『記号的』について

キャラの造形については『記号的』か『人間的』に分かれると考えている。

オタク的コンテンツとしては前者が多い。
キャラがわかりやすい為に簡単に頭に入ってくることが挙げられる。
記号的要素で固めたキャラクターは雑に濃くなるので、良くも悪くも印象的だからだ。
加えて、二次創作でネットミームにするのも、記号的特徴ありきだからである。

一方でこのような記号的要素で固めた場合、キャラクターの内面が薄くなることが多い。
特に拗らせた『オタク媚び』が嫌いな逆張りタイプの人種は、このようなキャラを苦手とすることが多い。

また、二次創作にしやすいとは言ったが、賛否割れる二次創作が生まれやすいのもこのタイプのキャラクターである。
艦これの『腹黒ガチレズ』という記号が独り歩きした大井なんかはいい例だろう。

要するに、その要素を記号として分類しやすいキャラクターが、記号的キャラ造形であると考えている。

それに対するのが『人間的』、要は人間臭いキャラクターである。
このタイプのキャラクターはストーリーを追うことによって、内面に魅力を見出すキャラクターだ。
勿論このようなタイプにも記号的要素はなくはないのだが、あくまでスタート地点のわかりやすさ以上の役割を持たない場合が多い。

シナリオが良いと評判の作品はこのタイプのキャラクターが存在していることが多い。
平成三部作と言われる仮面ライダークウガ、アギト、龍騎や、マーベルの映画のMCUシリーズなんかは、この人間臭いキャラクター造形に分類される。
個人的にはこちらの方が好みである。

一方でこちらにもデメリットがある。
まずはキャラを理解するのに時間がかかること。理解する心構えで創作物を摂取するように作られているので、読み手の負担が大きい場合が多い。

加えて、シナリオありきではあるので、最初は薄味になることが多い。
激辛スパイスの記号的造形に対して、スルメな人間的造形と言えるだろう。

作り手としては記号的キャラを作る方が楽である。
人間的キャラ造形の方が魅了的だが、作るのがとても面倒なのだ。

そしてどちらかに偏ったキャラはいると思うが、片方しかないキャラは少ないと考えている。

人間臭いキャラにもわかりやすさで記号を付与するし、記号的キャラにもバックボーンはあるのだ。

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