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ツル植物と背が高くなる草は、「共生」している?他

理科の実験と言うと、ガラス器具の中の色とりどりの「水溶液」を思い浮かべる人も多いことでしょう。

あの水溶液の色の濃さと溶液中の物質濃度の関係は、ランバート・ベールの法則に従っています。

私達が見ている溶液の色は、「透過光」と言って、溶液に当たった光が溶液の中で一部吸収されますが、吸収されずに、溶液の外に「透けて」きた光を見ているわけです。

植物生理学の本を読んでいたら、野外の葉の「光合成」について、原理的に同様の法則が成り立っていると言う話が書いてありました。

平たく言うと、葉がたくさんある状態に太陽の光が当たるとして、一部は葉に吸収されますが、下に透けていく光もある、

吸収される光と透けていく光の割合は、やはり「ランバート・ベールの法則」に従っていると言うのです。

こういう話を読んで、面白いと思うのは、やっぱり僕が理工学部化学科出身だからかもしれません。

とにかく、同じ植物体の中で上の方にある葉と下の方にある葉、あるいは背が高い植物と背が低い植物が一緒にある状態だと、

高い位置にある葉がまず太陽光を吸収し、そこを透けていった光が低い位置にある葉に届くことになります。

低い位置の葉に届く光は、もともとの日射しの光に比べて少ない量になるわけです。

ですから、できるだけ高い位置、他の葉によって遮られずに直接太陽の光が浴びられた方が、光合成には有利でしょう。

では、背が高くすればいいかと言うと、そうでもない・・・

植物生理学の本には、ビニールホースの例え・・・ホースを短く切っておけば直立させることができるけれども、長くなってくると直立出来ずに曲がってしまう・・・これを「座屈」というのだそうです。

茎が長くなっても直立しているためには、茎を太く丈夫にしなければなりません。そうすると、光合成産物を「葉」を茂らせる事にだけ使うのでなく、茎を太くすることにも使わなければならない、葉をたくさん茂らせて、光合成をたくさんすると言うのには逆効果と言うことのようです。

ここで植物の種類ごとに、「生存戦略」の違いと言うのがあるようです。

「木」は幹を太くして背を高くし、高い枝に葉を茂らせて光合成をたくさんする方向、

「草」は細い茎でも立っていられる程度に背丈を低くして、その分、茂る葉の量は「木」よりは少ないですが、そういう形を選んだ植物と言うことのようです。

ここで、我らが「ツル性植物」の登場です。

ツル性植物は細い茎で高い位置までいこう、他の植物の茎とか幹に絡まって伸びていけば、自分は細い茎のままで高い位置に葉を茂らせることができる・・・

他の植物に「寄生」する方向を選んだ植物のようです。

また、乾燥気候の地域より湿潤気候の地域で育ちやすい植物でもあるそうです。

これで思い出したのは、夏場にコウゾリナのような地下茎タイプの背が高い草とカナムグラやイシミカワのようなツル性植物が、水路際で絡まって生え、ジャングルのようになってしまう風景です。

水路際は、畑の真ん中の方より、「湿った」環境にあるのでツル性植物が生えやすいのでしょう。(畑の真ん中の方はしょっちゅう耕していますが、水路際は、あんまり耕していない、耕しにくい場所なので生えやすいと言うこともあると思います。)

そして、ツル性植物は、背の高い植物と「共生」と言うか、背の高い植物の「背の高さ」にタダ乗り=寄生しているのでしょう。

こういう場所で刈払機を使うとどうなるかと言うと、コウゾリナのような植物は地上部が刈り倒されても、地下茎は、そのまま残ります。そして、翌年になるとまた生えてきます。

地下茎が生長すると、地上に出る株も増えます。地下茎タイプ・背が高くなる草のジャングル状態が進みます。

そして、ここでツル性植物が、この地下茎タイプ・背が高くなる草に寄生して生えてくるとジャングル化は一層進みます。

こういう風に考えていくと、水路際で刈払機を使うのは、年々、手間を増やすだけで得策でないと言うことになります。

今の時季から5月にかけて、春野菜、夏野菜と次々に種まき、植付けをしなくてはならないので、忙しいのですが、

ちょうど、背が高くなる植物もツル性植物も芽吹いてくる時季でもあります。

見沼菜園クラブでは、昨冬、水路際の地下茎をかなり掘り起こしました。

しかし、残った地下茎もかなりあるようで、また芽吹いてきています。

それらを手間はかかるのですが、一本一本抜き、芽生えてきたカナムグラやイシミカワのようなツル性植物も一つ一つ抜いています。

ただし、他の草は抜きません。放置です。アメリカンフウロみたいな草はそのうち枯れるので、夏場に繁茂することはありません。

こうして、年間を通じて、草取りの手間を徐々に減らしていって、その時間を「本来の業務」=野菜の世話や植付けの方に回そうと言うのが、「たんぽぽ農法」の発想です。

草の名前を覚え、その草が夏場にどうなるかと言うこと、そういう事を理解することが除草の手間を減らしていくことになります。

2週間予報は、ゴールデンウィークにも雨が降る日があるとしています。最高気温も平年並みで、

「暖かい冬と春」から、今度は「暑くない、涼しく湿ったゴールデンウィーク」になりそうです。

とは言え、基本的な気温は維持されているので、野菜はけっこう育ちそうです。

本日は、菜園教室に来た方と一緒にモロヘイヤの種まきをする予定です。

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