【神聖モテモテ王国】私を構成する5つのマンガ(その2)
今日は、 #私を構成する5つのマンガ の続き、その2を書きたい。
昔ぼくが学生だった頃、漫画雑誌集めている級友は、ほとんど週刊少年ジャンプか週刊少年マガジンを集めていた。
ぼくは違った。ずっと週刊少年サンデーを集めていた。
当時、ジャンプの「王道っぽさ」とか、マガジンの「不良っぽさ」に憧れることはあっても、どこか乗りきれない自分がいた。
漫画雑誌全体としてもつ「イズム」の強さが、ぼくには苦手だったんだと思う。
その点、サンデーって「〇〇っぽさ」が緩いような気がして、どの漫画もジャンルは違えど個性の許容というか抱擁感があって、そこが逆にサンデーっぽくて、すごく好きだった。
そのサンデーの掲載漫画の中で、結局ずっと読み返してしまって、いまでも実家の本棚に残っている漫画は、この「神聖モテモテ王国」だ…
ところで、あらためて精神の健全性が問われるタイトルだなおいwww
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「神聖モテモテ王国」をできるだけ簡単に説明すると、不条理系のギャク漫画だ。
「勝手に改造」とか「幕張」とか「セクシーコマンドー」とか、あの系統に似てるかも。でも読めばわかるが、神聖モテモテ王国はもっとグルングルンしてるw。
今でも一部ではカルト的な人気を誇っているらしいが、リアルの世界で「面白いよね」と言っていた人には人生でひとりしか出会えなかった。(その話は後述する。)
それぐらい、人を選ぶ漫画。
あらすじは、宇宙からやってきた変態紳士・ファーザーと、メガネしか特徴のない息子・オンナスキーの、彼らと女性しかいない約束の国家「神聖モテモテ王国」を築くまでの建国活動(※単なるナンパのこと)の記録で、もうすでについてこれない人は離脱してくださいw
場所はおそらく東京・町田の住宅街。そこで毎度二人は作戦は練り、女子ウケしそうな設定をひねり出しナンパを繰り返す。
エンディングはだいたい決まっていて、やくざに殴り殺されるか、警官に連行されるか、不慮の事故で帰らぬ人になるか、サブキャラのアンゴルモア大王の罠にかかって死ぬかだ。
もちろんナンパは成功しないし、稀に成功してもお笑い芸人と思われるか、死ぬかだ。つまり1話で平均1回は死ぬw
本当に、どう転んでも「主役が死ぬのがオチ」という救いようのない漫画なのだ。
ただギャグ漫画としての感性がぶっちぎっており、精神の錯乱を誘う日本語表現の崩しの中に、中国史・近代戦争史・アニメ・当時の時事ネタがダジャレの表現とともに豊富に散りばめられている。
だから何度読んでも発見のある、ハイコンテクストなギャグ漫画となっている。ぼくが中年になってもこの漫画は捨てられないのは、それが理由だ。
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先述した通り、この漫画を面白いと思ってくれたのは、ぼくの周りにはひとりしかいなかった。
偶然クラスが一緒になった、学年で一二を争う秀才だった奴。
ぼくと彼は、偶然席が近くなり、偶然サンデーが好きで、偶然同じ神聖モテモテ王国を愛読していた。
学校で普通に話せばいいのに、ぼくと彼はパソコンでメールするようになった。
神聖モテモテ王国に感化されたふたりは、とにかく変な、意味がギリギリ取れない、精神の回廊に入り込んだような、複雑そうで意味のない駄文を作ってメールしあっていた。それが楽しかった。
なんとなくの技術点の付け方がうまれて、お互い面白いねじ曲がり方をした文章ができたときは褒め合った。
不思議な関係だった。でもその関係はある日崩れた。なぜか喧嘩をしてしまい、以後お互いに話さないままクラスが離れ、僕たちは卒業してしまった。
いまでは彼の名前さえ思い出せないし、当時のメアドも覚えていない。
でも、文章の可能性というか、彼と出会えたことがきっと、いまでもこうやって何か文章を書いていることにつながっているような気がする。
「さすが〇〇くんだね」って褒めてくれた彼の声を、思い出したらすごく切なくなってしまった。
いつか彼に、この記事が届くといいな。