ベルリオーズ=「幻想交響曲」
サンサーンスの先輩ベルリオーズを取り上げてみましょう。
「幻想交響曲」 一択!!!
といえるほどの幻想交響曲は強烈すぎますです。
ベルリオーズは天才作曲家ではありませんでした。いやこれだけの曲を残しているので、天才である事には間違いないのですが、メンデルスゾーンやサンサーンスのような、早熟な天才ではないとのイメージを持って頂けましたらです。
それは、20代後半に作曲した「幻想交響曲」が作品14であるので、若い時期から多くの曲を作曲したわけではなく、実際ピアノもうまくはなかったらしいく。ベルリオーズ自身は指揮者や文化人として有名だったようです。文化人として有名というのは、サンサーンスに繋がりますね。
もう一つ取り上げたいのは、「ラコッチマーチ(正しくは、ラーコーツィ行進曲、一般的にはラコッツィ行進曲、韻を踏んでるのでラコッチマーチで。)」これは晩年ですが、後程記述します。
幻想交響曲の凄いところ!!!
1.題名がいい Symphonie fantastique こっちもかっこよさが伝わってきませんか??
2.一貫したメロディーテーマがあり、その変化で状況を表している。
3.メロディーがいい。
4.話が刺激的。
5.管弦楽が斬新。 ベートーベン第九初演の6年後に作曲
1.題名がいい
一番どうでもいいことかもしれませんが、RPGゲームに出てきそうな曲名はキャッチーです。そしてそれに見合うだけの楽曲。この題名がこの曲で良かったです。
2.一貫したメロディーテーマがあり、その変化で状況を表している。
管弦楽的に一番大きな意義はこの部分です。非常に単純なメロディーをモチーフとしています。
「ミラミドレラ」
モチーフ、動機 となると、これからいろいろ変化させていくのが、ソナタ形式交響曲ですが、この場合は、この メロディーが恋人 を表しており、途中にポッと 出てきたりします。ポッと出てくるところは「断頭台への行進」の最後クラリネットで奏でられますが、この曲だけ聴いていると、なんじゃこりゃっていう感じなのですが、モチーフが女性という事を知っていれば、ストーリーを知らなくても、断頭台への行進の怪しさがわかってくるはず。。。
2楽章ではまんま モチーフが出てきますし、わかりやすいメロディーです。
5楽章では、ぐちゃぐちゃ 感が出ていて。。。フルートの音程を下げていく奏法だったり、バイオリンを弓の木の部分でたたいたり、NHKのど自慢の鐘をかっこよく鳴り響かせたり、ベートーベン第九の6年後に書かれた楽曲とは思えない程多才な奏法があり、こういった奏法は部分的に使用されたとしても、楽章全般を通して使用したのは、有名曲としては、現代音楽まで用いられなかったのではないでしょうか???
効果としては、大砲使ったり、舞台袖で演奏したり、客席から演奏したり、楽器を上に向けて吹くように指定したりとありますが。。。
3.メロディーがいい。
あたり前といえば当たり前ですが、歌えるいいメロディーが多いんです。ソナタ形式交響曲では、テーマが変化してしまうので、オクターブ上がったり、歌謡曲の感覚でいうとメロディーが終わる前に変化したり、第九の歓喜の歌のように歌い切れるメロディーって、モーツアルト以降ドボルザークまで、歌えるメロディーがあるときは、民族的なメロディーの活用だったりして、あんまり多くない気がします。歌曲やオペラなどの歌物は除きますよ。ワーグナーとか。。
そんな中、複数の親しみのあるメロディーがあるこの曲は親しみやすい曲だと思います。
4.話が刺激的。
標題音楽なのですが、話がありそれを表現する音楽がある。アプリオリな関係ですが、今回は逆にしてみました。
2.モチーフは恋人
3.メロディーがいい
各楽章の題名はヘッドコピーとして入ってくる情報として認識。
この3点を踏まえて全曲を聞いてみた場合、否が応でも何かしらのストーリーを想像せざるを得なくなるのではないかと思います。
ベルリオーズは、ストーリーを音楽だけ表現しようとしました。劇伴ととらえてもいいかもしれません。フランスで演劇に音楽はついていますので、劇伴音楽は存在しています。
劇伴 金田一耕助??
