未経験者に不評だった謎解きのお話(2024年2月雑記②)

今月は29日まであるから(謎理論)最近の出来事についてもう一個日記を書こうかなと。

経緯


知人(私から見て目上の方ですが身バレ防止や便宜上知人と表記)が福袋のようなもの(以下福袋)で謎解きの本を手に入れたそうです。その方は普段謎解きパズルクイズの類を全くしないので本に興味はなさそうでした。しかしお得に手に入れた謎解き本ですし、子供向けっぽい見た目なのでとっつきやすいのでは、とりあえずやってみてはと言いました。ビニールで梱包されていたので表紙だけを見せてもらいましたがかわいらしいイラストからは大人が苦戦するような印象はありませんでした。
そして何日か経ち実際に本を見たそうなのですが…その謎解き本は不評でした。福袋でその本を手に入れた人は他にもいたそうなのですがやはり面白くなかったと。決して知人の謎解きスキルが低いとか興味がないという問題で済まされるものではないと察しました。

不評だった点

①難しい

子供向けの見た目ですが実際の謎解きは難しかったようです。問題の意味が分からない、解法が分からない…といったところでしょうか。後でその本について調べてみたのですが、よくよく見ると大人でもそこそこ歯応えのある難易度設定になっていたようです。謎解きはある程度パターンがありますが未経験者だとそんなの知るわけがありません。
この難易度設定が正しいか間違いかは判断できません。でも、一見子供向けなのに難しい構成だと子供にとっては「簡単そうな見た目なのに難しすぎてつまらない」大人だと「謎解きは難しいしストーリーが子供だましで楽しくない」となりそうです。

②福袋の内容と謎解きに関係がない

例えるならば、くまモングッズの福袋を買ったのにくまモンと全く関係ないキャラの謎解き本が入っていた…みたいなことが起きていました。ただでさえ謎解きに関心がないのにテーマの段階で興味が持てないのであれば本を開くのも億劫になりますよね。
なぜこんなことになったのか調べてみたのですが、福袋を販売している施設で過去に謎解きイベントをやっていたことが分かりました。そのイベントを主催した団体が制作した本であれば納得いきます。知人とは売れ残りの本だったのかなと話しましたが、(例えるなら)くまモングッズ専門店でくまモンじゃないグッズが売られていても手に取る人は少ないでしょう。しかも福袋販売施設の利用者層は謎解きと全く関係がありません。謎解き経験者には面白い本だとしてもその施設で本を手に取ってもらうのは無理があったかもしれません。

③そもそも面白くない?

この本は表紙をみる限りだとストーリー形式になっているようです。謎解きを解いてみたくなるきっかけは謎のギミック、クオリティもあると思いますがストーリーの面白さも重要です。自分が謎解きに興味がなかったとしてこの本を渡されても正直お話として惹かれる要素は薄いかなと感じました。
本の帯にストーリーとサンプル問題がついていたので見せてもらったのですが、それで「この本面白そう!」とはならなかったのが正直な感想です。サンプル問題については「この図はそう読ませるのね、だから何?」となりました。
この製作者の謎解きだからやりたい!と思う人はいてもこの本をきっかけに謎解きに引き込むのは難しかったかもしれません。

擁護

ここまで批判的なことばかり書いてしまいましたが決してこの謎解き本がつまらない訳ではないと思います。製作者を調べてみましたがきちんとしたプロの団体が時間をかけて制作しています。レビューを調べてもあまり出てこなかったのですが批判的な意見はぱっと見ありませんでしたし、むしろ好評みたいです。謎解き好きな人が解く分にはちゃんと楽しめる本になっているのではと思います。ストーリーは子供向けで分かりやすいけど謎解きは大人もしっかり楽しめるレベル、といった感じの感想がありましたしそこは製作者も狙っていたのではないでしょうか。

つまり何を言いたいか

①難易度設定の難しさ

私は謎解きはほとんど作らなくて、ペンシルパズルがメインなのですがちょうどいい難易度の問題を作るのは本当に悩みます。言葉系パズルだと難しい単語を入れざるを得ない状態になって予想より難易度が上がってしまう…なんてケースは多々あります。言葉系でなくても、パズルを解き慣れると作るときに上級手筋をついつい入れてしまいます。初めてそのパズルに触れた人がルールを理解して解ける問題を作るというのは大変です。
謎解きもきっと同じでしょう。私はサブスク謎の高難易度コースを継続しているのですがほとんど最後まで解けず積んでいます(ヒントを見れば最後まで行くとは思いますが頼りたくない)難しい問題は作ろうと思えばいくらでも作れてしまう。
謎解きもお約束みたいなものがあるので全くの初心者が見たら詰まるポイントはたくさんあるでしょう。たぬきの絵が出てきたら「た」を抜いて読む、みたいなのが理解できない人にいきなりがっつりした謎解きを与えるのは危険。
決してこの本が悪いわけではないのですが、やさしい問題を作る努力を怠ってはいけないと感じたのでした。

②一目見て解き手を引き付ける魅力を作る

未経験者にとって、今回の本はストーリーに関心が持てなかったと言いました。謎解きが好きであれば「謎解きをしたい」それだけで本を買う動機になります。しかし、そうでない場合はそれ以外の理由で興味を持ってもらわなくてはいけません。ストーリーや仕掛けが面白そうと表紙の段階で感じてもらったり、結末が気になるから途中で投げ出すのは嫌だと感じる工夫をしなくては経験者以外には厳しいのかと思います。
これはパズルにも言えることですね。「ヤジリンって面白いんですよ~」と盤面を見せても絶対魅力は伝わりません。
初心者でも楽しそうと思えるような問題を作るというのは、実は以前から目標にしていることだったりします。ヤジリンみたいな数理系パズルだと一見して面白さを伝えるのは難しいですが、ニコリのテーマパズルや推理パズルは問題を見ただけで楽しいものがたくさんあります。印象に残った問題だと芸能人格付けチェックのパロディ問題とか文章を読んでいるだけで面白かったです。推理パズルだと作者の趣味が人物名に表れていたりして…ニコリが提供している新聞のビジュアルパズルは普段パズルを解かない人でもとっつきやすい問題が多いです。

③趣味は人それぞれ

結局はこれです。謎解きは決して万人受けする趣味ではないです。パズルだってSNSだとやってる人はたくさんいますがリアルでは皆無です。記事を書くきっかけになった福袋のジャンルも嫌いな人は少ないでしょうが、ガチ勢がたくさんいる界隈ではないと思います。自分の好きを他人に押し付けるのはやめましょう。

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