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アイス・スチール:チョコミント

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親友の娘、ミオの後見人になった怜佳は、非合法な仕事をしている夫ディオゴの横領から守るため、夫のビジネスパートナーである佐藤アインスレー、通称アイスを味方に雇い込もうとする。  故… もっと読む
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記事一覧

[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 六章 3話 痺れるようなこの瞬間

3話 痺れるようなこの瞬間  地階にある診療所は、一階フロアからも簡単に入れる設計にはな…

栗岡志百
11時間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 六章 2話 いつかの次のアイスクリーム

2話 いつかの次のアイスクリーム  耳元が騒々しかった。おまけに頬のあたりがパチパチと鬱…

栗岡志百
5日前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 六章 1話 命をつなぎとめる一声

1話 命をつなぎとめる一声  失った視力には、あきらめがついていた。  グウィンにとって…

栗岡志百
6日前

[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 五章 3話 愚者の答え

3話 愚者の答え  アイスは、視界のすみで一太をとらえた。  胸中で歯がみする。背後にい…

栗岡志百
8日前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 五章 2話 ここで実践、ついに実戦

2話 ここで実践、ついに実戦  ダークブラウンのマウンテンパーカーに黒のカジュアルパンツ…

栗岡志百
12日前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 五章 1話 金ではなく、感傷よりも

1話 金ではなく、感傷よりも  ミオは、物理的な暴力とは無縁な生活をしてきた。  何かと…

栗岡志百
13日前

[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 四章 3話 お返しはスパイダー

3話 お返しはスパイダー 「伏せてっ、ミオ‼︎」  グウィンの声とともに、ミオの足元から重力が消えた。  いきなり引き倒された次の瞬間、目の前に床がある。驚きすぎて痛さも感じなかった。  床に這いつくばった背中に、グウィンが覆い被さっている。どうしたのかと訊く間もなく、頭上で飛行機が離陸したのかと思うぐらいの大きな音に鼓膜を打たれた。  わずかにツンとした刺激臭が漂う。床から顔だけ上げたミオが見たのは、自分よりも大きな男を壁にぬいつけているアイスの背中だった。  その男の目

[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 四章 2話 愛おしい足手まとい

2話 愛おしい足手まとい  すんでのところでたすけられ、安堵の表情をみせていたミオだが、…

栗岡志百
2週間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 四章 1話 代償には足りない

1話 代償には足りない  津坂彩乃が高須賀彩乃になったのは、夫となる男に押し切られた弱さ…

栗岡志百
3週間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 三章 4話 追いかける背中

4話 追いかける背中  アイスとの対決を避けた十二村は、<ABP倉庫>に戻るなり浅野の出…

栗岡志百
3週間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 三章 3話 本は表紙で判断できない

3話  本は表紙で判断できない  ミオはグウィンをベンチに誘導した。 「気休め程度だけど…

栗岡志百
3週間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 三章 2話 ルビコン川を渡れ

2話 ルビコン川を渡れ  白杖持ちのくせに大口を叩くだけはある。  浅野は、自分が手を出…

栗岡志百
3週間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 三章 1話 白のエスクリマ《武術》

1話 白のエスクリマ  ビジネス街にある夜の公園は、バラ園も見頃をすぎて訪れる人はいない…

栗岡志百
3週間前
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[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 二章 5話 子どもでいさせないくせに

5話 子どもでいさせないくせに  シャワーとトイレが一緒というより、トイレのおまけにシャワーがついているといった方がしっくりくる。  ミオはゆっくりする気になれず、最短の時間でシャワーをすませた。  ドア前の、これまた狭いスペースで急いで服を着る。同性とはいえ、会って間もない人たちのそばで裸でいるのは落ち着かなかった。  汚れた服を簡単にたたんでまとめておく。フロントにもらったポケットティッシュは、着替えたシャツの飾りポケットにうつした。持っておくと何かと重宝する。  あと