[連載小説]アイス・スチール;チョコミント 四章 3話 お返しはスパイダー
3話 お返しはスパイダー
「伏せてっ、ミオ‼︎」
グウィンの声とともに、ミオの足元から重力が消えた。
いきなり引き倒された次の瞬間、目の前に床がある。驚きすぎて痛さも感じなかった。
床に這いつくばった背中に、グウィンが覆い被さっている。どうしたのかと訊く間もなく、頭上で飛行機が離陸したのかと思うぐらいの大きな音に鼓膜を打たれた。
わずかにツンとした刺激臭が漂う。床から顔だけ上げたミオが見たのは、自分よりも大きな男を壁にぬいつけているアイスの背中だった。
その男の目