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第6回 「 精神障害ってなぜあるのだろう その2 」

障がいがある人の就職を全力サポートする障がい者ビジネススクール「ユニカレさが」の代表、大野のブログです

今日は精神障害ってなぜあるのかな、についてブログを書きます。第2回のブログで統合失調症をテーマに考えてみましたが、今回は「うつ」について考えてみたいと思うます。

一般に「うつ」といっても「うつ病」と「うつ症」に分けることができます。うつ病は「病」がついているので、脳内の神経伝達物質(脳内ホルモンと言われています)のバランスが著しく偏った、物理的な状況が発生していると言えます(あくまでも仮説ですが、もっとも正しいだろうとういわれている仮説です)。うつ病はその病気が原因で別の症状が出てくることがあります。一番大きな症状は「生活に支障をきたす状況」です。一方、「うつ症」は「症」がついているので、何か他の物理的原因により、うつの症状が出ている状態となります。抑うつ状態とも言います。例えば、癌に罹患することでショックを受け気分が落ち込む、といった状態を言います。

したがって、「うつ病」と「うつ症」では対処の違いがあり、うつ病の薬がうつ症には効かないということが間々あるのでその診断は難しく、医療による判断が必要となりますので素人が勝手に決めてしまうのは要注意です。ここで、「うつ病」と「うつ症」を比べるとうつ病のほうが重くて、大変だという印象を受けるでしょう。しかし、ユニカレさがに通学している「うつ」がある人を見ていると、「うつ症」がうつ病と比べて軽くて楽だという印象は全く持てません。うつ症の人も苦しいのは同じだということです。むしろ、うつ病は薬がよく効いて安定状態を保ちやすいのに比べ、うつ症は薬に頼るのではなく、気持ちが重要な分だけ、難しいと言えるのではないかと考えています。

うつとは何でしょうか。医療的な説明は上記に任せ、現場的な感覚で印象を述べさせていただくと「不安のために生きるチカラが低下している状態」だと考えています。私は「不安」が重要だと思っています。「不安」とは何でしょうか。私は生きるために必要な自分を守るものだと考えています。人間にとって最悪のこととは「死ぬこと」です。人間は「生きるため」に生まれてきていて、自分の意思だけで生きることをやめることはできません。意志では死ねないのです。必ず、ビルの高さ、電車、ロープ、薬など物理的手段がなければ死ぬことができません。人間には自分の意思の力で死ぬ(息を根性で止め続けるとかです。自分の手で首を絞めるもてという物理的手段ですから入りません)ことはできません。これは、人間には「死ぬ」という機能が備わっていない、ということができるのではないでしょうか。遺伝子は生き続ける欲望に突き動かされているだけで、人間には「生きる」という機能しか備わっていない。ところが、人間には寿命があり、自分の意思に関係なく、死んでしまうというジレンマがあります。死にたくないのに死んでしまうのです。自分の意思で死ねないのに、自分の意思に関係なく死んでしまうのです。ここに「不安」の大本があるのではないかと考えています。なので、人間は死なないために、死にたくないために「不安」という感情を持っています。「不安」によってさまざまな危機や生命的維持を阻害するものを回避しているのです。言い換えると「不安」は「生きる」ために必要なものなのだと言えます。

 あれ、矛盾しているぞ、とお気づきになられた方もいらっしゃるでしょう。うつとは「不安のために生きるチカラが低下している状態」だと言いながら、「不安は生きるために必要なものなのだ」というのですから、どっちやねん、と思われるでしょう。どっちもやねん、と私は言いたいと思います。「生きる」と「不安」はコインの裏表のようにセットされていて、そのバランスによって人は生命維持をしています。つまり自律神経の拮抗なのです。このバランスが崩れたのが「うつ」なのでしょう。ということは人間にとって「うつ」は避けられないものであって誰でもが、うつになる要素があると言えます。うつは、そのものが遺伝するのではなく、「うつになりやすさ」(脆弱性)が遺伝すると考えられています。また、脳の神経伝達系の機能低下、生育、ストレス、性格などの環境要因が加味されて発症するようです。

 もし人間に「不安」というものが備え付けられていなければ、これほどは繫栄せず、早々と種として死滅していたかもしれません。「不安」は人間にとって生きるために必要なもの。しかし、不安によって「うつ」が現れること。そう考えると人間にとって「うつ」は種が繁栄するために必要なものだと言えるのではないかということが考えられます。

「精神障害ってなぜあるのだろう」というタイトルで書くのは2回目ですが、前回同様、上記の仮説が成り立つなら、この答えはわかりません。遺伝子の「たくらみ」だとしか言えないからです。しかし、その証拠はありません。だからわからないとしか言えないのです。無責任な奴め、と言わないでくださいね。

そのような頼りないことを言っていますが、ただ、うつは乗り越えることが可能です。うつとはココロの中の生きるエネルギーがカラ状態になっているのですから、エネルギーを少しずつ焦らずに注入していけばいいのです。その方法等はまたの機会に。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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