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安定という大人、挑戦という若さ

サウナから出て水風呂に入ったあとの外気浴中に完成する「ととのう」の正体は、副交感神経によるリラックスと、アドレナリンによる興奮が「共存」している状態だという。

筋肉は、収縮と弛緩を繰り返すことで柔軟に鍛えられると言うし、肌は暖めて毛穴を開き汚れを落としたら、冷やして締めるのがいいという。

笑いも緊張の緩和と言われるように、なんにおいても、緩急は重要のようである。

確かに、幸福は不幸を知らなければ感じることができないし、挫折があるから達成がある。

なんでも自分でやらないと気が済まない性格から、誰かに指示されることを避けるように生きてきた半生だったが、ここも緩急と言うべきか、最近は、誰かに指示されたくなってきた。

自分で考えたことをうまくできるかどうかではなく、誰かに指示されたことをうまくできるかどうか。

先日、ある映画の役者オーディションを受けた。もちろん初めてのこと。

そこに至るまでの経緯はYouTubeで散々話してきているのでここでは端折るが、オーディションはまさに、相手側の望む人材になれるかどうかの勝負である。

この緊張感は、久しぶりに味わうものだった。その会場がどういうところで、どういう人がいて、どういう雰囲気なのか。全くわからない。

まるでバイト初日のようなドキドキ感。社会人一年目初出勤日のような緊張感。行かなくていいなら行きたくない。でも行かされるわけではない。自分で選んだこと。でも行くのは怖い。だが行くしかない。

開けたことのない扉の前に立つ緊張感は、いくつになっても感じることができる。

問題は、その扉の前に立つかどうか。そして、その扉を開けるかどうか。

わざわざそんなところへ行かずとも、生きていけるのが大人なのかもしれない。

ただそれは、「老い」と同義のようにも感じる。

オーディション当日、えもいわれぬ緊張感に包まれたとき、まだ経験していない自分が山ほどいると思った。先が分かる範疇のことしかしてきていない証拠だ。

そのオーディションは、思ってたよりきっちりしたもので、他の志願者たちも真剣そのものであった。

明らかに場違い感を感じたが、やるだけのことはやった。

いい緊張感をもらった。少し若返った気がした。

オーディションは見事通過し、晴れて映画デビューを果たした。

先日、上映会に行ってきた。

左・是枝監督

まさか是枝監督に演技を誉めて頂けるとは思わなかった。チャレンジして良かった。

また面白そうな作品があったら、オーディションを受けてみよう。

私が初出演した映画『ボケてくれてありがとう』は、今後様々な映画祭に出品されるそうなので、どこかで出会うことがあれば観てみてください。

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