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東京を歩いてみる

くもの巣のように、移動手段が張り巡らされた東京都。

”とうきょうと” この響きが私達に日本の中心であり、唯一語尾に「」を身につける都道府県である威厳と偉大さを感じさせる。

 銀座線、新宿線、京葉線、山手線…。
80を超える路線がくもの糸を担っている。

「このくもの糸を自由に扱えるようになれば、
どこでもドアのように、東京都を堪能できるかもしれない。」

22路線のホームを持つ東京駅で、ふと、そんなことを考えた。

野望を友人と共有しつつ、コリアンタウンとも呼ばれる新大久保に向かった。新大久保の通りですれ違う人々が口にするのは、韓国語、中国語、英語…多様な言語が飛び交っていた。

店の看板までが外国語で書かれてあり、新大久保駅を降りてからの景色は、まさに異国の地だった。目に映るものは新しく、全てが新鮮で、まるで新雪に足を踏み入れた一瞬を味わっているようだった。

しかし、韓国のもの、見たことのない言語が沢山並ぶ新大久保に、馴染めず、新大久保から明治神宮まで3.3KM歩くことを決めた。


なぜ、わざわざ東京で歩くのか。


その理由は、にぎわいを持つ街のみに限らず、ほんとうの東京を五感で感じたかったからだ。

私の中のどこかで、賑わいが溢れる新大久保、店が立ち並ぶ渋谷だけが、本物の東京ではないだろう。着目されていない部分の東京も見てみたい。

磯丸水産にてお昼ご飯

そう、思った。


歩くと電車では秒で通り過ぎる景観がゆっくりゆっくり目に入る。私の目に映る景色は高いビルや珍しい店だけではなく、所々脇から生える雑草や人間が生踏み潰したゴミ、生々しい生活感、人が住む雰囲気を感じた。

新宿駅

「大都会東京だけど、岡山と変わらん所もあるね」

明治神宮

「あ、木があった」

「東京にも木があるんやね」

刻一刻と過ぎる東京での時間を、ゆっくり歩き、実にどうでもいい会話を交わしながら、明治神宮から、更に4.2KM渋谷まで歩いた。

友人とのどうでもよい会話が、東京の景観をすみずみまで堪能する為の最高のおつまみになっていた、と最期の修学旅行が終わった今になって、感じる。


一日東京を歩き回って、様々なものをみた。


確かに、”モノ”は東京にあるだけで素晴らしく見えたし、美しい景観もたくさんあった。これが都会だなって感じることもあった。


でも、この様々なものを友人とみて、友人と感じ、どうでもいいことを語り合えたことこそが最高のお土産であり思い出になるのだろうと感じる。

また、友人と”なにか”を見て、語り合える日がいつか来るかもしれないと考えると、何年後が楽しみでたまらない。

 咲歩


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