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サガン鳥栖U18の課題(G大阪ユース戦を終えて)

プレミアウエスト ガンバ大阪戦を観戦してきたのですが、3点取ってから、残り10分で4点取られての逆転負けとなりました。
結果は残念無念でしたが、いろんないいプレイが見られて、特に3点はどれもクリエイティブで積極性が実ったゴールですごくよかったです。

その前の名古屋戦は、先に2点を取ってから終了間際に3失点を喫して逆転負けを喰らったのですが、今回は3得点目を取って残り10分まで来てたので、さすがに大丈夫かと思っていましたが、名古屋戦と同じような感じで終盤に立て続けに失点して逆転まで許してしまいました。

実は、下図の通り、その前の大津戦、清水戦も、終盤に失点を喫して引き分けに持ち込まれており、試合のクロージングに非常に悩まされている近頃のサガン鳥栖U18でございます。

ということで、追いつかれた大津戦、清水戦、逆転された名古屋戦、G大阪戦、すべて現地観戦しているので、感じたことをレポートします。

ちなみに、プロスポーツではなく、あくまで育成世代なので、課題提起のアプローチがこれで良いのかという側面はあるのですが、プレミアリーグを勝利して首位でシーズンを終えるということが目的であるという前提で、レポートすることをご承知いただければと思います。

課題1:体力が低下してきたときのスキーム転換

前半からの良い時間帯は、トップの山崎君が素晴らしいチェイスとプレッシングで相手の選択肢を減らし、中盤にボールがはいっても素早く囲い込み、長いボールを蹴られても相手よりも先に落下点に入り、こちらが張った守備の網に相手が入ってきてくれるので、狭いエリアの中での守備となり、密集のスピードも含めて優位に立つことができています。

相手が「自分たちの形」の中で攻撃をしかけているときは、こちらも「自分たちの守備」で応対できているのですが、鳥栖がリードしている状態で後半も時間が進むにつれて、相手も残り時間が少なくなり、早めに仕掛ける攻撃(いわゆる早めに蹴ってくる攻撃)にシフトしだすと、皮肉にも、攻撃側が本来作りたかった「カオス」を、点差と時間が作り出すことになってきます。鳥栖としては、予測が立たない中で早い攻撃を受けてしまうので、整える暇なく攻撃に晒されてしまう形になってしまいます。

前半のように、相手の動きに合わせてプレッシングの強度を上げ、ボールの出所を力づくで抑えられればよいのですが、どうしても体力の問題から前線からのプレスが弱まり、中盤の圧縮も緩くなってスペースが空くと、パスワークによって中盤がはがされ、カバーリングよりも相手のボール運びの方が上回り、スピードを上げてくる攻撃に対して、後手、後手を踏んでしまうことになります。ボールを奪いきる地点であるはずの中盤が幾度も破られてしまうので、最終ラインが自然と下がってしまう対応になってしまい、上下の駆け引きができずに常に矢印の方向が自陣のゴールの方に向いてしまうという悪循環を生んでしまいます。

その結果、最終ラインは背走をするケースが多くなっており、負けているチームが攻めにかかってカウンターを喰らうのはよく見るシーンですが、サガン鳥栖の場合はその逆で、気が付けば最終ラインの人数が少なく、勝っているのになぜかカウンターを受けているかのように背走しながらの守備が良く見られます。

栗林くんがしきりに、
「ズルズル下がるな!」
と言っていますが、チーム全体が意図と意思をもってラインをコントロールできなくなってる感じですよね。

それを顕著に現わしているのが、かなりの数の長いボールを蹴られているのに、ほとんどオフサイドが取れてないという状況かなと。全体が押しあがることができれば、早めに放り込みたい相手に対してオフサイドをとれるシーンもあるのですが、オフサイドがとれないので、ラインを整えたり、体力を回復するために休まる暇を作ることなく、上下動を繰り返し、とにかく受けるだけの時間になってしまっているのがきついですね。

ここからは、私の見立てですが、前線からの守備は、山崎君がかなりの貢献を見せており、彼が、相手チームのボール保持に対して適切にコースを切ってくれて鋭いプレッシャーをかけてくれることにより、相手のパスの出しどころをうまく誘導しています。また、守備のみならず、アバウトなロングボールに対する競り合いや、足元に入ってくるくさびのパスなども、屈強なDF相手に五分以上の競り合いを見せてくれております。

下の図は山崎君の交代前後の状況ですが、山崎君が交代してからの失点が非常に多く、得点も奪えていないですし、試合のクロージングや展開を変えるための交代が機能していないことを示しているように見えます。

体力が落ちてきたり、プレスが利かなくなってきたときに、どういうスキームに転換するのかというのは今後の課題でしょうね。

前半と同じような守備をしようとしても、なかなかうまくいかずに、逆に相手にスペースを与えることになってしまって、ラインも整わないなか攻撃を受けてしまっているので、何らかの転換をするタイミングが必要であるかと思います。

一つの解決策としては、守備への転換が発生したということを示す意思疎通が必要なのかもしれません。例えば、ユンさん時代は、小林久晃が出てきたら、5バックに移行することが明確で、ここからは守備の時間だ!という意思統一ができていました。そうやって、守備の時間であることを認識して、チーム全体がどこを重点的なエリアにして守備をするのかというのをあらかじめ設定しておくことで、動きの統一化が可能となります。

もしくは、ボールを握り倒すような形を取るかですね、最後の方は、苦しくなって長いボールを蹴りだすケースが多いです。奪っても相手からカウンタープレッシングを受けて、つなぐことができずに蹴りだすことが多くて、これによって波状攻撃を受けてしまうことになるのですが、ここを我慢して、ボールを握り倒して時間を上手に使っていく試みをするとかですね。

