言葉が選手の動きを変える スポーツライター的・暴言のポジティブ変換術#9
😡「お前は本当に使えないな!」
2点を追う3回の攻撃。先頭打者がストレートの四球で出塁して、無死一塁に。
監督は初球にストライクを取りに来るのを狙って、エンドランのサインを出しました。
しかし、打者は高めの球に内野フライを打ち上げてしまった。そこで、監督が思わずこう怒鳴ってしまいました。
この暴言は、こんなふうにポジティブに変換しましょう。
😀「大丈夫! ミスをすることはあるよ。この経験を活かして、フリーバッティングで高めの球でも確実にゴロを打つ練習をしよう。君がチームに貢献してくれるのを期待してるよ」
【言葉を扱うライターとしての視点】
選手の動きは指導者の言葉で変わる
現場で取材していると、ミスをした選手は落ち込んで、下を向いてしまうことが多々あります。
自分のミスでチームに迷惑をかけてしまって、罪悪感を感じているかもしれません。
そこに追い打ちをかけるように、指導者の感情的な怒鳴り声が飛ぶ。
すると、選手は「次もできなかったら、どうしよう」と、さらに不安な気持ちになります。
次の守りでこの選手に打球が飛ぶと、動きが固くなったり、「アウトにしなければ……」と焦ったりするーーというのが「あるある」です。
そうなると、選手は自信を失い、最悪の場合は野球が嫌いになってしまいます。
ライターはグラウンドを俯瞰して、第三者的な視点で観ています。だから、そういう心理の動きが見えます。
当事者のほうが、かえって見えなくなるのかもしれませんね。
指導者も人間なので、失望したり、頭に血がのぼったりすることもあるでしょう。
それもわかるのですが、ライターとして取材している経験から言うと、名将はみな、選手のミスは自分の責任だと感じています。
「できるように練習させていなかった」「経験が足りないのに、サインを出してしまった」……と。
選手がミスをしたときにこそ、指導者は感情的にならずに、選手を励まして不安をやわらげる。
指導者のサポートで選手がのびのびとプレーすれば、実力を最大限に発揮できるのではないでしょうか。
試合中は「ドンマイ!」「気にしなくていいよ!」など、短い言葉で選手の気持ちを楽にするだけでも効果があると思います。
ただ、ミスをそのままにしてしまうと、その選手の成長につながりません。
試合が終わって落ち着いてからでもいいので、「この経験を活かして~」と声を掛け、次は成功するように導くのも必要です。
具体的なアドバイスをすることで選手は次に何をすべきかが理解できるので、前向きな気持ちになれると思います。
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