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第2話 AIを使った交通量調査の難しさ~解析設定編:高精度でAIを使うためには…~

こんにちは!新卒1期内定者でインターンをしております遠田です!
本ブログは、セーフィー新卒内定者がAI交通量調査に挑戦する経験をまとめた全5話シリーズの第2話です。

前話のおさらい ~セーフィーで取り組む交通量調査とは?~

第1話では、セーフィーが挑戦中のAI交通量調査について説明しました。
AIと聞くと、ヒトに代わって何でもやってくれるというイメージがありますが、実はそんな簡単なものではありません。
はじめてAIを使った場合に、ヒト観測よりはるかに時間がかかり精度も悪かったという現象が良くあります。これでは効率化のためにAIを導入したはずなのに、ヒト観測のほうが断然効率が良く、本末転倒となってしまいます。
精度高くAI交通量調査を行うには、以下のフローにおける「②解析設定」に工夫が必要となります。

高精度なAIというのは、解析設定が完璧に設定されて初めて担保されますつまりAI精度というのは、ヒトの手による設定次第で高くも低くもなり得るのです。
ところが、解析設定のお手本はどこにもなく、自ら経験を積み重ねていく中でコツを見つけていくほかありません。

もっと詳しく読みたい人は、第一話のブログを改めてご覧ください。

第二話では、私達が繰り返し取り組んできた経験をもとに、解析設定の難しさやそれを乗り越えた先の展望についてご紹介します。

解析設定とは?

解析設定とは、AIに対して車の台数をカウントするための指示を出す作業のことです。
どうしてこんな作業が必要となるのでしょうか?それは「AIが勝手に車の台数を数えてくれる訳ではない」からです。交通量を測るためには、”どの方向に車が移動したのかを捉えてカウントする”必要があります。

解析設定を行うためには、まずはAIを知る必要があります。そのため、私たちはAIの特性を探ることから始めました。すると、車をカウントするためには3つのstepあることが分かりました。

step1 映像上の「車」を検知する
step2 検知した車が通過した場所を認識する
step3 検知した車の方向を捉えてカウントする

各ステップについて順に説明します。

step1 映像上の「車」を検知する
まずは、AIが映像の中から車を認識し検知します。一般的にAI精度と言われるものは、この検知精度のことを指しています。

step2 検知した車が通過した場所を認識する
次に、AIは自分で「どの車を数えれば良いのか」を考えることができないため、車の台数を教えてもらうためには「数えるべき車はどれか」まで指定する必要があります。
今回は一般的によく使用されている、「線」を引く設定方法を用いて説明します。
検知した車と設定した線(下図赤線)が重なったタイミングで、その車両が「通過した」と認識されます。※こうした解析設定の際に用いる線を「検知線」と呼びます。

step3 検知した車の方向を捉えてカウントする
例えば、下図のように全12方向のうち南から右折する緑の車を検知したい場合は、映像の中に検知線を2本(A,B)設定します。そして「AからBを通過した車を数える」という指示を出すことによって、初めて車の動きを得ることができます。

このように適切なカウントができるように行うstep1~3までの一連の指示が、解析設定です。数えたい方向を通過する車を漏れなくカウントするためには、この3stepを念頭に入れて、検知線の位置や角度、長さを工夫して設定する必要があります。この調整が非常に難しいのです。

どうやったら精度の高い解析設定ができるの??

高い精度を実現する解析設定を行うためには、大きく2つの観点があります。それは、①AIの観点と②検知対象(車)の観点です。

①AIの観点
そもそも車を識別してくれないとカウントも始まりません。ただし、AIは私たちが思うようには識別してくれないものなのです。
例えば、夜間において電灯の光反射が発生する、あるいは車のヘッドライトが強く光っている等という理由から、ヒトの目からすれば車と判断できるのにAIは識別してくれない、といったケースがあります。この場合では、車が検知される場所やタイミングを確認した上で光の加減が弱まる位置に、検知線の位置を工夫しなければなりません。
このように解析設定を行う際には、AIがどこで車として認識するのかということを理解し考慮した上で、検知線の位置や長さ、角度、本数、組み合わせを検討する必要があります。

②検知対象(車)の観点
次に検知対象についても知る必要もあります。検知対象(車)について知るとは、「車がどこからどのような軌跡で目的方向へ向かうのかを読み取ること」を指します。
というのも道路には、「二車線しか存在しない単線」や「三差路交差点」、「四差路交差点」、「多差路交差点」など種類がさまざまあります。道路の種類によって車の軌跡も異なるため、車がどこからどこへ向かうのか動きを映像で観察し、妥当な検知線の長さや角度、位置を見極める必要があります。
余談ですが、意外と交通ルールの知識も重要なので、車の運転に慣れていないメンバーは大変そうでした(笑)

まとめ

以上のように、セーフィーでは①AIの観点、②検知対象の観点といった2観点から、高精度なAI交通量調査を実現するための設定を検討しています。どんな道路であっても、これらを踏まえた設定のノウハウを貯めることが必要となります。
一方で、1年間AI交通量調査に向き合ってきましたが、いまだに解析設定の模範解答は見つかっていません。ただ実際に繰り返し試行する中で、「検知された車に対して平行に引く」「車1台分の長さが必要」「二輪車専用の検知線を引く」などのルールが生まれています。
このようなノウハウが溜まり、精度が担保できるようになってきたことは、まず大きな成果です!

さらにここまでAI交通量調査の難しさを説明してきましたが、精度の高い交通量調査を実現するには、②の解析設定だけでなく、作業フロー全体を工夫しノウハウを蓄積することが必要不可欠です。
そしてAI、カメラ両方の知見があるセーフィーだからこそ、これらノウハウを蓄積し、AI交通量調査に取り組む意義があると考えています!AI交通量調査の実現に向けて、引き続き検証・研究を進めていきます。
次話以降は、②解析設定と並んで重要な①映像取得についてご紹介予定です。お楽しみに!

最後に

この記事を読んで、セーフィーが取り組むAI交通量調査にご興味をもたれた方は、ぜひ弊社HPの問い合わせページからお気軽にご相談・ご連絡ください!

また随時正社員・インターン共に新たなメンバーも募集をしているので、このような挑戦に関わってみたいという方も、まずはカジュアル面談のご希望からお待ちしております。


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