読書メモ「貨幣の *新* 世界史:ハムラビ法典からビットコインまで」
ビットコインや暗号通貨を深く理解するために、お金とは何か、貨幣の起源を学ぶために読みました。
お金は人間の進化の延長で生まれたというユニークな発想に基づき書かれています。 生物学、人類学、歴史学、宗教学など様々な分野の学問の視点を通して、お金の起源を解説してくれます。
本書の大きな流れは下記の通り。
なぜお金を使うのか。生物学的起源
エネルギーは自然界の貨幣:生物の進化的アルゴリズムには、共生関係やエネルギーの交換は欠かせないものとして組み込まれている。
人類も同じ、食物を交換:共生・協力関係は人間社会においても欠かせない+協力関係を円滑化させるため、分業を確立させる。
人類は脳の発達に伴い、道具を発明し、さらに価値を理解する能力を獲得する。
脳の発達は、道具に対する抽象的な価値を見出させ、人類は道具を交換するようになる。そして、金塊、硬貨、紙幣、電子マネーへとその対象は発展していく。
お金の心理学、神経学的分析
人間は合理的かつ論理的に行動するというのが、経済学理論において前提とするが、心理学や神経学的なアプローチも重要。
お金は脳に刺激を与え、人は無意識に意思決定することがある。刺激される脳の部位によって投資行動が変わると研究結果で証明されている。
お金の人類学的分析
物々交換がお金の起源とする経済学の理論に対して、人類学の理論では債務がお金の起源とする。
債務は市場経済と贈与経済の領域がある。いずれも債務には金銭的な義務そして道徳的な義務を伴う。市場経済の債務は、他人を支配する手段にお金が使われる可能性が浮上する。
ハードマネーの歴史
ハードマネーは、金や銀など固有の価値を有するアイテムを裏付けとし、供給量に制限あり
人類の鋳造技術の進歩に伴い、価値と耐久性を備えた金属が貨幣として使われるようになる。
古来より国家は、ハードマネーの改鋳により、貨幣の供給量を増やす貨幣政策を実施。
ソフトマネーの歴史
ソフトマネーは、固有の価値はなく、表象である。その価値は国家によって創造されたもの。現代版錬金術。
現在国家は通貨供給量を調整し、経済政策を実施。金属資源に制限されないソフトマネー政策の効果は強力かつリスクも大きい。
お金の未来像
弱気な展開:ハードマネーへ回帰、金や現金の退蔵、物々交換、地域通貨、ビットコイン。
強気な展開:現在の延長、中央集権型な貨幣のデジタル化。クレジットカードからモバイル決済へ。
夢の展開:人間と機械は融合。評判、思考、経験など精神的な要素が通貨として機能。
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