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『虫と歌』(市川春子短編集)の感想

あの「宝石の国」の作者、市川春子先生の初期短編集『虫と歌』を読んだので覚え書き

「宝石の国」100話までの感想はこちら

あと、「宝石の国」に関するこちらの方の考察がとてもすき

ということで、いろんな方の「宝石の国」感想を読むと、「宝石の国を読んだら市川春子作品集は読んでおけ」ということだったので、この度購入。短編が4作おさめられている。


1.星の恋人

これはもう「宝石の国」の原型の作品と言って良いのでは
「金剛先生」にそっくりな「主人公の叔父」
主人公は「フォスフォフィライト」っぽさがある
叔父の同居人は「ダイヤモンド」っぽい

違いとしては、「宝石の国」は「宝石生命体」の話だけど
これは「植物生命体」の話

短編集を読んで改めて気づいたけど
市川春子先生の作品は全て「人に近しいけれど人ではない生命体」を描いている

この作品でもやっぱり主人公は少し不幸で(フォスほどではないけれど)
金剛先生ぽい人とダイヤっぽい人は幸せという図式

宝石の国もそうだけど、特定の登場人物に性別がない感じを持たせた
ふわっとした書き方も特徴的

2.ヴァイオライト

プラトニックBLからの転生百合?
詩的・抽象的で内容は理解できないけど、とてもきれい

3.日下兄弟

野球モノと思わせてからの、現代版コミカル「蟲師」みたいな
と思ってたら、これは市川春子版「ミギー」だ・・・
そして天文学をやりたい主人公にDiggyぽさを感じたり

4.虫と歌

「人に擬態する昆虫」と、「その生命体を作ってしまった人」の話
これも「宝石の国」における「金剛先生」と、それを作った「人間」の関係に似てる
「人でないもの」が成長していく過程の描き方が、どの作品もいい

・・・と思ったらとんでもない絶望を入れてくる・・・
さすが市川先生・・・

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