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婚姻届にまつわる思い出

「婚姻届の押印廃止を検討」というニュースが話題になった頃に書こうとしていたnote。下書きの山に埋れていたのを見つけたので、今日はこれを書き上げてしまおう。


私達が婚姻届を出したのは5年前のこと。
ちょっと特殊な状況だったので、よく憶えている。

まず婚姻届には証人欄があって、任意の成人二名から記名捺印をもらうことになっている。
普通なら両家の父親から書いてもらうところなのだろうけど、私達はそれぞれの親友に証人になってもらうことにした。
多分親よりも私のことを知っていて、私の伴侶となる人のこともよく知っている。そんな人たちに、私たちの結婚を認めて見守ってほしかったのだ。

入籍前、旦那は埼玉、私は佐渡にいた。
結婚前にバリ島に婚前旅行に行って、その帰りに旦那をそのまま佐渡へ持ち帰るという寸法だ。
我ながら、都会(?)育ちの長男を田舎に持ち帰るというのはなかなか大胆だったなぁと思う。これも若さゆえ。今だったら義実家に恐縮しまくって話が進まなそうだ。

とまぁそんなわけで、旦那の方であらかじめ婚姻届に埼玉の友人からサイン捺印をもらっておいて、佐渡に行き着いてから私の友人にサインしてもらった。

順調に事は進んだが、あからさまに不調だったのは私のお腹だ。
バリで飲んだ水にあたったのか、腹具合がすこぶる悪い。OS-1を飲みながら一週間近く苦しみ、まだ治りきってない状態で役所に婚姻届を出しに行った。

届けを出したのは、5月31日土曜日。
なぜこの日だったかというと、覚えやすいから。そして、その日の昼に親族一同が集まるBBQパーティーという名目の結婚報告会が予定されていたから。
私の姉はちょうどその二ヶ月前に入籍、佐渡に引っ越し済み。
私も入籍したということで、二組同時に親戚の前で挨拶しちゃおうという計画だったのだ。つまりこのお披露目BBQパーティーの前に入籍しておく必要があったというわけ。

で、深く考えず土曜日。窓口は閉まっている。
婚姻届系の書類は土日でも受け付けてくれるとは知っていたが、ぶっちゃけ半信半疑で役所に向かった。

通常の出入り口はもちろん使えず、開いていたのは土日用の小さな通路。
中に入ると、可愛らしいおじいちゃんがお出迎えしてくれた。

「じゃあちょっとこっちに上がってくださいね」
と言われて案内されたのは、和室。
コタツの置いてある小さな和室だ。

えっコタツに入りながら婚姻届出すの?!と、思わず笑いそうになった私。
いや実際、私も旦那もニヤニヤしていたと思う。
コタツに入ってくつろぎながら近所のおじいちゃんみたいな人に婚姻届を出すのはさすがに想定外。

「はい、多分これで大丈夫だと思います。おめでとうね」
「ありがとうございます」
多分、という言葉が引っかかったが、再提出になろうが何だろうが今日入籍したことにしておけばいいので、おじいちゃんに手を振って役所を後にした。

なんとも温かみのあるエピソードでしょう?
押印廃止のニュースとはあんまり関係なかったけど。

日常のなんてことない書類の押印は無くなってもいいけど、こういう特別感のある書類には、ドキドキしながら印鑑押したいなぁ。そういう改まった気持ちで押印するのは文化として残っても良いんじゃないかなぁ。とぼんやり思う私なのであった。

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