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「前の農園ではこうだった」と言って指示に従ってくれない人の問題、雇う側が最初に作業ごとの指示を細かく伝える事他

農業で経験者の人を雇った場合、「前の農園ではこうだった」と言って、言う事を聞いてくれないと言う例があるようです。

支柱の立て方でも畝の作り方でも種のまき方でも、農園ごとに「流儀」、「やり方」は違います。

多くの場合、その違いは、その農園の立地条件やビジネスモデル、方針などに根ざして形成されています。

農園ごとに立地条件、ビジネスモデル、方針は違うので、「前の農園ではこいう風に支柱を立てていた」と言って、「前の農園流」の支柱の立て方をされても困るわけです。

この問題の解決は、まず雇う側自身が「自分の農園の流儀」は「他の農園の流儀」と違うと言う事を自覚するところから始まると思います。

新しく雇った「経験者」の人に「前から自分の農園で働いている人」と一緒に「支柱を立てて」とか「畝を作って」と言うように言う、

こういう事をしているとしたら、それが問題の発生を生みやすくしていると思います。

仮に「前から自分の農園で働いている人」が農業未経験の状態で初めて「自分の農園」に勤めるようになった人だとします。

こういう人の気持ちの中には、「『経験者』の人が来ると、『経験者』なんだから自分よりいろいろ農業のやり方に詳しいかもしれない=『経験者』の人の言う事が正しいかもしれない」と言う思いも含まれている可能性があります。

そう言う状態で「経験者」の人と「前から自分の農園で働いている(元未経験者)人」に一緒に支柱立てなら支柱立てと言う作業をして下さいと言うと、

「前から自分の農園で働いている(元未経験者)の人」は、「経験者」の人が支柱を立てるのを見て、「あ、そう言う風にやるんだ、自分は初めて知ったけど、参考になる」と言う風に思って、「真似」をしてしまうかもしれません。

しかし、その「支柱の立て方」だと、「自分の農園」では後から野菜の世話をしたり、収穫をしたりするのに、不便になってしまうかもしれません。

つまり、農園ごとに、その農園の「ビジネスモデル」に適したやり方で支柱を立てているので、他の農園の方式がその農園に適していない可能性が高いのです。

(※ナスの整枝・剪定は、2本仕立て、3本仕立て、4本仕立てなどの種類があります。支柱を立てる場合、直立式、合掌式、トンネルを作って紐を張りそこにナスの枝を乗せていく方法、V字型などのやり方があります。

家庭菜園プラスアルファ程度の規模なら2本仕立て+直立式でよいかもしれません。大規模にやる時は、トンネル方式やV字型が向いていると思います。ただ、大規模だから絶対トンネル方式と言うわけではなく、その農園における「ナス」の位置づけによっても仕立て方や支柱の立て方には違いが出てくると思います。

また、どういう資材で支柱を立てるのか(竹なのか、鉄芯入りのプラスチックなのか、ガルバリウム合金なのか等)、地面のどのくらいの深さまで支柱を刺すのか等も、様々です。

作業の流儀には「美意識」も関連しているようです。僕は、「キレイに」支柱を立てる事にこだわって、「浅く」しか地面に刺さないような立て方をして、結局、後で支柱が倒れてしまった例を見た事があります。

農業以外の職場だったら、「新入り」の人が、その職種の「経験者」だったとしても、ある業務について「前からいる(元未経験者)の人」と一緒にOJTをする場合、「前の職場ではこういう風にしていた」と言う風にはあまりならないと思います。

ファイルの場所も机の配置も、事業場のあり方は、同じ職種でも違います。「ここからこういう風にファイルを持ってきて、ネジを締めるのは、この器具を使って」と「元未経験者」の人が「経験者」の「新入り」の人に言ったとしても、その指示には従ってくれると思います。

その職場における作業の「手順」や「流儀」を覚えてくれれば、その後は、その職種における「これまでの経験や知識」が生きてくる、だから経験者の人を雇う事は、その職場に役立つ・・・

そういう事だと思います。

ところが、農業の場合、その農園における作業の「手順」や「流儀」自体に「前の農園ではこうだった」と言う「異議申し立て」が発生するので、ややこしい事態になるのだと思います。

そういう風に考えてくると、「経験者」の新入りの人と「前から職場にいる元未経験者」の人だけで一緒に作業させるOJT方式は、農業ではあまりしない方がよいのかもしれません。

面倒でも最初は雇う立場、農園を主宰する立場にある「自分自身」が「経験者の新入り」の人、「前から職場にいる元未経験者」の人と一緒に「支柱立て」なら「支柱立て」の作業をして、教える事が必要かもしれません。

そして、「経験者の新入り」の人に「前勤めていた農園ではこういうやり方はしなかったですか?」と聞く、

「コレコレのやり方をしていました」と返事がきたら、「たぶん、それはその農園では○○と言うビジネスモデルだったからだと思うよ」と答える、前の農園がその方式を採用していた理由が分からないなら「分からないけれども農園ごとにビジネスモデルや立地条件、農園全体の年間を通じての作業のあり方は違うから、この農園では、このやり方が合理的だと思うから、とりあえずこの方法でやって下さい」と伝える、

こうしたやり取りを聞くことは、「前から職場にいる元未経験者」の人にとっても、作業方法を再確認し、その作業方法の意味を改めて認識する機会にもなるでしょう。

また雇う側としても「他の農園の作業方法の違い」を知り、自分の農園の作業方法の意味をもう一度考える機会になるとも言えるかもしれません。

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