詩 『シベリアの狼』(⚠️解説部分後半には一部闇描写あり)
作:悠冴紀
君と二人で築いた長城を
汚されることのない記憶が流れていく
私の雪は君のために舞っていたことを
君は知っていたか
私の河は君のために流れていたことを
君は知っていたか
私は孤独が怖くなかった
私は寒さが心地好かった
人々がことごとく去った後の
廃屋に棲みついた狼のように
私は飄々と暮らしていた
私はシベリアの狼だった
無人の廃屋に好んで独り
孤独も寒さも平気だった
心にいつも君がいたから
永遠に共にあると信じていたから
私はシベリアの狼だった
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