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サガン鳥栖U18 対 ガンバ大阪ユース(プレミアWEST 2022)

高円宮杯プレミアリーグウエスト サガン鳥栖U18 対 ガンバ大阪ユースの観戦記です。

前回の清水エスパルスユースの応援断幕もびっくりしたのですが、今回のガンバ大阪ユースも横断幕が貼られていました。
歴史のあるチームはしっかりとサポーターが来られるんだなと思いました。

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スタメン

さて、スタメンはこちらです。

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ちょっと残念な話がありまして。若きサガン戦士にけが人が続出しております。
赤崎くんが先日のプリンス神村学園戦で痛めたのですが、今回、さらに竹内くん、北島くん、鬼木くんがケガで休養となりました。
いちばん動きたい時期に動けないというつらさはあるでしょうが、いまやれることをしっかりとやるということが将来にもつながりますので、焦らずに完治を目指してほしいと思います。

この試合は、ひとつ、フォーカスするところがありまして、3年前にさかのぼりますと、この年代の選手たちは、3年前の高円宮杯で準優勝という結果を残した年代なのですが、決勝はガンバ大阪に0-2で敗れての準優勝でありました。
サガン鳥栖は、その試合に出場している選手たちが多く残っておりまして、福井くん、楢原くん、山本くん、堺屋くん、今村くん、増崎くん、先田くんと、7名の選手たちが出場しており、その試合のベンチでは林くんも控えておりました。対するガンバ大阪は、桒原くんと南野くんがスタメン、リザーブには足立くんがいて、当時悔しい思いをした相手と時を超えて再戦することとなりました。戦いの場は異なりますし、選手も入れ替わってはいるのですが、あれから3年たって成長した部分をぶつけてしっかりと勝利を得たいものです。

また、サガン鳥栖の木戸くんはMIOびわこ滋賀U-15から鳥栖に来てくれたのですが、ガンバ大阪の18番池田くんもMIOびわこ滋賀U-15出身。フォワードとディフェンスとしてのマッチアップで、これもおもしろい戦いとなりました。

さらに、さらに、鳥栖の鈴木くんとガンバの松井くんも、FC.フェルボール愛知出身の期待の1年生ということで、互いに途中出場でのマッチアップもありと、いろいろと楽しい話題があったのですが、ちょっとこのあたりまでとしておきます(笑)

前半

試合は、開始早々から鳥栖がチャンスを迎えます。ディフェンスラインの背後にアバウトに入ったボールを、左サイドの増崎くんがディフェンスと競りながら前のポジションをとり、ペナルティエリア中央手前くらいで倒され、フリーキックのチャンスを得ます。

(小声)
あの位置で抜け出しを阻止してのファウルで、あとはキーパーと1対1だった感じですから、DOGSOでレッドカードかなと思いましたが、違いました。あえて言うならば、ボールのコントロールがうまくいっていなかったかなというところなんですかね。

その位置で得たフリーキックのチャンスを、福井プロが、風と芝目を読むようなじっくりとした観察を経て、壁の間をすり抜け、キーパーが反応できないくらいの鋭いボールを蹴り、右サイドからの軽いフックラインで豪快なゴールを突き刺してサガン鳥栖が先制点を挙げます。

幸先の良いスタートを切ったサガン鳥栖が、その後も攻勢をかけます。左サイドは増崎くんのために1対1を作る形づくり、右サイドは山本くんがスペースへ抜け出すための形づくり、それぞれ左右で形は異なりますが、ウイング、インサイドハーフ、サイドバックがよい連係を見せ、逆サイドへの大きな展開を交えながらシュートのチャンスを伺います。

楢原くんは、サイドをごりごりと突破して駆け上がって自分で決めきるイメージの選手でしたが、新チームになってからはインサイドでむしろサイドの選手を使っていくようなゲームコントロールの役割を果たし、回収業者(プレッシング)としては当然のごとく健在の動きで、プレイの幅がすごく広がったなというのを感じます。