5バックを例に出しましたが、センターバックを入れることだけが守備のテコ入れではないので、選手交代でなくても、配置の転換やラインのコントロール指示でも全然良いのですが、いまのサガン鳥栖U18は、こういった守備のタイミングでの選手交代や、守備組織の変更がうまく機能していないように感じます。

育成世代なので、センターバックを投入して守り切るという形が今後のために良いのかという是非はあるのかなと思いますが、これから、プロや大学に進んで、そういったシチュエーションは必ずやってくると思うので、勝利をもぎとるための一つのパターンとして、身に着けることもひとつの勉強なのかなとも思います。

課題2:終盤におけるプレーやポジショニングの判断

課題1で登場した「体力の低下」「カオスな状況」に起因するものではあるかとは思いますが、プレーの判断、ポジションの判断によって、自分たち自身で不利なシチュエーションを作ってしまうケースが見られます。

例えば、大津戦1失点目は、右サイドからのドリブルでの持ち出しを相手陣内でカットされ、そのまま左サイド(鳥栖の右サイド)のスペースをドリブルで独走されてクロスから失点しました。持ち運びのドリブルもですし、周りの選手たちはカバーリングの体制を取れなかったのかというのは振り返りが必要でしょう。奪われて持ち込まれてクロスで失点というのは、あまりにもあっさりしすぎていて、リスクマネジメントの面ではかなりの反省材料でしょう。(それはそれとして、大津のクロスはピンポイントの素晴らしいクロスでした。)

また、清水戦3失点目は、残りアディショナルタイムで何分もない中、相手陣内でマイボールでのスローインをカットされてクリア気味のボールを拾われて右サイド(鳥栖の左サイド)の裏にパスをだされてすぐにクロスを上げられ、ペナルティエリア内で倒してPKを献上してしまったのですが、残り時間も少なく、勝っている状態で、相手陣地のスローインでスロワーよりも前に4人、スロワーと同列に2人がポジションを取っていたというポジショニングは果たしてどうだったのかなと。現実的に顕在化してしまったカウンターのリスクを考えると、この配置が正しかったのかというのは、検討の余地があるでしょう。

名古屋戦の3失点目は顕著で、同点に追いつかれて攻撃的な焦りのあるなか、左サイドの中央付近から相手のプレッシャーにたまらず、普段は蹴らないようなロビングを中央に上げますが、これが、おあつらえ向きのカウンターしやすいボールに。このロビングボールを蹴った瞬間に、田中監督が大きな声で「それはダメ!!!」と叫んでいらっしゃいましたが、その声もむなしく、カウンターで失点してしまうことになりました。

そのほかにも、終盤の時間帯に失点を重ねても、キックオフからのリスタート方法を変えず、コーナーフラッグを目指して長いボールを蹴っているのですが、相手スローインになって前から行って、蹴られてはがされて、そして押し込まれる時間がすぐにやってくるというのを繰り返しています。
G大阪の2失点目は、1失点のキックオフの後にすぐに攻撃を受けてコーナーキックを与えてしまい、失点につながってしまいました。
同じことを繰り返して失点している以上、キックオフのやり方もこれでよいのかというのは考えなければならないでしょう。

連続失点を喫しているときは、往々にして、プレーが軽くなってしまっている傾向も見れるので、そういったときに、ひとりひとりが味方のフォローやチームのために何をするべきかという判断ですね、ここ数試合の内容を確認して、そういったところを向上できていければと思います。

課題3:リバウンドメンタリティの向上


G大阪戦が顕著だったのですが、1点取られてもまだ2点差があるわけで、焦る必要も慌てる必要もないのに、自信を失っているのか、、トラウマになっているのか、、変な緊張感というか、また何か起こるのではないかという不安そうな雰囲気が漂っていました。
鳥栖相手ならば、何点取られても、最後は追いつけるという、変な自信を相手チームに与えているようで、最近の展開はホントよろしくない状態ではあります。
いまのメンバーは、ストイックでクールなメンバーが多いので、アグレッシブでバイタリティのある北島君、先田君、増崎君たちが軒並み怪我で離脱しているというのも若干影響あるかなとも、端から見て少し感じるところはあります。

名古屋戦、G大阪戦と、同じような展開を繰り返してしまったのは確かですが、全体的には素晴らしいサッカーで得点も取れているので、チームとしては、ここで選手たちが自信を失わないようにケアしてほしいですね。

ここ最近、なかなかない試合を経験していますので、よい教訓として、リードしている段階から失点をしたときに、どういうふるまいを見せるべきか、どういうメンタルで立ち向かうべきか、そういったところを学習して、同じようなケースに陥りそうになった時に、選手もベンチもともに逆境に立ち向かうための雰囲気づくりを果たして、一旦メンタルが落ちても、そこから跳ね返すパワーが欲しいところですね。


さて、日曜日は2位のヴィッセル神戸U18との首位攻防戦です。
直接対決なので、負けたら首位を明け渡し、勝ったら勝ち点差を5に広げられるという大事な一戦。
こんなにしびれる状況でこの試合を迎えるのは、楽しみのほか何物でもありませんね。
選手のみなさまは、いつも通り、サッカーを楽しんで持てる力を発揮して、結果はあとからついてくるの精神で頑張ってほしいなと思います。
そして、ベンチのスタッフのみなさんは、彼らが迷いを見せずに集中して戦えるように、しっかりとサポートしてほしいですね。
12月10日には、選手たちとともに国立の舞台に向かいたいので、

「プレミアファイナルへ行こう!」

を合言葉に、応援したいと思います!

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