環境基本法に限らず、環境関係の法律では、憲法第25条に規定された国民の生活権への寄与を制定目的にあげている事が多いようです。

例えば、水道法第1条

この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。

つまり、公衆衛生の向上と生活環境の改善への寄与が制定目的だと言っているわけですが、

憲法第25条は、

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

に続けて、

第二項で、
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

と述べています。

水道法の制定目的にある公衆衛生の向上は、直接にこの第二項を受けていると思われます。

では、もう一つの制定目的である「生活環境」はどうかと言うと、

生活環境とは、人の生活に密接に関係する財物や動植物の事だと言われています。

例えば、その水でお洗濯したらお洋服が台無しになってしまったと言う場合、そのお洋服は、その人の生活に関係している財物なので、生活環境が脅かされたと考える事が出来ます。

生活環境が脅かされている状態は、文化的な生活は維持できない

と言う事になるので、

水道の蛇口をひねれば、きれいなお水が出てくるような状態にしましょう、そのために法律を作りますと言うのが、

水道法の第1条で言っていることなわけです。

このように、環境基本法のように直接に「国民の健康で文化的な生活」と言う表現を用いなくても、「生活環境」や「公衆衛生」と言う言葉を使用することによって、

国民の生活権を守るためにこの法律を作ると制定目的を掲げている例は、環境関係では多く見られます。

次回以降、その例を更にいくつか見ていきたいと思います。


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