今村くんもU15時代のサイドバックのイメージから、ウイングへと列を上げても動きがさらに洗練され、内側に切り込む動きもシャープで、味方への声掛けや指示でもわかる通り、戦術眼に関してはこのチーム随一でもありますので、彼が怪我なくピッチにいてくれると試合も引き締まりますし、さらに鳥栖の全体の底上げにもつながりますし、非常に頼もしいです。

前半から、鳥栖はガンバディフェンスラインに対する前線からのプレッシャーもかなり効いていて、特に山崎くんのチェイスを起点としてそれに堺屋くん、楢原くんが追随してからのボール奪取もできており、ショートカウンターも効果的に発動できていました。その反面、プレッシャーを掻い潜られてしまった際には、縦に早いガンバの攻撃の餌食となってしまうこともあり、幾度となく危ないシーンもありました。

互いに、自分たちの持ち味を発揮しつつあったころ、サガン鳥栖にピンチが訪れます。栗林くんのゴールキックのあと、大里くん(だったかな?)が栗林くんにバックパスをしたところ、相手選手に当たって栗林くんのところにボールが転がります。栗林くんは、最初はダイレクトでクリアしようとしかけたのですが、相手に当たっているということもあってボールをキャッチ。すると、審判からホイッスルが。バックパスをキャッチということでペナルティエリア内で間接フリーキックが与えらました。当然、サガン鳥栖の選手たちは、相手に当たっているので猛抗議。この抗議によって、山本くんにイエローカードが提示されました。

(小声)
正直、鳥栖の選手が抗議した通り、相手選手に当たっていました。誤審ではあるのですが、ただ、かすかに当たった程度でもあったので、主審も副審も見えにくかったでしょうし、普通にクリアする余裕はあったので、審判が見えていないかもというリスクがある中でキャッチをする必要はなかったかもですね。そういった話を、試合後にチームでもされていたみたいですし、よい勉強になったと思いましょう。

間接フリーキックは、先日のトップチームのFC東京戦の逆パターンとなったのですが、サガン鳥栖の選手たちは
「でるなよ、でるなよ、絶対に出るなよ!」
と、ダチョウ倶楽部ならば、耐えきれずに、最後に「出ろよー!!」って言いたくなるような声かけが行われていて(笑)

ガンバもキックフェイントは見せましたが、サガンのトップチームがやったような露骨な感じでもなく(←(笑))、鳥栖の選手が、ゴール前に1列に並んで、かなり慎重にもう、手を地面に付けつつ、足がそわそわしながらも頑張ってその場から動かずの対応をして、ガンバもちょこんと蹴ってからシュートを試みますが、壁にあたり、跳ね返りが混戦になり、そして最後は福井くんが大きくクリア!この類の間接フリーキックは意外と入らないものと思っていながらも、ゴールを死守することができてホッと一安心でした。

ピンチの後にチャンスあり。次の得点は、このピンチを乗り切ったサガン鳥栖に入ります。右サイドから今村くんが素晴らしいクロスボールを送ったのですが、それをガンバディフェンスがかろうじてクリア。そこで得たコーナーキックを、またもや、風と芝目を完全に読み切った福井プロが、ややニアサイドで待ち構えていた堺屋長官にピンポイントのキックを放ち、堺屋長官がどんぴしゃりでヘディングでのゴールを突き刺します。気持ちよいくらいのゴールでサガン鳥栖陣営のボルテージも上がります。

さらに畳みかける鳥栖は、今村くんが右サイドでボールを持ち、アウトサイドの山本くんをおとりにしつつ、ゴール前に飛び込んできた楢原くんにピンポイントのクロス。それを楢原くんが、新田くんばりのノートラップランニングボレー隼シュートを放ちますが、おしくもボールはゴールポストよりやや右に。このシュートが決まっていたら、気持ちよかったな~と思ったのも束の間、チャンスを決めきれなかった後には、お決まりのように、サガン鳥栖にピンチが訪れます。