イメージとしては、
金田一耕助 の 小説 = 幻想交響曲
金田一耕助のストーリは何となくイメージがあると思います。主人公金田一耕助の姿はいろいろあります。一貫したイメージとして「世俗離れしている探偵」なのです。
初期はハットを被りスーツを着ていました。当時この格好は世俗離れしていました。石坂浩二が少し間の抜けた感じの金田一耕助像を作り上げました。当時は男性の和装の方が珍しい時代になりつつありました。
大切なのは、その時代に世俗離れしている私立探偵像なのです。今でいうと、アドレスホッパーとしてPCを駆使しているストリート系な感じでしょうか??逆に最先端スタイルか。。
とにかく、現れる形は様々にしても、「世俗離れしている」という一貫したイメージを小説は求めているのです。
標題音楽は 今石坂浩二の作ったちょっと間の抜けた私立探偵 ではなく、「世俗離れした私立探偵」を表すようなもので、ベルリオーズはその音楽的ポジションを確立したのです。
現在に舞踏会はありませんし、いやありますが、99%の方は関係がない世界に生きていますし、断頭台はないですし、いやありますが、日本では刑務所の中でそこにいたるのは大変な工程ですし、アヘンはないですが、いや薬はありますが。。。題名の通りのものは実質ないといってもいいですが、恋愛をして失恋をして苦しい思いをしてという気持ちはずっと存在するもので、それを表しているのが、ベルリオーズの作り上げた世界感。そして幻想交響曲が今も愛されているのです。
標題という形で表してはいるものの、普遍的な感情をある音楽という観点で見て頂ければです。
5.管弦楽が斬新。
管弦楽奏法が斬新です。
斬新さの原因を探ると、感情を表す音楽だったからだと思われます。
モーツアルトは楽しい音楽がおおいです。
ベートーベンから喜怒哀楽を表すようになりました。
さて人間の感情は喜怒哀楽の4つに分類されるだけではありません。泣きながら笑う事もあります。ベートーベン以降そういった複雑な感情表現が豊かになっていったかなと思います。ベートーベンもそんな表現がないわけではないですが、レジェンドゆえにベートーベンが基準となる、つまり喜怒哀楽の4つに分類されるだけととらえる方が、その他の音楽をとらえやすくなります。
じゃあ、泣きながら怒るひとをどう表現するか??和声だけで表現する方法もあると思いますが、難しい感情は通常奏法でない方が表せると思いませんか??それが、弓の木の部分で弦をたたいたりというような奏法につながったのではないかと思います。
難しい感情の表現は劇伴音楽には不可欠であり、激しいカーチェイスの場面で、バッハの優雅な曲が流れていたり、優雅な場面で、短調の曲が流れていたり、いろいろ暗示させることがあると思います。
劇伴については、武満徹がすごいかなとおもうので、改めて記していこうと思いますが・・・
変な奏法>>複雑な感情を表せる方法 という事ではないでしょうか??
和声の面では、フランスのドビュッシーへと引き継がれたのかな??
2.PEST分析
P:Politics(政治的)
E:Emotion(恋愛的) ハリエット・スミスソン
S:Society(社会的) 経済的、精神的にはよくない。指揮者としての成功
T:Technology(技術的) ピアノは普通
新しい奏法を取り入れる
標題音楽
import composer as "Berlioz"
1.composerの使命は何か 文化人 指揮者
2.composerの顧客は誰か フランスエスプリの先駆者すぎる先駆者
3.恋人にとっての価値は何か ハリエット・スミスソン
4.composerの成果は何か 標題音楽
5.composerの計画は何か ドイツ形式からの斬新的な管弦楽奏法及び音楽の意義を見出した
という事で、ベルリーズは「幻想交響曲」だけ知っていればOKです!!
おすすめ!!
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