「旧字体」【ショートショート】
「何してんの?」
「身近な旧字体を思い出してる」
「旧字体?」
「國とか邊とか、學園の学みたいな昔使われてた複雑な漢字、カッコいいから思い出してみようって挙げてるんだよ」
「へー、齋藤の斉、藝大の芸、櫻坂の桜、わりとあるね。」
「それで今、一個途中まで出かかって思い出せないのがあって〜」
「何?」
「この『回』なんだけどね、なんかあった気がするんだよ旧字体が」
「調べようか?」
「それは違う、調べりゃたくさん出てくるんだよ、自力で思い出すっていうゲームだから」
「そうか、でもこういう字って、苗字以外だと、モンスターの異名とかちょっと厨二病的なゲームに多いよな」
「そうなのよ、ほら蟲で虫とか、絲で糸とかな、それこそ『回』もこんな感じで重ねてた気がするな」
「ちょっとイメージを書いてみてよ」
「3つ重ねて、結構追加されてた感じ、、、『品』というか『器』みたいな?」
「いやー、分かんない、ていうか、どうして旧字体思い出すゲームなんか始めたの?」
「それがさっき、ヒロサワハルカさんって方とLINE交換して、本名、廣澤遙で全部旧字体ですっていうもんだから、すごって話してて、そこから」
「QRコードじゃね」
「何が?」
「『回』の既視感、LINE交換した時の」
「あっ!」
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