見出し画像

ぼくらが旅に出る理由 〜母子子子旅の佐渡島from奈良〜

夫は海外へ2週間の出張へ行ってしまう。山梨から脳出血・梗塞から2年の母を呼ぼうか、どうしようか、と核家族&無免許の私は、生駒山にある木とラハウスの中で、考え込んでいた。たまたま何か用事があって、久しぶりに電話した佐渡島に移住した友人に「だったら佐渡にくれば〜?」とふわっと誘われ、そのままフワフワと不安と楽しみが入り混じる気持ちで、奈良から一人で、中1、小1、年少の3人の子連れで行きやすい行き方を調べる。たまたま大好きなパン作りの知人が新潟へ登山しに行ったという投稿を見つける。peachの航空券が安かったから急遽向かったという。ほう、飛行機か。見ると一人5000円ちょい。早く買わないと、どんどん値は上がる。小1の運動会が終わってからの1週間ほど行く、という計画を勢いで決めた。

旅に出る理由は、それだったんだけど。旅をした理由は、変わった。旅は、日常を洗ってくれる。日々の繰り返しのようで繰り返しではない毎日にこべり付いた泥をゴシゴシ、時に柔らかくさするように、洗ってくれる。旅先で出会う、新しい人、暮らし、考え、友人たちの変化、違う地での風習、同じ地球上にいても、同じ国でも、こんなにも違う日々を送っている人たちがいる。違う日常や家庭を垣間見る。いいなって思ったり、へーとびっくりしたり、すごいな〜と感心したり。それとごちゃ混ぜな気持ちで、自分たちの生活に想いを馳せる。夫の有難さ、関西の友人たちの温かさ、自分の家の安心感、私の暮らしはここが適当すぎるな、とかの反省いろいろ。旅はまるで、小さな短期留学のようだ。

朝8時に奈良を出発し、最後の交通手段であるバスへ夕焼けの両津港から乗り込み、車窓に新潟で一番大きな湖沼の加茂湖を望む。日本百景とは納得の景色。

佐渡島で素敵な出会いもあった。
1年半前に移住した、LA PAGODEという佐渡島でレストランをされているジルさんというフランス人のパートナー、トモさんともう一人のスタッフ方にお会いした。あいにくジルさんには会えなかったが、彼らが作り出しているその空間で、トモさんと交わした少しの会話で、私は少し生まれ変わったような感覚になり、そしてとても安心感を覚えた。38年間、安定した気持ちで生きていたことは、おそらく一度もないけれど、ところどころで安心感に出会い、息継ぎをする。そしてまた、生き延びる。何がどうであれ、私が私を一番面白がらせる人生を送っているのだ。

佐和田海岸は遠浅で10月末なのに太ももまで浸かるアクティブな方々(私以外)

そして、とってもお世話になった友人家族。ビックリするくらい少しの稼ぎで、しっかり地に足がついているなーと所々から感じられるような、とても充実した生活を暮らしている。8年ほど前に、今中一の長男が、幼稚園に入った頃か入る前かに佐渡島に来たことがあった。その頃、友人家族は移住してまだ2年とかで、3人家族(今は4人)だった。我が家も3人家族で、今回は5人家族だけど、夫は不在なので、4人。タダでさえ大所帯なのに、ついた初日はドイツから旅行中の5人家族と同じ屋根の下で過ごした。ここはどこだろう。ヨーロッパのような、どこでもないような。3家族が集う、何をするでもないけれど、かけがえのない素敵な時間であった。こういう旅行の形、とても好きだな〜。3ヶ月に一度くらい、こういう場が定点観測のようにあれば、変わらないようで、二度と帰ってこない今をもっともっと味わえるように思える。

友人宅の庭の畑からお昼ご飯の菜葉を積む友人Aちゃん

日が沈むころの、なかなかかからない、防波堤からの少し肌寒い釣り。
その後に向かった地域の集会場での、子どもたちと先生と地域の人との鬼太鼓の踊りの練習風景。
車で30分以上かけて帰宅し食べた、ちょっと遅いけど美味しい夕食。
もう体は疲れて眠たいのに、まだまだ遊びたい子ども達に、明日が心配だけど、まだまだ話し足りない大人たち。
日が過ぎるたびに増えていく廊下の埃。それをサッとちょっとした時間に掃除する友人のパートナーMくん。ドイツの家族が使っていたシーツを自分たちのは洗えないだろうからと洗いまくる私。竹で竿竹をササっと作ってくれるMくん。彼は竹籠を作っている写真家なのだが、その作業場が、ステージのようでとてもカッコ良い。私もあんなカッコ良い作業場?アトリエ?を作ろうっと。
友人が子どもと少し揉めていると、なんだかホッとする。やはりどの家でも、どんな朗らかそうな人でも、ちょっとしたことで揉めたり、強く言ったりしちゃうものなんだなぁ。友人の気持ちが手に取るようにわかりつつ、子どもたちの肩を持ちたくなってしまうのは、なぜなんだろう。
我が子たちが、家ではあまり食事をモリモリ食べないのに、刺身の取り合いをしながらモリモリとシンプルな食事を平らげる。あぁお菓子を与えすぎだったり、無駄に複雑な食事にしちゃってたかなぁ、なんてまずは自分の食事作りから見直すことが、心地良い暮らしを作る一歩だなぁと思い知る。

コロナの前だったら、1週間も学校を休ませて旅に行くことに抵抗があったけど、コロナで暴力的な感じに、休校が続いた3ヶ月を経て、自分の人生は自分で向く方向を定めていかないと、遭難するのだろうな、と思った。けれどドイツでは、長期休暇の前にバケーションに行こうものなら、空港で罰金がとられるそう‼️
実際に見て体験しても、物事ってわからないことだらけだなーと思う。ということは想像したり、印象として持っているイメージは、ほとんど妄想と同じだということかもしれない。

もみじ山からの眺め

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?