ガンバ18番池田くんがセンターサークルやや左でボールを受けて突進をはじめ、中央やや右サイドにいた安達くんにボールを渡します。安達くんもドリブルで突破を始めますが、鳥栖のディフェンス陣が少し外に追い出すような動きを見せ、安達くんもシュートを打てそうだったり、池田くんにリターンを返せそうだったりするタイミングがありそうな感じながらも、確実ではなかったからか、縦へ縦へと向かいます。(池田くんや南野くんはパスが欲しそうな感じでした)。そのゴールライン際まで、鳥栖としてはあとはクロスに注意というところまで追い込んだのですが、次の瞬間、

「ズドン」

まったく角度のないと思われたところから、安達くんが目にも止まらないくらいの素晴らしいキックでサガン鳥栖ゴールに突き刺しました。正直、あんな角度からのゴールを見たのは、ドーハの悲劇の時の93年のワールドカップ予選で見せたイラン戦のゴン中山のゴールくらいかもしれません。

1点差に追い上げて息を吹き返したガンバがさらに攻め立てます。37分頃、鳥栖が自陣でビルドアップを始めますが、勢いに乗るガンバが前線からのプレッシングを開始。その圧力に屈したのか、鳥栖の選手がパスミスをしてそのボールを拾われて、25番長田くんから9番南野くんへとわたりシュート!このボールはほんの僅か、ゴールの右のポストをかすめながら抜けて行き、鳥栖は命拾いしました。

正直、このシュートが外れてくれたことがこの試合を左右した気がします。決まって同点になっていたら、勢いも変わりますからね。ガンバは森下さんがサガン鳥栖時代に監督をしてもらっていた時のように、ボールを奪ってからの縦への動きが本当に早く、また、そういったしかけをできる選手がしっかりとそろっていて、ほんのちょっとした隙が命取りになるような素晴らしい攻撃を見せていました。ただ、ボールを保持する時間がどうしても短くなるので、後ろが休まる時間が少なく、その負担があとでじわじわと効いてくるかなと思いました。これも当時のサガン鳥栖の印象と同じかな。当時は先にリードしたら後ろに選手を固めて逃げ切っていたのですが、相手に先制されると苦しかったイメージです。

後半

後半にはいってからは終始鳥栖のペース。追加点もサガン鳥栖に入ります。

64分、右サイドからのコーナーキックからゴール前で混戦になりますが、ガンバ大阪がクリア。クリアボールをサガン鳥栖が拾って、ボールは栗林くんの下へ。栗林くんがガンバディフェンスラインの裏へフィードすると、コーナーキックからの流れで前線に残っていた大里くんが猛然と裏へと抜け出し、飛び出してきたゴールキーパーよりもほんの一瞬先にさわり、ヘディングで競り勝って、ボールはころころとゆっくり転がりながらガンバゴールの中へ。大里くんがフォワード時代をほうふつとさせるような力強いジャンプとヘディングで貴重な追加点をたたき出しました。

70分には、サガン鳥栖が誇る二大「ダイチ」の後を継ぐ期待の高い、三人目の「ダイチ」である鈴木大馳くんがはいり、早速チャンスを迎えます。

鳥栖がペナルティエリアよりもやや手前、右サイドで得たフリーキックを、これまた福井プロが風と芝目をしっかりと読んで、ゴールキーパーとディフェンスラインとの間にピンポイントのクロス!
これを鈴木くんがしなやかにゴール前に入り込んでジャストのタイミングでジャンプ一番ナイスヘディング!
そして、いつものごとくのボールは左のポストで跳ね返されてゴールならず!(苦笑)
鈴木長官の初ゴールはいつ来るのか、ホント楽しみにしているのですが、このまましばらくゴールできないのも、ネタ的には面白いとも失礼なこともほんの少し考えつつ(笑)

