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デートを重ねる

サエコとは、その後、年末年始を跨いで何度かデートした。
出逢いの夜も含めると10回を越える。
そのほとんどが朝までコース。
いくら話しても話が尽きない。
よほど相性が良いのか…

最後の2回は彼女がオフィスに誘ってくれた。
泊まったというより、明け方に始発が動き出すまで待たせてもらったと言った方が正しい。

サエコのオフィスはちょっと変わっている。
一般的なオフィスビルではなく、3LDKのマンションをオフィスとして使っているのだ。
だから、キッチンもあるしバス・トイレもある。
そして、講演会の準備や資料作成のために泊まり込むことが多いらしく、執務スペースとは別に自分専用の「寝室」があるのだ。

そんな空間に呼ぶと言うことは、オレに対して変な警戒心は持っていないということだろう。
オレも、部屋に呼ばれたことを利用して無理に襲ったりするつもりはない!

コンビニで買い込んだハイボールを飲みながら、思い出のアルバムなどを見せてくれた。
「そう言えば、この前、ホテルに誘ったの覚えてる?」と聞かれた。
「あ〜覚えてるよ。酔ってついつい言っちゃった。ごめんね。サエちゃんがあまりに魅力的だから…」
「ありがとう。私もタケちゃんのこと好きだけど、今は待って。旦那とはセックスレスだから気にならないんだけど、彼氏とのことが…。もう10年以上付き合ってるの。私のために奥さんと別れた。私と結婚できないの分かっていて…」

なるほど、そんな複雑な関係があったのか。
変に隠し立てせず率直に話してくれるサエコがますます愛おしく感じる。
どうやら今回は長期戦を覚悟しなければならないようだ。
それで構わない。
すでにオレはサエコを愛してしまっているのだから。


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