オリックスキラー上沢直之を振り返る

前提

ブログタイトルの通りですが、北海道日本ハムファイターズに所属するしていた上沢直之選手(以下「上沢選手」と表記)は、対オリックス・バファローズ戦に滅法強い投手です。遅筆すぎて2月1日に下書きを見直したらまだ所属していることになっていました。

その実績。計33試合、20勝8敗

そして勝率は.714。……こう記すと、いかに対オリックス戦における上沢選手がいかに脅威的な存在であったかがお分かりかと思います。

今回のブログでは、そんな対オリックス戦時の上沢選手について、時折私意を交えつつ振り返っていきます。



黎明期(2014.4.16~2017.8.5)

この時期の上沢選手の対オリックス戦における成績は6勝7敗でした。この時期に限って言えば、実は1つ負け越しています。
特に2015年は2勝3敗を記録してしまいました。この年は非常に数少ない負け越し年でした(ちなみに他の負け越し年は2017年(0勝1敗)しかありません)。とはいえ、2015年はいわゆる(一軍戦力としてという意味での)2年目のジンクスや右肘痛に悩まされたこと、2017年の1敗は右肘手術後初の一軍公式戦登板であったことを考慮すると、負け越しは不可避であったのかもしれません。

それでも、上沢選手のオリックスキラーぶりは、一軍戦力としてはルーキーイヤーである2014年からほのかに見え始めていました。

まず2014年5月2日と5月9日。相手の先発投手が同年に沢村賞を獲得することとなるあの金子千尋選手なのですが、2戦交えてなんとどちらも上沢選手が勝ち投手となりました。(当時の金子選手は金子選手で、逆にどういう訳かこの年の対日本ハム戦はあまり強くありません(計3試合0勝2敗)でしたが……)
また、2014年9月15日の対戦では、プロ入団後の一軍公式戦で初完投初完封を記録しました。

さて、この黎明期を知る方なら覚えていらっしゃることと思いますが、2014年9月27日~2015年5月9日までに登板した対オリックス戦4試合連続で、ディクソン選手との投げ合いが行われました。4試合連続の投げ合いは珍しい出来事だったのか、ネット上の書き込みではこれを「ディクソン上沢」と呼称しました。ちなみにこの4試合の成績は1勝2敗(ディクソン選手は2勝1敗)でした。

そして2017年4月7日、対オリックス戦12連勝前では最後の敗戦を記録しました。余談ですが、この時の相手先発は金子千尋選手です。
この後、勝ち負けの付かなかった2017年8月5日を経て、オリックスキラー全盛期を迎えます。

全盛期(2018.4.24~2023.7.1)

結論から言いますと、この期間で2023年7月1日に敗戦するまで、対オリックス戦で12連勝を記録しました
いくらなんでも勝ちすぎですし、約5~6シーズン分無敗を貫いたと考えると負けなさすぎでもあります。
ちなみに対ロッテ戦は累計で6勝でした。この全6勝の振り返りも後日ブログで記します。

さあ、この期間の一軍公式戦対オリックス戦、全部振り返ってみよう!!!

興味がなければ目次から次の大見出し(残響)へ飛んでください。

2018年4月24日 B 3-5 F (勝ち)

勝ったは勝ったんですけど、今振り返ると「これで勝てたのすごいなあ(褒めてはいない)」と思ってしまうような、なんとも微妙な内容です(5回104球5四死球3失点(自責3))。
ちなみにこの時の相手先発投手が金子千尋選手でした。また金子さんかい!!!
そして金子選手の成績はというと、3回2被本塁打4失点(自責4)でした。……シンプルに、調子があんまり良くない者同士の投げ合いだったわけですね。

2018年5月9日 F 8-2 B (勝ち)

打線がめちゃめちゃ頑張りました(計14安打!)&上沢選手もかなり頑張りました(8回2失点(自責2))回。
この試合の相手先発投手はディクソン選手でした。そう、あの「ディクソン上沢」です!「ディクソン上沢って言うけどそんなの知らないよ!」という読者もきっといらっしゃると思います。というのも、この試合が最後の「ディクソン上沢」だったからです。「ディクソン上沢」をご存知の皆さん、最終回がもう6年前なんですってよ。ディクソン選手元気かな。

これにて2連勝です。

2018年7月27日 B 2-13 F (勝ち)

打線頑張りすぎました(4回裏5得点!)&上沢選手もかなり頑張りました(8回2失点(自責2))回。
この試合で個人的に面白かったのは、オリックスから中継ぎとしてK-鈴木選手(現巨人所属の鈴木康平選手)(以下「鈴木選手」と表記)が登板したことです。
上沢選手と鈴木選手は同学年かつ同郷(千葉県)であり、高校時代の2011年夏には県大会2回戦で専大松戸(上沢)と千葉明徳(鈴木)の選手として対決、お互い先発投手として延長11回投げ合った間柄です(試合は延長11回6-6で引き分け)。そんな2人が一軍公式戦で同じ試合を投げるのはこれが初めてだったのです。
ちなみに、残念ながら今のところ「先発投手同士」として同試合に2人が一軍公式戦に出場したことはありません。2019年に投げ合いの可能性があり、鈴木選手はそれを楽しみにしていたんですがね……

