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プロダクトマネジメントとしてのアートディレクション

こんにちは。クックパッドでたべドリというアプリをつくっているしげたです。

最近リニューアルしたたべドリのスクショ

今年からアプリのプロダクトマネジメントを中心に担うようになりました。これからガシガシ頑張っていくぞ💪というところで、過去の経験からプロダクトマネジメントについて思うところがあり、この記事を書いてみます。キーワードはアートディレクションです。

衰退期にはいったサービスでの経験

10年近く前の話です。ぼくは新卒で入った会社で、エンジニアとしてあるSNSを開発していました。当時LINEやTwitterなどのサービスが伸びるなかで、ユーザー数は減少に転じ、必死にもがいたものの力及ばず転職しました。

転職後も、何が足りなかったのか、どうすればよかったんだろうか、と考えることがありました。確かな答えはでませんが、自分のなかで腑に落ちたのはアートディレクションの重要性です。

転職して入ったデザイン会社での経験

クライアントワークをやっているデザイン会社だったため、様々な案件の様々なプロセスを見ることができました。

そのなかで、プロジェクトマネージャー兼デザイナーで、デザインドリブンで人を巻き込みながら、ビジネス上の成果も出すすごい人がいました。

アートディレクションという言葉は、Webサービスやアプリの界隈ではあまり使われません。ですが、全体の方針を決め、体験設計をして、競合との差別化も図りながらビジュアルやUIを決めていく流れは、アートディレクションと呼べるものだったと思います。

佐藤可士和の超整理術

アートディレクションの重要性は、当時あまり自分の中で言語化できてませんでした。ですが、友人に薦められて読んだ「佐藤可士和の超整理術」にバッチリ事例とともに言語化してありました。

アートディレクターの本質

整理することでいちばん大切なものを見つけ、磨き上げてデザインする。それがうまくいけば、見る人にメッセージを限りなく完璧に伝えることができる。

発泡酒の事例

当時、発泡酒というと、"安かろう悪かろう"という風潮も強かった。"ビール代を節約するため仕方なく飲む"といったネガティブなイメージが広がっていたのです。
(中略)
そこで、発泡酒のマイナスイメージをプラスに転換することを考えました。コクが足りないのではなく、"ライトで爽やかな飲み口"。ビールの廉価版ではなく、"カジュアルに楽しめる現代的な飲み物"というように、発泡酒を捉える視点を転換したのです。決して無理やり導き出したわけではなく、裏を返せばポジティブな見方ができる、ということです。そのポジティブなイメージを端的にビジュアル化したのが、簡潔でクールなパッケージや広告表現なのです。

他にも金言が多いのでぜひ読んでみてください。

最大のポイントは整理するための視点を導入することです。ネガティブなことをポジティブに転換したり、埋もれているポジティブを掘り起こしたり。

Webサービスやスマホアプリは規模が大きくなればなるほど、色々なニーズに対応して、サービスのコンセプトが曖昧になります。

某SNSをやってたときに「LINEはSNSじゃなくてメッセージングアプリだから競合ではない」という言説があったのが印象に残っています。今思えば、競合を広く捉え、そのなかで自分たちのユニークな価値を磨き続ける。そのための視点を定めて、ビジュアル含めてブランドイメージを構築していくのが大事だったんだと思います。全体最適が大事とは思っていましたが、アートディレクションというやり方があることは当時知りませんでした。

おわりに

自分はいま、ユーザー規模がまだ小さい新規事業をやっているわけですが、アートディレクションの考え方は、新規事業でも使えると思っています。

既存の代替品がいろいろあるなか、自分たちのユニークな価値、コアとなる価値は何なのか。どういう視点を定めてビジュアル含むUIやコンテンツをデザインすれば、見た人にパッと伝わり深く刺さる価値になるのか。

これってたぶんプロダクトマネジメントの範疇だと思うのですが、あえてアートディレクションという言葉を使ったほうが、視点が定まり突破できることもあるのではないでしょうか。

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