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サガン鳥栖の歴代の主要監督の成績からいまを読み解く

川井監督のサッカーが過去のサガン鳥栖と比較してどのような傾向にあるのかを把握するため、サガン鳥栖における歴代の主要監督の成績を数表化して、比較してみました。
早速ですが、結果はこちらです。

数値からみれるもの

一番勝率が高かったのは岸野さんで、それに続くのが尹さんです。
松本監督とともに、サガン鳥栖のハードワークの礎を作った方々が高い勝率を誇っています。
岸野さんはカテゴリがJ2というのもあったでしょうが、尹さんはJ1に上がってからも2年半戦っているのでかなり立派な成績でしょう。

そして、現在の川井監督ですが、勝率としてはワースト。
2年半指揮を取っていますが、実は、森下監督よりも勝てていません。
森下監督の時も、かなり勝つことに…残留に苦労した印象がありますが、その時代よりも勝てていないのは、やはり、物足りなさは出て来ますよね。
敗率に関しては、育夫さんの時がワーストで、川井監督はワースト2位。勝てないにしても、引き分けにも持ち込めていないのが敗率からもわかります。

そして、一番着目したい平均失点ですが、一番少ないのは岸野さんの1.17。
そして当然というかなんというか、マッシモもJ1での戦いではありましたが、次いで少なくて1.18。
ハードワークはもちろんのこと、サイドハーフのポジショニングを駆使した組織的な守備で平均失点を抑え込んでいます。
その反面、マッシモ時代は得点が取れずに引き分けが多かったりしたこともありました。マッシモ時代の初期はタレントも少なかったのでなかなか難しかったでしょうね。

逆に平均失点のワーストは川井監督で1.50。
森下さん時代も失点が多くて1.45。
わかってはいたのですが、実際に数字として表してみても、川井監督はこれまでの時代に比べると失点がかなり多いですね。
森下さん時代も苦労しましたが、なんだかんだ最後は18チーム12位で終えてますから、川井監督も最後はなんだかんだで残留を果たしてくれれば特に贅沢は言いません。
これからどう戦っていくかですね。

鳥栖の歴史と守備に対する価値観

サガン鳥栖は決して潤沢な予算があるわけではないので、外国人選手とか代表クラスの選手とかを大人数加入させることができません。
決定力=個人の質といわれるケースも多くあるのですが、その個人の質に頼ることができないのが現状です。

ですので、これまで、半ば文化的に、守備は走力を駆使することを基本とし、前線からしっかりはめていく攻撃的なプレッシングや、引いた時には配置と人数をかけて相手に可能な限りスペースを与えない「組織的な守備」によって、予算の少なさを補って成績(結果)として示してきました。

川井監督は、とあるインタビューで
「がちがちに守り切って勝つようなサッカーはしたくない」
ということをおっしゃっていましたが、みなさんご存知の通り、「守備」ではなく「攻撃」によっておもしろさを追及するポリシーをもってらっしゃいます。
予算が少ないチームとしては珍しい素晴らしい試みであったかと思うのですが、結果としては数表の通りです。

その結果、予算が少ないチームが生き残るための術であった、
「個人に頼らずに組織で戦う」
「チーム全体で守り切る」
という楽しみの部分が薄れ、
セットプレイからの失点が多かったり、
プレッシングを簡単にはがされたり、
全体のラインコントロールがうまくいかずに簡単に裏を取られたりと、
守備の最大の見どころは、”パギさんのビッグセーブ”であることが多い今日この頃となっています。

ちなみに、私は、守備がしっかりとしているチームが好きです。そのチームのほうが「おもしろい」と思いますし、それこそがサガン鳥栖の醍醐味ともこれまで感じていました。

ここは、サッカーに対する価値観の違い(好き嫌い)なのでなんとも言えませんが、少なくとも川井監督が結果として勝ちを重ねていれば、価値感と異なるサッカーを展開していたとしても、それは称賛に値すると思っていますし、なんなら、古い考え方を捨てるきっかけになって、頭をアップデートできていたかもしれません。
プロセスややり方はともかくとして、優勝に勝るものはないですからね。

ということで、頭をアップデートさせてくれるまでには至っていないので、これまで通り
「良い攻撃は良い守備から」
という考え方が好きなのですが、実際、今シーズンも、他チームより1試合少ない状態で失点数はワースト4位ですし、少なくとも、今のサガン鳥栖はそういった守備としての魅力を表現してもらえる感じではないです。

現在は、マルセロヒアン、横山という、個人の能力を最大限に生かすサッカースタイルへと切り替えつつあり、少しずつ勝ち点をとれるようになってきました。
勝ち点を取るためのサッカーに舵を切るためにも、ヒアンの個の力を生かす形を作り、強い守備組織を構築してチーム全体が失点を減らすことに注力してほしいなというのが個人的な思いです。
ヒアン頼みとなるかもしれませんが、川井監督の3年目シーズンの開幕からのサッカーを見るに、ヒアンしか頼れるところがないのかなと思っています。

頼れるところには頼っていきましょう。
勝ち点を取れる仕組みを構築しましょう。
チーム全体で失点を減らす。
エースのためにチーム全体が動く。
エースがマークされたら伏兵がゴールを狙う。
それもまた、組織的なサッカーだと思いますし、いまのサガン鳥栖のタレントならば、やれると思っています。

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