唯一アイヌと和人との共存が確認できる地域と言われていると知りました。

弘前・盛岡両藩領に居住したアイヌは
それぞれ「津軽アイヌ」「下北アイヌ」と呼ばれ、
「本州アイヌ」と総称され

両藩はアイヌを藩政のもとに編成
直接的支配体制を行なっていたそうです。


1645年(正保二年)の
陸奥、津軽が描かれた青森県立郷土館が所蔵する絵図には

津軽半島に2カ所、夏泊半島に「伏村えぞむら」が記されており、
近世初期段階でのアイヌの居住が確認でき

状村には、ほかの村落と異なり、村名と村高が記されておらず実体は定かでないとされます。

弘前藩の編集した『津軽一統志』には、
1669年(寛文九年)頃の
津軽半島のアイヌ居住地と家数の状況が次のように記録されているんだそうです。

宇田村一軒、ほこ崎一軒(以上外ヶ浜町平舘)、
五生 塚村二軒、砂ヶ森村六軒、月村一軒、 小泊(大泊)村四軒、山派(大川平)村一軒(以上今別町)
松ヶ崎村九軒、六条間村二軒、藤嶋村一軒、釜野沢村三軒、宇鉄村四軒、竜飛村一軒(以上外ヶ浜町三厩)。

このことから、津軽半島北端の広い地域に、アイヌの居住集落 (コタン)が存在していたとされています。

津軽アイヌですが

蝦夷地アイヌと異なり、伝統的な山野河海での狩猟・漁撈を生業とすることはなかったようで

生業として、津軽半島と対岸の
松前藩領を船で貨物を輸送する要員として動員されてたようで
和人の漁民や商人とほぼ同様な、海での漁業や廻漕業、畑作農耕に従事していたと考えられています。


ところで、弘前藩の日記には、
しばしば、アイヌ首長層が藩主に謁見する「ウイマム」(御目見)についての記述が登場

ウィマムでは、アイヌには「狄装束えぞしょうぞく」着用が強制され、海産物・膃納臍オットセイ・熊皮ゆうひ(熊の皮)・熊胆ゆうたん(クマ由来の動物性の生薬)などの献上が義務づけられており、謁見が終われば、

藩主がアイヌに酒を振る舞い、米・銭を分け与えたそうです。

「ウイマム」は弘前藩とアイヌとの間に上下関係があることを確認する政治的儀礼として制度化され、アイヌは藩の要求に従うことを強制されていったそうです。

やがて、一八世紀以降、アイヌ居住地に和人が急速に増加してくると、アイヌの居住空間も狭くなり、和人との同化が加速

弘前藩は、1756年宝暦六年と1809年文化六年の二度、
アイヌを和人人別帳に強制編入、百姓の身分化する同化政策を推進したそうです。

同じようなのことは下北アイヌにも行なわれ北奥地域に関する記録には、

地域にとけ込みながらもアイヌの民族文化を保持する人びとの姿が残されています。

また、地域の和人民衆がアイヌ文化を日常的に受け止めていたことをうかがい知ることができるのだそうです。

 しかし、このような関係は、一朝一夕につくられたものではない
そのように歴史は伝えています。

時には厳しく対立し、衝突する場面もあったそうです。

その一つが1669年(寛文9年)6月、蝦夷地南部で起きたシャクシャインによる和人襲撃事件

交易・漁業・労役をめぐって、和人がアイヌから搾取するケースも多くあり、そうした和人への不満が一気に噴き出した事件

おそらくいろいろなことがあって今があるのだそのように思います。


記事作成、青森・東津軽の歴史 郷土出版社
掲載文転載 青森・東津軽の歴史  p122市毛幹幸 郷土出版社

記事参考 アイヌ語と津軽半島=15市毛幹幸

記事作成編集 鈴木勇(サイゴン、わやわや店主)







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?