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深山苧環

絵画の名前

絵画の名前は1番最後に決める。下絵や設計図はつくらないため、名前をつけるとなると億劫だ。梱包するギリギリまで眺めたのちに、決めると決意したら意外とすぐ決まるとわかっているのだけど。

過去には日記のようにナンバーだけふったものも多かったが、テーマをもって取り掛かったときには、不思議と紐づけられたように名前がちゃんと見つかるようだ。

水路をひくように伸ばした線と落とした点のある画面を眺めていると、頭を垂れた釣り鐘型の植物が浮かんだ。むかし母に教わった記憶にあたる山野草をいろいろ調べてみると、オダマキ属という種類を見つける。
ラテン名では「アキレギア/アクイレギア(Aquilegia)」。
オダマキに漢字をあてると「苧環」。機織りの際につかう苧環という糸玉に由来するという。

「ミヤマオダマキ(深山苧環)学名:Aquilegia flabellata」はオダマキ属のなかでも高山植物の絶滅危惧種に分類されていた。その花は中部地方以北、朝鮮北部や樺太に分布している。早池峰山の奥地にも人知れず咲いているらしい。まだ会ったこともないが知っているような種の花。その種属名を借りて名づけた。

名づけというのは不思議なもので、借りものだとしても、そのものが依り代のような役目をすることがある。盛岡に配送してから気づいたのが、この木材は早池峰山のある遠野の産直売り場で仕入れた加工木材だった。
産地近くに再び戻っていったかのようだった。

種小名の flabellata は「扇状の」意味(wiki参照)

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「 Aquilegia flabellata 」acrylic on wood  2020

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