「ちょっと翻訳でも」「憧れ」じゃ無理。そやけど、本気で覚悟決めたんやったら、一度読んでみてください。

「翻訳に憧れがある」という人や、副業ブームで「ちょっと翻訳でもやってみよう」という人、ちょっと待ったー!
「ちょっと治療でも」「ちょっと料理でも」「ちょっとデザインでも」という医師、シェフ、デザイナーに仕事を依頼しますか?
相手がプロじゃなければ、医療に詳しい人、料理がうまい人、絵が得意な人に相談したり作ってもらったりしても、プロ並みに料金払おうと思わないですよね。「ちょっと翻訳やってみよう」という人にも依頼したいと思わないでしょう。どうしてもやりたいなら、ボランティアで作業してみてはいかがでしょう。「ちょっと(無料で)翻訳してください~」っていう依頼、あふれていますから。

私は産業翻訳者です。翻訳って専門的な仕事なんです。英日翻訳を例に説明すると、翻訳者に必要なスキルは、まず4つ。
①語学(英語、日本語の両方)
②翻訳のルール・スキル、辞書
③翻訳する分野の知識、文書の知識
④PCやツールのスキル

語学が得意だから、英会話習っているから、というレベルでは継続して仕事を得るのは難しいです。
翻訳者になるルートはいろいろありますが、主に次の3パターンの人々が上の4つのスキルを補ってなれる仕事だと思います。
1)語学系の学部卒や、海外生活体験者、単に好きで勉強していた人
2)翻訳会社で働いていた人やスクールに通った人、社内翻訳者
3)関連学部卒、技術者や医療関係者など、分野の知識を身に付けている人

私は(1)で教育学部英語科卒で英語教員として働き、退職後、翻訳会社でチェッカーのパートをしながら(②③)翻訳学校に2年半通って(②③)、何とか安定して仕事がもらえるようになりました。
他に、(3)技術者(③)で海外勤務(①)を経てスクール(①②③)で学んだ人もいれば、(1)語学系学部卒でマーケティングの部門で働いた後(③)、スクールで学んだ(②)人、(1)海外経験が長く、仕事の知識(③)を活かして翻訳者になった人も。

本を1冊読めば、このスキルだけ身に付ければなれるという仕事ではありません。逆に言うと、語学に興味があって努力してきた人が、知識を身に付けて練習すればなれる可能性があるということです。
もう一度、自分がこういう条件に当てはまっているか、考えてください。
1)語学系の学部卒や、海外生活体験者、単に好きで勉強していた人
2)翻訳会社で働いていた人やスクールに通った人、社内翻訳者
3)関連学部卒、技術者や医療関係者など、分野の知識を身に付けている人

当てはまってないけど、とにかくやりたい!というのなら、まずは調べましょう。
1)雑誌の「通訳・翻訳ジャーナル」2000円程度で、分野/なるルート/参考図書/辞書/学校/翻訳会社/年収/レートのアンケートまで、情報がコンパクトにまとまってます。

2)雑誌で調べて翻訳学校の資料請求をしてみてください。見学もオンラインでできることが多いのでお勧めします。質問でき、仲間ができます。
選ぶなら、翻訳力チェックテストがある、教材のサンプルを見られる、申し込みの前に丁寧にカウンセリングをしているスクールを選んでください。志望分野に強いかどうかもチェックのポイントです。
ただし、ネットで「短時間で簡単になれる」というスクールは詐欺(情報商材といいます)ですのでご注意ください。こちらをご参考に。
警戒すべき翻訳講座が新たに3つ登場
https://yukariasano.blogspot.com/2020/11/2.html

3)英語力が低く、専門知識もなくPCに疎い人は、翻訳学校についていけません。まずは語学から始めてください。今からすぐに! 最近はアプリもあるので今からでもできます。
翻訳スクールの授業についていける境目が、TOEIC800点後半、英検準1級くらいと聞きました。まずはこのレベルを突破してくださいね。
文法は高校文法を他人に解説できるレベルまで復習してください。特に準動詞と関係代名詞、パンクチュエーション。英検2/準1級の教材はバランスがいいです。翻訳学習に関する書籍もあります。タッチタイピング(寿司打楽しいですよ♪)やWord/Excelはネットのコンテンツで十分学べます。

4)翻訳者のリアルは、TwitterやFBにたくさん投稿があります。まずは Twitterで「#どうやって翻訳者になったか」 「#実績ゼロから翻訳者に」 を見て、興味のある分野の翻訳者をフォローしてみてください。翻訳者の勉強会もたくさんあります。通翻ウェブ(https://tsuhon.jp/event)でもイベントの告知がありますし、Twitterでも募集があります。

5)スクールに通うのは厳しい!という人、現場に出る手があります。派遣という制度、好きじゃありませんが利用できるものは利用したもの勝ちです。TOEICが800点くらいになれば、派遣で英文事務や翻訳関係の仕事が選べるようになります。紹介派遣など、正社員を目指せるものも。また、特許や法務の翻訳を目指す人は、特許事務所や法律事務所の外国語事務というポジションもありますよ。翻訳会社のチェッカー、プロジェクトマネージャーという仕事など、業務の流れや知識を得ることができます。
ここでお金を稼ぎながら休日にスクールに通うんです。私のクラスメイトはそういう人が多かったです。

3年計画で、1年目は語学の基礎固め+お金をためて、2年目に転職して知識を付けて、スクールに通って、3年目は学習しながらトライアルに挑戦!という計画はどうでしょう? 安定するまで副業で翻訳をして、ここぞというときにフリーランスになるか、はたまた社内翻訳者に転職するか。3年くらいあれば、ある程度の目安は立つと思いますよ。

語学レベルで自習できないようなら、そこで方向転換してください。世の中に翻訳しか仕事がないわけじゃないし、語学を活かす仕事なんていくらでもあります。勉強してレベルアップできればそれを活かしたらいいだけです。

正直なところ、安定した収入を得られるようになるのはなかなか難しいと思います。バラ色の職業じゃありません。急に仕事が途切ることもありますし、ケガや病気、子育て・介護で仕事が出来なくても何の保証もありません。それでもやるのか、やりたいのかについても、よーく考えてくださいね。

翻訳にはいろんな分野があります。翻訳者の背景も多種多様です。だからいろんなルートがあります。すぐにできる勉強もたくさんあります。本当になりたいと決めたら、今スグできることから始める覚悟を!

ご質問があれば、 Twitter:@bumicchu ぶみにゃんご まで。

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