カナダ暮らし、庭で見たぐりとぐらの世界
夏前に庭付きの一軒家に引っ越した。
子どもに遊ばせるために大きいビニールプールを買った。
ある日同じく庭付きの家に住むママ友にあった。ビニールプールを買ったことを報告すると、衝撃的な話を聞くことになる。
「絶対に水を張ったまま放置したらあかんで」
え、、なんでやろう。理由を聞くと
「アライグマが泳ぎにくるから」
ママ友は続けた
「うちな、庭に監視カメラあってな、それでわかってんけどさ、夜にアライグマ2匹がうちのビニールプールでの中で泳いで遊んどってん!」
「しかもな、ビニールプールのそばにスカンクが立っててさ、それを羨ましそうに見とってん!!」
「ほんでよく見たらさ、、そのスカンクから少し離れたところで仲間のスカンクが心配そうに見てんねん!」
なんということだ。庭で繰り広げられる実写版のぐりとぐら劇場。想像してみるが現実の話とは思えない。信じがたい思いを抱きつつもママ友の助言を受け入れて夏の間プールを使った後は必ず中の水を空にするように心がけた。アライグマはゴミを漁るのでバイキンだらけだと聞く。プールで泳がれたらたまったもんじゃない。
ある夜、テラスで庭を眺めながら涼んでいると、、ガサゴソ、、、と何かが動く音が聞こえた。
音の方に目をこらすと、、、アライグマだ!!!
アライグマがノソノソと庭を横切っていった。
心なしかそのアライグマは空になったビニールプールに一瞥をくれたような気がした。
そこからまもなく信じられないことが起こる。
再び何かが動く気配がしたので辺りを見渡すと、なんとスカンクが木陰から姿を表したのだ。
すかさず気配を消して固まる私。
警戒したスカンクにガスをかけられたら最後、強烈なその臭いはただの洗剤では落ちないらしい。トマトで洗うと落ちるという話を聞いたことがある。カナダ人ならではの生きた知恵だ。スカンクはそういう意味で危険な動物としてカナダ人はかなり警戒している。
ちなみに風に乗って漂ってきたスカンクのガスの臭いを何度か嗅いだことがあるのだが、ごま油のような臭いがする。
話を戻す。アライグマに続いて現れたスカンク。たまたまだったのだろうか?
一言添えておきたいのだが、うちの家は森の中にあるわけではない。アスファルトの道路に面した、住宅街の中にある。
「嘘やろ、、これがカナダで暮らすということか。」
そしてふと思う。プールに水を張っていれば見れたのだろうか、ぐりとぐらの世界が。
プールを空にしていたことを少し後悔した。