これにて3連勝です。

2018年9月17日 B 2-4 F (勝ち)

この試合では勝ち投手にはなれましたが、もし打線が奮起しなければ負け投手の可能性すらあった試合でもありました。
上沢選手は7回2失点(自責2)と、いつものそれなりな内容で勝ち投手となりましたが、スコアボードを見ると「打線の奮起で勝ち投手の権利を得た」ことが分かる試合でした。
上沢選手は6回表終了時点で2失点しており、さらに打線は相手先発の榊原投手を打ちあぐね、5回裏終了時点で得点を奪えませんでした。
ところが、6回裏に入りオリックスは投手を山田選手に交代すると、打線は彼や後続の比嘉選手を打ち崩し、一気に3得点しました。こうしてめでたく上沢選手に勝ち投手の権利が渡ったわけです。

これにて4連勝です。

2019年3月29日 B 3-7x F (勝ち負けつかず)

祝!!!上沢選手、初の開幕投手!!!その時の試合がこれです。
しかし残念ながら、上沢選手の成績は6回3失点(自責3)と、少し残念な結果に終わってしまいました。しかも相手先発投手の山岡選手は凄まじい好投を見せており、結果どうやっても上沢選手に勝ち投手の権利が渡らない状況となってしまいました。
……しかし、この試合、上沢選手は負け投手にはなりませんでした。
山岡選手は確かに途中まで物凄い好投を披露していました(7回裏終了時点で1失点)。ただ、8回裏で山岡選手が露骨にバテ始めたようで、打線はそこを見逃さず2点を奪いました。ここで3-3の同点となり、上沢選手の負け投手の権利が消えたわけです。
そしてそのまま10回裏、1死3塁の状況でオリックスは2打席連続申告敬遠(!?!?!?)を行い、そして打席にはこの日不調だった中田選手(ここまで4打席0安打)が入るのですが……。ここまで説明したら何が起こったか思い出したor察した読者もいるかとは思いますが、その結末は是非ご自身で調べてみてください。
余談ですが、著者はこの試合を「大好きな選手が地元で開幕投手をやるなんて!!!これは現地行かなきゃ絶対後悔する!!!」と思い、実際現地でこの試合を観戦しました。本当に見に行ってなかったら今でも後悔するところだったな……と思える、そんな試合でした。

2020年7月28日 B 1-5 F (勝ち)

祝!!!上沢選手、長期離脱後初の一軍公式戦で勝利投手!!!
そうです、実は上沢選手、2019年6月19日から2020年6月30日まで、試合中の左膝骨折により1年以上一軍を離れていました。あまりにも左膝のやられようが酷かったので、一軍復帰の報を初めて聞いた時にはむしろ「あの大怪我でもう一軍復帰するの!?」と驚いたものです。
ちなみにこの日の成績は7回1失点(自責1)。あの大怪我のたった1年1ヶ月後でもこんな好成績を叩き出せるものなんですね……。

これにて5連勝です。

ちょっとだけ余談ですが、この頃はまだ上沢選手が対オリックス戦で5連勝もしていたことはメディアやファンの間でも特に騒ぎにはなってなかった記憶があります。5連勝したことよりも、あの左膝の骨折から復帰後初勝利できたことの方が多いに話題となっていたような。あと、2019年から日ハムに移籍した金子弌大選手(金子千尋選手と同一人物です。一応念の為。)が、対オリックス戦で移籍後から2020年7月7日まで36イニング連続無失点という、上沢選手とはこれまた別ベクトルでのオリックスキラーぶりを発揮しており、みんなそっちに目を奪われていたのかもしれません。というか金子さん日ハムに移籍したんかい!!!

2021年4月10日 F 5-2 B (勝ち負けつかず)

チームは勝てていますが、上沢選手にとっては惜しかったであろう試合でした。
この日の成績は6回2失点(自責1)でしたが、6回表終了時点で打線が2得点していたところ、6回裏で上沢選手が1失点したことで追い付かれてしまいました。
幸い、9回表で打線が漆原投手を打ち崩し一挙3点を得たことで、チームは勝利しました。
ちなみにこの試合の直前、当時上沢選手が対オリックス戦で5連勝中であることが報じられました

2021年4月24日 B 3-5 F (勝ち)

この日の上沢選手は7回2失点(自責2)と、上沢選手としてはいつも通りな感じのちょっと良い寄りのやや凡庸な成績でした。7被安打1与四死球と、少し出塁を多く許してしまってはいます。
ちなみにこの日の相手先発投手は山﨑福也選手でした。3回裏に一挙5失点ですか……。
ところでこの試合について改めて調べ直したところ、なんと2021年度一軍公式戦で初の札幌ドーム開催日での日ハム勝利だったそうです。…………マジで???4月24日やぞ???

