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孤独から見いだした希望の光 サヘル・ローズ初監督作品『花束』特別上映レポート

児童養護施設出身者が結集した第一作、満を持してプレミア上映

2024年6月22日、ユーロライブ(東京都渋谷区)で開催した「アジアンドキュメンタリーズ映画祭 2024」の一環として、映画『花束』の特別上映が行われました。

真夏日の午後にもかかわらず、開演前からお客さんたちが長蛇の列をなすほどの熱気に包まれました。サヘルさんや映画のファンだけでなく、児童養護施設の当事者や関係者の方々の姿も多く見られたようです。

1日限り、しかもサヘルさんご本人のトーク付きということで、約180席の会場は満席。その模様をお伝えしましょう!

※本記事でのネタバレは一切ありませんが、映画インタビューが『ビッグイシュー 483号』(2024年7月15日発売)に掲載されていますので、興味のある方はぜひご覧ください

「上映中は緊張のあまり、隣りにいたプロデューサーの方の手を握りつぶしそうだった」と言って、観客の笑いを誘うサヘルさん。右は司会を務めるアジアンドキュメンタリーズ代表の伴野智氏

さて、上映後のトーク。「監督」と呼ばれることに、いたく恥ずかしがって恐縮しながらも、どのような想いで本作に臨んだかを、サヘルさんは持ち前の雄弁さで語り始めました。

構想から7年。もともと、サヘルさんは企画を立ち上げるのみで、他の方が監督を務めるはずだったのが、あいにく新型コロナウイルス感染拡大の渦中で頓挫。その後、岩井俊二監督や脚本家のシライケイタ氏など、かねて懇意にしていたクリエイター仲間に相談を持ちかけたところ、「本作の監督はサヘルさんこそふさわしい」と激励され、その熱意に折れて引き受けたそうです。

(右から)松嶋マジアルさん、栗原直也さん、ブローハン聡さん

途中、3人の主演者も登壇してトークに参加。4年前に撮った作品を振り返りながら、当時のエピソードやその後の変化、そして今後の夢などを語ってくれました。

「普段、自分は仕事で映像を撮る側にいて、相手には『気楽にやってくれたらいいですよ』と簡単に言っていたんですけど……今回、カメラの前で演技する難しさを痛感しました」と苦笑した栗原直也さん。

作中の舞台劇でイエス・キリストを演じたブローハン聡さんは、「昔は自分を人前で出すことはあまりなかったんです。でも、この映画の中で『みな、静まれ』と僕が声を発した途端、その場が一瞬にして沈黙した。そのことで、自分にも周囲に発信できる力があると実感して、今の自信につながったと思います」と感慨深げに話しました。

イラン人と日本人の両親を持つ松嶋マジアルさんは、この作品を機に、俳優の道を志したいと宣言。『花束』が、若い当事者にとっても人生の大きな転機となったことを聴き、サヘルさんも万感の想いを隠しきれなかったようで、彼女の眼から滂沱と流れる涙を見逃さなかったお客さんもいることでしょう。

撮影開始時には初対面だった主演の3人も、今ではサヘルさんを「お姉さん」と呼んで慕う仲だ

これからの上映についても、随時発表が予定されています。
どうぞ乞うご期待!

映画『花束』は自主配給のため、宣伝活動への協賛、上映場所等、ご協力いただける方々とのご縁をお待ちしております。

上映依頼、取材・メディア出演依頼、協賛、ボランティアスタッフについては、下記よりお問い合わせください。
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