そういったプレイがあった直後、75分、鳥栖がビルドアップから栗林くんが左サイドへ大きなフィード。ガンバのサイドバックのヘディングが届かない所へのナイスボールとなって、サイドのライン際で増崎くんがナイストラップ。そこから左サイドを前進し、中央にカットインして、最後はゴールキーパーの逆をついて冷静にゴールに流し込むシュートを決めます。懐かしきオランダ代表、オーフェルマウスを髣髴とさせる重心の低いドリブル突破とカットインは、2年生になってさらに磨きがかかった気がします。ちなみに、増崎くんがカットインして、ゴール前に迫ったとき、鈴木長官がパスを欲しそうにしてましたが、残念ながらパスは来ず(笑)

そうやって、我々を楽しませてくれたあと、ようやく、鈴木長官に春が訪れます!!!

88分、ガンバのスローインだったのですが、鳥栖が素早い寄せでボールを奪って、堺屋長官が中央をドリブルで持ち上がります。遠い位置からとはいえシュートコースもあるかなと思っていたのですが、ガンバディフェンスが堺屋長官に迫るのを待ち受けてぎりぎりまで引き付けてから、アウトサイドの山本くんへパス。このパスはまさにディフェンスラインを切り裂くというべき素晴らしいパスでした。山本くんは右サイドにでたボールに追いついてクロスをあげ、先田くんがニアサイドで絡んでゴール前に点々と転がり、鈴木長官の目の前にボールが……!

そして、ついに!ついに!鈴木長官のゴール!!!

ピッチはお祭り騒ぎ!
ゴール裏もお祭り騒ぎ!

ピッチではやっと決めたなーの声!
ゴール裏でもやっと決めたなーの声!

ホワイトオオタニは、ついに大型新人に覚醒の時が来たという大歓喜の声!
ブラックオオタニは、ついに決まっちゃったかとの心の中の超小声(笑)

楢原くんのあたまなでなで、福井くんの駆け寄り、先田くんの笑顔、みんなが待ち望んでいた待望の鈴木くんのゴールでした。

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秀逸な動きを見せていたものの、プリンスリーグでもなかなか決まらなかったゴールをプレミアリーグで挙げたのは、鈴木くんにとって大きな自信になるでしょう。これから、どんどんゴールを奪って山崎くんとのレギュラー争いに名乗り出てほしいです。いや、しかし、サガン鳥栖U-18は、山崎くん、鈴木くんと、スーパーなポテンシャルと才能を持ったフォワードを二人も抱えて、本当に今後が楽しみです。

ちなみに、サガン鳥栖には、同じくらいゴール前わずかの距離でも、宇宙開発して外したイバルボ(10%時代)という選手もいたので、ちゃんと決めてくれてよかったです(笑)

試合後

試合終了後、ピッチで崩れ落ちるガンバのキャプテン桒原くんの下へ、福井くんと楢原くんの姿が。彼ら3人は、U15時代からもですし、代表としてもですし、同じ舞台で戦ってきており、桒原くんのキャプテンとしての重圧、責任を抱え込んだ苦しさを理解し、そして包み込むのは、もしかしたらこのピッチ上では福井くんと楢原くんしかいなかったのかもしれません。試合の勝ち負けだけではない、敵・味方ということだけではない、サッカーで培った友情というものを感じました。

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では、今週のハイライト。

ガンバのゴールキーパーが味方に向かってボール見ろ!ボール見ろ!って言っていたのですが、そこをゴール裏で通りかかった古館くんが、ボールボーイをしていた井本くんに対して、
「ボール見ろって言われよるぜ(ニヤリ)」
と井本くんにちょっかい(笑)
井本くんも
「オレが?!」
と振り返って苦笑い。
井本くんは、古館くんが来たので、ちょっとそっちの方に視線がよっていってて、若干のよそ見中だったので、古館くんのちょっかいのタイミングが絶妙で面白かったです(笑)

ガンバ戦の観戦記は以上となります。
見ていただいて、ありがとうございました!

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