これにて6連勝です。

2021年8月31日 B 1-3 F(勝ち)

この日の上沢選手の成績は7回1失点(自責1)。そして特筆すべきは、この7イニングで合計135球も投じたことでしょう。時々オリックスの打者に相当粘られてこの数字となりました。
ちなみにこの135球。上沢選手が登板した2021年度一軍公式戦の中で、完投した試合を含めて最も球数が多い試合でもありました。

これにて7連勝です。

2021年10月6日 F 3-2 B (勝ち)

特筆すべきことはあまりない、普通の勝利試合でした。特徴を1つだけ挙げるとすれば、この試合で上沢選手の当時のキャリアハイであった11勝(2018年)に到達したことでしょうか。
この日の成績は7回1失点(自責1)でした。そして後続のロドリゲス選手が1失点したことにより危うく勝利を逃すところでした。

これにて8連勝です。

2021年10月17日 B 3-4 F (勝ち)

上沢選手大はりきり回
この試合は、日ハムの同僚として、そして野球人としても先輩である斎藤佑樹選手の引退試合でもありました。
それ故か、上沢選手は序盤から飛ばして三振を奪いまくりました。野球の技術面に関しては今でも全くの素人である著者ですら「はりきってんなあ!」と思ってしまうくらいには非常に分かりやすく飛ばしていた記憶があります。そして、打線も4回裏終了時点で4点を奪いました。
しかし、6回表ではガス欠を起こしたのか、よく打たれるようになってしまいました。それでもこのイニングでは2失点でなんとか耐え、6回3失点(自責3)という成績でマウンドを降ります。
その後、斎藤佑樹選手を含む4人の中継ぎが無失点に抑え、上沢選手の勝利投手の権利は守られました。また、この試合で勝利投手になったことにより、上沢選手はキャリアハイ(12勝)を記録しました。

これにて9連勝です。

2022年7月1日 B 1-2 F (勝ち)

12連勝期間中最大の「なんでこれで勝てたんだ」回
この日の成績は6.2回1失点(自責1)と、これだけ見れば「投球回を見るにちょっとだけ調子悪かったんだなあ」とはなりますが、問題は被安打と与四死球です。なんと、このたった6.2イニングの間に8被安打6与四死球です。なんでこれで1失点で済んだの!?
対する相手先発投手の山岡選手は8回2失点(自責0)4被安打1与四死球、完投負けです。自責点が0であることから、守備のエラーが絡んで失点したことが伺えます。
……いやはや、それにしたって…………。
ちなみにこの試合の後、山岡選手はInstagramを更新し、「久しぶりに上沢さんと投げ合いました🙆‍♂️」と綴っています。山岡選手は自身が敗北した後にInstagramを更新することはどうやらあまりないようです。上沢選手と投げ合えたことがよほど楽しかったのでしょうか?上沢ファンの著者ですら「なんで勝てたのか分からない」と思ってしまうような試合だったのに???

兎にも角にも、これにて10勝目です。

2022年9月6日 B 2-6 F (勝ち)

何気に先述の山岡選手と再びの投げ合い対決です。
しかし!山岡選手は4.2回5失点(自責5)で敗戦投手となってしまいました。もっと質の良い投げ合いしようや!!!
そして上沢選手はというと、7回2失点(自責2)と、これまたいつも通りな成績でいつも通りオリックス戦で勝利しましたとさ。

これにて11連勝です。

2023年4月8日 F 6-2 B (勝ち)

「なんでこれで勝てたんだ」回
この日の成績は5回2失点。上沢選手にしてはやや悪い成績です。しかし先発投手が勝利投手の権利を得られる最低条件である「5イニング」は投げきれたので結果オーライ。
ぶっちゃけ相手先発投手の村西選手(3.1回4失点(自責4))にかなり助けられたところはあります

これにて12連勝です。

2023年7月1日 B 3-1 F (負け)

とうとう上沢選手の対オリックス戦不敗伝説も終わりを迎えてしまいました。
ちなみに成績ですが、蓋を開ければ8回3失点(自責3)と、意外と悪くない内容に収まりました。ただ、やはり11被安打は良くなかったです。

ちなみにこの日は金子千尋選手の引退セレモニー開催日でもありました。
思い出してみてください。上沢選手の対オリックス戦12連勝の1勝目は、相手先発投手が金子選手でした。……それからこの日までの間に、金子選手が日ハムへ移籍して、果てには連勝ストップ日に引退セレモニー……。こうして考えると、上沢選手がいかに長い期間対オリックス戦で不敗だったかを感じられるかと思います。

残響(2023.7.28~……)

さて、連勝がストップした上沢選手ですが、その後の対オリックス戦はどうだったのでしょうか。

2023年7月28日 B 0-4 F 勝ち (8回無失点)
2023年8月18日 F 1-1 B 勝ち負けつかず (9回1失点(自責1))
2023年9月1日 B 0-3 F 勝ち (9回無失点)

……普通に無敗ですね。なんなら個人成績だけ見たら12連勝期間中のどの成績よりかなり良い内容なんですけれども

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