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チームで、深いところまで描き出すということ。 『CLAMP』展を経て。


やっぱり君も?が嬉しい時

みなさんには、仲の良い友人や親しい人を思い浮かべて、
「うわぁ、これきっとあの人も好きだろうな」
と感じる瞬間ありませんか。

そして、何かの拍子で自分がその作品が好きだということを表現した時に、
「え、私も好きだよ」
「あ、俺もそれ見た」
と返ってきた時の嬉しさたるや。

えー、やっぱりそうだよね!好きだと思った。
となるあの感じ、いいですよね。

僕の大好きな小説家、伊坂幸太郎さんも死神の精度という短編集の中で、そんな1話を描いていますが、このうれしさはきっと何歳になっても何にも変えがたいんだろうなと。

さて、そんな感覚を抱いたのは確か2年前のゴールデンウィーク明け。
職場と家の往復しかしていなかったその頃の僕は、『XXXHOLiC』が映画化されると聞き、映画館に見に行っていました。
アニメやドラマでも知っていた作品、中でもダークファンタジーと1話完結作品が好きな僕にとっては、なんだか親しみやすくて、好きな作品でした。

自分を大切にするってどういうことか。
自己犠牲は本当に周りの人のためになるのか。
一つ一つのメッセージが心に刺さって、忘れないうちにとカフェに入り、その頃ハマっていたA4用紙に書き出したのを覚えています。

大人になることは選択すること。
代償を払って前に進むこと。
改めてそう決め直す、大きなきっかけとなった作品に間違いありませんでした。

そんな時、親友と久しぶりに会って、電車の中で話していました。

「最近映画見た?」  
「『XXXHOLiC』見たよ」
「マジで?」

自分の中でしか消化できないと思っていた感動を近くに共有できることを知った時の喜び、その時心から感じました。

2度目はないぜ、な人生にしたい。

僕のとある大好きなキャラクターのセリフですが、僕の人生2度目はないぜ、と思って行きたいと日々思っています。

一期一会的なこともそうなのですが、仕事や生活で、ああもっとこうすればよかった、ということはできるだけ1回で克服して、次のステップに進みたい。

そこで見える景色、失敗だとしても、その先にある失敗を経験したい。

そう思っていたので、この展覧会の話が出た時に、絶対に友人を誘おうと決めました。
・全作品は全然知らないよ、、
・そもそも女性ファンの皆様が大多数なのでは?
・人気過ぎでゆっくり見れないんじゃ?
いろんな自分の声が聞こえてきます。

だけど、自分という脳みそに、精神に、この体で生きているうちに、見せたいものを見せたいだけ、やりたいことをやりたいだけやらせたい。

そんな風に日々生きている自分が、展覧会くらい友達と楽しめなくてどうします?

ということで、行ってきました!

人気にも厚みがある

当日、待ち合わせて行ってみると、覚悟していた長蛇の列。
国立新美術館の2階に展示室があるのですが、1階から並んでいます。

うわー!すごい人だ!そして女性ファンやっぱり多いな!と思っていたのですが、
「あれ?」
意外と男性もいるかも?
そうなんです、もちろん女性ファンは多いのですが、男性2人できている人もちらほら。カップルも結構多かった。
勇気を出してきてみて良かった。並んでいる時間も親友とだから楽しいのです。

また、ファンの世代も幅広い!そう思ったら外国語も聞こえてきたり、ほんとすげえなこの人。
展覧会を、総じて見て、ウォルトディズニーとか、西尾維新とか、伊坂幸太郎に世界観のルールが近いなと感じていましたが、みなさんに共通する、「ファンが同じ世界に住む」感覚をひしひしと感じました。
複数の作品に共通して登場するキャラクターや、時空の歪み的なもので、クロスオーバーするキャラたち。
世界線を飛び越えてつながる物語同士の中にいると、現実世界と小説の架空現実の境も無くなったように感じて、自分もその世界に住んでいるような、そんな感覚を作り出します。

いろんな人が住むことができる世界を描いているか、表現者としての厚みがここにあらわれています。

どうしたらこんなに深くまでチームで行けるのか?

厚み、広がりについてもそうなんですが、僕がすごいなと思ったのが、精神的に深いところに触れるストーリーや描写。
これについてはできれば1人の方が深層心理を描き出しやすいと、思うのですが、深いテーマや精神性についても、プロット、ストーリー、作画、タッチまで統一させながら作品を仕上げている。

4人のチームワーク凄すぎるな、と感じた展覧会でした。

チームで仕事をすること、そこで結果を出すことが今のテーマの僕にとっては、ぜひとも解き明かしたい謎です。


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