見出し画像

共に家を建てる


共に家を建てる
συνοικοδομέω(シュノイコドメオー)

エフェソの信徒への手紙2章21-22節

今お世話になっている教会の
「2024年度 年間聖句」
に選ばれたのが、
この『エペソ人の手紙』2章21〜22節。

『新改訳2017』を使っているので、
開くと、こうある。

このキリストにあって、建物の全体が組み合わされて成長し、主にある聖なる宮となります。
あなたがたも、このキリストにあって、ともに築き上げられ、御霊によって神の御住まいとなるのです。
(新改訳2017  『エペソ人への手紙』2章22節)

ちなみに、
文語訳では、

おのおのの建造物、かれに在りて建て合せられ、彌増に聖なる宮、主のうちに成るなり。汝等もキリストに在りて共に建てられ、御靈によりて神の御住となるなり。
(文語訳)

聖書協会共同訳では、

キリストにあって、この建物全体が組み合わされて拡張し、主の聖なる神殿となります。キリストにあって、あなたがたも共に建てられ、霊における神の住まいとなるのです。
(聖書協会共同訳)

田川訳では、

彼にあって建物の全体がつなぎ合わされて成長し、主にある聖なる宮になるのである。主にあって、あなた方もまた共に建てられ、霊における神の住居になるのだ。
(田川訳)

田川訳が、ギリシャ語原文の直訳に近い。

ここは、神の《共同体》の建設。
つまり教会形成の奥義が語られている。

この聖句の前に、
「神の家族」
「使徒や預言者から成る土台」
「隅の親石がキリスト・イエスご自身」
と、
家を建てるのに使われる〈用語〉が使われ、
今回の聖句に繋がっている。

つまり教会形成が、
〈家の建築〉に喩えられて語られるわけだ。
パウロはしばしばこの比喩的表現を好んで使っている。

その中で、
συναρμολογέω(シュナルモラロゲオー)という言葉が目を引く。

これは、
どうやらパウロの造語のようだ。

下記の【ギリシャ語学習メモ】にあるように、

この言葉は語源から、
「共に、繋ぎ合わせ 接合する」。という意味。

牧師先生は、
寄木細工や、
宮大工による釘を使わない繊細で強靭な工法を紹介された。

まさにそれ。

各構成員が、パーツ。

そのパーツを、
それぞれ相応しく組み合わせ、
くっつけて組み合わせる。

そうやって、家を建てる。

そこには、
寄木細工のような繊細で絶妙な調整が求められる。

教会の構成員、
各員相互に思い合い、
共に研鑽し、激励し合い、
何よりも祈り合うことを示唆している、と。

私は、主が弟子達の足を洗われた姿を思い起こす。
また、主の譬え話、
『良いサマリア人』のことを。



また、「繋ぎ合わせる」、
「建設する」の動詞は現在形。
つまり、
未だ完成していない状態を表している。

教会は、未完成なのだ。
完成していない、
完全ではないということを示している。

だから、欠点だらけ、
問題だらけでも、
それに躓いてはならない。

むしろ、その中にあって、
もがいて、あがいて、

繊細に組み合わされて、
(συναρμολογέωシュナルモラロゲオー)

共に建てられ家とされる。
συνοικοδομέω(シュノイコドメオー)。

そうやって
「神の聖なる宮」が形成されて行く。
その途上に、今はあると。

そして、それは主の再臨の時に、完成するのだ。

***********************************

ギリシャ語学習メモ

***********************************

【ギリシャ語原文】
ἐν ᾧ πᾶσα οἰκοδομὴ συναρμολογουμένη αὔξει εἰς ναὸν ἅγιον ἐν κυρίῳ, ἐν ᾧ καὶ ὑμεῖς συνοικοδομεῖσθε εἰς κατοικητήριον τοῦ θεοῦ ἐν πνεύματι.

【発音と逐語訳】
ἐν ᾧ πᾶσα οἰκοδομὴ συναρμολογουμένη αὔξει εἰς ναὸν ἅγιον ἐν κυρίῳ,
(エン ホー パーサ オイコドメー シュナルモログーメネー アウクセイ エイス ナオン ハギオン エン キュリオー)
〔〜の中に 全体の 家 繋ぎ合わせる 成長する 〜の中へ 神殿へ 聖なる 〜の中にあって 主に〕

ἐν ᾧ καὶ ὑμεῖς συνοικοδομεῖσθε εἰς κατοικητήριον τοῦ θεοῦ ἐν πνεύματι.
(エン ホー カイ ヒューメイス シュノイコドメイスセ エイス カトイケーテーリオン トゥー セウー エン プニューマティ)
〔〜の中に そしてまた あなたたちが 共に家として建てられ 〜に向けて 住まい 神の において 霊に〕

【単 語】
συναρμολογέω(現在形)
(<σύν、共に+ἀρμολογω、組み合わせる)
<ἀρμός繋ぎ目+λέγω集める
(繋ぎ目を一緒に集めて)接合してある、
(ピッタリ合うように)組み合わせる、
組み立てられている。
パウロの造語か。

κατοικητήριον(カトイケーリオン)
(<κατοικέω、住む)住まい、住む所、住居、家

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?