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「同時季出現性雑草」と言う考え方、上代の歌と野菜や農具のこと他

「鉄の古代史(奥野正男)」には、遺跡から出土した木器の話も出てきます。菜畑遺跡から出土した諸手鍬は平鍬、片刃鍬は三角鍬に形が似ています。

「九州北部の木製農具は、板付遺跡、菜畑遺跡例などにより縄文時代晩期~弥生時代前期末に、諸手鍬による耕起、又鍬による砕工、エブリによるかき鳴らしと言う三段階に必要な農耕具が揃う」

と書かれています。

ここで思い出すのは、日本書紀に仁徳天皇の歌として出てくる「みねつう山背女、木クワに掘りし大根の」と言う歌です。

この歌には「女性が木のクワで大根を掘り出した」と言う農作業の描写が出てきます。

「鉄の古代史」では、弥生時代の植物性食物について、例えば、亀井遺跡から出土例として、「炭化玄米や籾殻だけでなく、ヒョウタン、ウリ類、エゴマ、小豆などのような栽培植物の遺体も出土しており、スベリヒユやオオモミなど何種類かの畑地雑草や畦畔雑草も出土している」と述べています。

一方、木製農機具については「菜畑遺跡の木製品は、木製品の加工技術が既に稲作農耕開始期に完成された水準で移入されている事を明らかにした」

としています。

亀井遺跡から出てきた小豆のような植物は縄文時代から栽培されていたようです。

一方、日本書紀の歌に出てくる大根は、飛鳥時代に中国や韓国から伝わってきたものと思われます。

この頃、「鉄の古代史」の記述と日本書紀や萬葉集、古事記の歌に出てくる食用植物を比較して、なんとなく思うのは、日本書紀、萬葉集、古事記の歌は、当時の最新の食べ物について歌っている、

つまり、縄文・弥生時代にもあったようなものでなく、律令制や仏教など「最新文明」とともに伝わってきた「野菜」について歌っているんじゃないかと言う事です。

木のクワも、段々と先に石器、後には鉄器の刃先をつけるようになっていったと思います。

「女性が木のクワで大根を掘り起こした」と言う歌は、「最近になって中国から伝わってきた新しい野菜である大根を、先に鉄の刃をつけていない、弥生時代の昔にあったような木のクワで、力のない女性が一生懸命掘り起こした場面」を歌ったものと考えると、

上代の歌についても新しい解釈ができるような気がします。

さて、見沼菜園クラブでは先週ぐらいから徐々に里いもの芽が出てきました。

今はほとんど発芽してきたと思います。同時に「メヒシバ」とか「ホナガイヌビユ」のような雑草も見かけるようになってきました。

特にホナガイヌビユは夏場に人の背丈を越えるほどの高さになり、畑を「ジャングル化」してしまいます。

メヒシバも野菜の生育を邪魔しやすいので、里いもの芽の周りのものは除去するようにしています。

ちょっと思ったのは、雑草は種類によって出現する時季が違う、それを野菜が芽が出る時季と関連付けて「同時季出現性雑草」と考える事はできないかと言うことです。

見沼菜園クラブで見ていると、春雑草のナズナ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ツメクサ等は、3月下旬ごろから目立つようになってきました。(それ以前からも生えていたと思います。)

4月半ば頃から「シロザ」が現れるようになりました。

シロザの出現時季は2月まき大根が「うろ抜き」出来るようになるよりちょっと早かったように思います。2-3月まきホウレンソウの収穫時季よりも少し早めでした。

その跡、ツユクサが目立つようになり始めました。これは2月まき大根やカブの収穫ができるようになったのとほぼ同時季だったように思います。

この頃、キュウリ、ズッキーニ、オクラ、モロヘイヤ、空芯菜、ツルムラサキなど、夏野菜の種まきをしました。

ホナガイヌビユやメヒシバが現れてきたのは、その後です。里いもは3月に植えていますが、芽が出てきたのは連休明けです。

そして、里いもの発芽とホナガイヌビユやメヒシバの出現はほぼ同時季(メヒシバを最初に見たのは、里いもの発芽より少し早かったと思います。)

こういう風に考えてみると、ある雑草の出現や繁茂の時季をある野菜の栽培・生育時季と関連付ける事が可能なように思います。

「この草が生えてきたから、この野菜の種まきをしてもよいぐらいの暖かさになっている」とか、「この草とこの野菜はほぼ同時に芽を出してくるから、この野菜を育てる上では、この草の対策が必要」

と言うように、草を野菜栽培の指標として使うことが出来るのではないかと思います。

「メヒシバやホナガイヌビユは里いもの同時季出現性雑草である」

・・・同時季出現性雑草と言う概念を、「たんぽぽ農法」を発展させていく上で考えてみたいと思います。

昨日は最高気温が33℃を超えました。この後、天気が下り坂となり、5/23は最高気温は17℃にまで下がるようです。

2週間予報は5月下旬から6/1にかけて雨にならないまでも曇りの日が続き、最高気温は平年並かやや上回る程度の状態が続くとしています。

しかし、晴れるとかなりの高温になると思われます。「梅雨」と「皐月晴れ」について、改めて考察していきたいと思います。

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