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会社の看板に頼らない、PRパーソンの新しい働き方/日本PR協会主催イベントでの気づき

9月28日から10月2日にかけて、日本パブリックリレーションズ協会によるイベントが開催されました。今後10年を見すえたPRのあり方に関する議論をする場です。

今回、最終日の最後のトークセッションで、フリーランス枠で登壇させていただきました。他の登壇者は、noteプロデューサー/ブロガーの徳力 基彦さん、マテリアルグループ 代表取締役社長の青﨑 曹さん、そして、モデレーターは本田事務所 代表取締役の本田 哲也さんという、普段、書籍や記事のコラムで拝見している人たちばかり。

そもそも、人前で話すことに慣れておらず、「会社の看板に頼らない、PRパーソンの新しい働き方」などという恐れ多いテーマ。私なんぞが出る幕では・・と思いましたが、苦手なことにこそ挑戦する!と決めた独立二年目。葛藤の末、ありがたくお受けすることにしました。記憶に残った話題について、書き記してみようと思います。

PRの仕事は属人的

大企業にいたころ、これを意識する機会はあまり、いや、ほとんどありませんでした。なぜなら、広報ポジションは社内異動ルーティンの一つにすぎず、異動者を前提とした組織体制ができあがっているためです。業務オペレーションがある程度マニュアル化されており、むしろ、属人的になってしまうことを避ける仕組みがありました。

他方、それらの仕組みがないベンチャー企業やフリーランスという立場からすれば、これは本当にそのとおりだと思います。担当者の人間性そのものが、この仕事に活かされているといっても過言ではありません。私自身も転職による入社で前任者から引き継いだり、産休に入る方の代打でお仕事を引き受けたことがありますが、まさしくそのことを痛感しました。

広報と一口に言ってもいろいろな仕事のプロセスがありますが、これを一番痛感するのはメディアリレーションの部分。ここは、広報担当者とメディアの方との関係性を無視できないと感じます。前任者の紹介でメディア関係者とつながることはできても、そこからきちんと結果につながるいい仕事ができるかどうかは、自分自身が関係構築できるかどうかがにかかっている。まさに、この仕事は「対話」によってなりたつことを感じるお話です。ほかにも、ネタに対する視点の持ち方(=情報開発力)なども大事なポイントになろうと思います。

PRパーソンは黒子である

大企業での経験を振り返ってみると、まさに、この言葉に尽きます。私の広報マインドはほぼ、これがベースになっています。主役は会社であり社長であり社員であり商品。広報は裏方であれ!と徹底的に教わりましたし、身体に染みついています。なお、個人的にはこの思想は性に合っているし、すきです。

他方、それゆえか、自分自身の思いを伝えることが苦手だったり、このnoteも重い筆(キーボード)を必死に持ち上げて(たたいて)言葉を連ねています。なんというか、自分のことまで他人任せになってしまっている。PRという仕事そのものに対しても、この感覚が抜けないでいるのかもしれません。どおりで、広報のご相談をいろいろとお受けすることはあっても、広報の実態って理解されていないなあと感じることが多いわけですよね。

なお、スタートアップやフリーランスのPRパーソンを見ていると、世の中への打ち出し方が上手。何を大事にしているのか、自分の強みはなにか、言語化に長けている人が多い印象です。私も彼ら・彼女らに続けたらいいなと思い、少しずつ言語化にトライしていきます!

普段から意識しているのはプル型のコミュニケーション

お仕事の発注をいただくために意図してやっていることは、実はあまりありません。そもそもの前提として、まるっと広報業務を請け負うことが多いため(コンサルやアドバイザーのように知恵とアイデアを提供するというよりは)、一度にたくさんのお仕事を受けることができません。逆に言えば、たくさんのご相談がなくても成り立つということが言えます。

という観点で振り返ってみると、この2年間、誰のお仕事を受けてきたかというと、知り合いや友人が7割程度、残りが既存クライアントからの追加発注や知り合いからの紹介です。

その7割の人たちとはどこで出会ったかを振り返ってみると、ほとんどが勉強会やセミナー、イベントなどがきっかけです。大学時代の友人とか前職の同僚とか、そういった元からのつながりではなく、ここ数年(特に、ベンチャーに身を転じてから)、外に出て行ったときに出会った人ばかり。飲みに行ったり仕事の相談に乗ってもらったりしているうちに関係性ができて、彼らに広報のニーズができたときに声をかけてもらうというパターンになっていました。

では、なぜ、そういう人たちが声をかけてくれたのか?

一つ言えるだろうことは、仕事に関する投稿をfacebookでちょくちょくしており、私は「PRの人だ」と認識してもらえていたこと。外部の人たちと接点を持つPRパーソンって意外と少ないのでは?と思っており、だからこそ、そこの分野で第一想起していただけたような印象があります(先日知り合った人も、PRパーソンと知り合うのははじめてだとおっしゃっていました)。

また、普段、何を考えているか他愛もないことをつぶやいてみたり、情けない話や失敗談を泣き言とともに書き連ねたり・・私という人間がどんな雰囲気なのか、それとなく伝わっていたこともあるかもしれません。イベントで一度知り合っただけの方が、何気ない私のつぶやき投稿を見て、PRを任せるならこの人だと思った!と連絡をくださったこともありました(ありがたや〜!)。

これは、徳力さんや本田さんの言葉を借りると、プッシュ型ではなくプル型のコミュニケーション。やんわりと横目でちら見されるほどには自分を開示しておき、興味を持ってもらえたときに見てもらえるというスタイルです。今の時代ならではの営業スタイル?なのでしょうか。

まとめ

1時間のセッションはあっという間に終了。私自身、冒頭はとても緊張していましたが、気づけば他の登壇者の話に聞き入ってしまい、普通に楽しんでいました。今まで自分が感じていたPRの枠組みを越え、この仕事の奥深さを改めて感じることができました。大企業からベンチャーに転じたときもある種の衝撃を受けましたが(立場変わるとこんなに見え方が変わるのか!と)、今後もPRそのもののあり方が変わっていきそうな予感がしています。

今回、このセッションは100名を超える方がご視聴くださったようで、テーマへの関心の高さが伺えます。PRの力を信じる人が一人でも増えてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。改めまして、貴重な機会をいただいたことに感謝です!

次こそは自己紹介を書きます!

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