SBGはぼくたちの作品だ。
今春、第2期計画のパネル設置工事も終わりに近づいたある日、元請けのHさん立ち合いで工事の進捗や改善点などについていろいろ話し合っている中で、彼がポツリと言った言葉が印象に残っています。
「これはボクの作品なんです。責任をもってやらせていただきます」と。
そんな彼の気持ちを知って、「ああ、この人なら仕事任せられるな」と思いました。
SBG(SAGAMICO BERRY GARDEN)は、わたしたちにとってもまったく新しい世界の創造であり作品でもあるからです。
ソーラーシェアリングにしても、ブルーベリーの養液ポット栽培にしても、観光農園にしても、SBGを構成する個々のパーツはどれもみな特段真新しいものではなく、すでに世の中に存在するものばかりです。
ソーラーシェアリングについていえば確かに相模原市初のケースになりますが、全国で考えればすでに2000件を超える実績があります。ブルーベリー養液ポット栽培はどうか。これまた特別に珍しい栽培方法ではなくいまや数多く存在しています。観光農園に至っては言わずもがなです。
それでは、いったい何が新しい世界の創造なのでしょうか。
SBGに設置されているソーラーパネルは、一般的な産業用パネルの他にソーラーシェアリング専用の細型パネル、両面発電パネルの3種類です。ここで発電した電気(設備容量272kW一般家庭約80軒分 )は、今は国の電力固定価格買い取り制度(FIT)で全量売電していますが、いずれ、現行法制度など実現を難しくしている諸条件がクリアできれば、FITで東京電力に全量売電するのではなく地元地域に直接供給できたらいいと考えています。
また、来年の開園時までに新設を計画しているエントランスハウスは、小規模のソーラーシェアリングの発電設備を隣に併設してハウスで使う電力をまかない余った電力は売電する自家消費型モデルにする予定です。いわゆる庭先ソーラーというやつです。
ひと口にソーラーシェアリングと言ってもこれだけ多様なパターンが揃っているところは全国でも他に例がないと思います。
ブルーベリーの養液ポット栽培についてもそれ自体は特別新しいものではありませんが、ソーラーシェアリングとの組み合わせは全国でも珍しく、多分わたしたちのものが日本の代表例になるでしょう。
そして、観光農園。
わたしたちの農園はただブルーベリーを摘んで食べて持帰るだけのものではなく、プラスアルファの価値を感じていただけるものにしていきたい、そのために会員制予約制で運営し、会員みなさんに密を避けてゆっくり楽しんでいただく場の提供を考えています。ご家族でお楽しみいただける各種イベントの開催、自然エネルギーや新しい農業が学べるプログラムの提供、農園周辺のネーチャーツアー、アグリワーケーションなどブルーベリー狩り以外での使い方、過ごしかたを通年で用意していきたいと思っています。
SBGが位置する場所は、いわゆる中山間地と呼ばれる場所です。そこで農業が立ち行かなくなって放置されてきた耕作放棄地を活用することで、新しい価値を生み出していきたいのです。
革新は異質なものの組み合わせから生まれると言われます。
農業×観光×教育×エネルギーの相乗効果でまったく新しい一次産業の形が生み出せたらいいですね。
わたしは長い会社生活の中でいろいろなしごとを経験してきましたが、その大半は前例のないテーマへの挑戦でした。踏み跡もないところに分け入って道を切り拓いていくのは並大抵ではありませんが、そこには新しい発見があり自分たちの作品を創りあげていく創造の喜びがありました。
いま、SBGでわたしたちがチャレンジしていることはまさにそんな世界の創造です。自分自身どれほどの力になれるかわかりませんが、この作品作りの一角に加わっている幸せを噛みしめながら日々がんばっています。
(2021.8.28 山川陽一)
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