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深く呼び求める言葉を

よくわすれる
それはそこに見えるものなのに名前をわすれている
それは形も名前もわかるのに場所をわすれている
その道端にあるネギやニラに似た草の名が思い出せない
浮かんでくるひとつの音(おん)にとらわれる
根元から摘んだ草のその強い香りは教えてくれない
脳の中を探っているのだろうけど何もみつからない
その草の名は
その名が呼ばれ交換された庭に埋まっている
だからその土を踏めば思い出すことができる
ならば 
探しているあのモノはどこにあるのか
とらわれているひとつの場所の
あらゆる影をひっくり返してもどこにもみつからない
モノの居場所は
それはひとつの文字列のなかに埋まっているのだ
だからその文字列を踏めばいい
その言葉を深く呼び求めることだ
それが うたうこと書くことだ



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