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#40「化物」

2017年夏、当時高校3年生だった私は、初めて1人で東京に来ていた。

当時、志望校だった大学のオープンキャンパスに参加して、受験へのモチベーションを高めていた。

”受験のため”といいつつ、今振り返ればほぼ観光に来ているようなものだった。ちゃんと東京を満喫していた。

そして、気づいたら横浜アリーナに来ていた。

志望校を見学しているタイミングでたまたまスマホに流れてきた、「機材席解放による直前の一般発売」が目に止まり、反射的にチケットを購入。

翌月、名古屋で行われる同じツアーに参加することは決まっていたにもかかわらず、それまで待てずに思いつきでライブに行くことにした。




あれから6年


6年の月日が流れ、同じ場所で同じアーティストのライブに参加した。


星野源


社会現象にもなった出演ドラマをきっかけに、ラジオを聴くようになり、どんどんと沼にハマっていった。

高3の夏のオープンキャンパスだって、この人にハマっていなかったら来ていなかったと思う。

今の仕事を志すきっかけになった人でもある。



「Gen Hoshino presents “Reassembly”」

3年ぶりの有観客でライブ、
自分が最後に参加したのは「Pop Virus」のドームツアーだったから、かれこれ4年くらいが経った事になる。


1曲目に披露されたのが「化物」という楽曲。

イントロで涙している自分に気づき、この6年間が一気にフラッシュバックされた。


たしか、6年前のライブも登場時の「firecracker」に続いて披露されたのが、この「化物」だった気がする。

そのことが真っ先に思い出され、
それ以降の自分とこの曲との思い出が蘇ってきた。

高3の文化祭で、自分が主導で製作した映像作品のエンドロールで、この曲をチョイスしたこと。

志望校に落ちて仕方なく別の大学に行ったものの、やっぱり落ちたことを引きずって、うまく大学生活のスタートを切れなかった時に、ラジオにリクエストしたこの曲が流れて、1人号泣したこと。

なかなか就活がうまくいかない時に、この曲を聴いて励まされていたこと。



今思い返すと、どれも自分にとってどん底だった時に、自分を奮い立たせてくれた記憶ばかり。

そして、今回もそのひとつのタイミングだと思う。





闘争心がなくなった


このところずっとモヤモヤしている。

そのモヤモヤの原因が何かもわからず、それをはっきりさせたくてさらにモヤモヤする。

吐き出したいことが多すぎるのに、それが何なのかもわからない。

毎週末、気づいたことをアウトプットして頭の中を整理するために、このnoteを書いているが、自分で書いていても闇が深すぎて、もうこれ以上何も書けないと感じてしまう。

これ以上、誰にも心配をかけられない。



2023年に入って、もうすぐ1か月が経とうとしているが、この1か月、特にこの2週間くらいの時間の経過があっという間に感じる。

充実しているときは時が流れるのがあっという間に感じることがあるが、決して今が充実しているとは思えない。

休職する直前の、月に250時間くらい残業をして、1週間に3日くらいは家に帰れないことが当たり前だった頃も、それはそれであっという間に月日は流れていた。

でも、今回はその時とは違う。

周囲に勤務時間を心配されながら、それでも終わらない仕事は片付けなければならず、家に持ち帰ってやっつける日々。

別にその仕事がやりたくない訳ではないし、自分のスキルアップにもつながっていることは間違いないから、それを投げ捨てたい訳ではない。

なのにモヤモヤしている。


そんな中、あることに気づいてしまった。


闘争心がなくなっている


4か月ほど前、薄々気づいていながらも「やりたいことを思い切ってやってみよう」と飛び込んだ世界で、案の定辛くてダウンした。

1か月休んで頭を冷やし、なんとか復帰できたタイミングでは、夢を捨てて、新たな土俵で勝負してみようと意気込んでいた。

新たに自分がやってみたいこともなんとなく見つかり始め、それを勉強する気力もあった。
企画書を書いてみたり、本を読んでみたり、自分でもほんの少し前向きに動けていることが嬉しかった。

でも、年明けあたりからその気力もなくなり、何かをインプットすることも無くなった。

平日帰宅してから、何もする気が起きなくて、
寝落ちして気づいたら翌朝になっている。

休日も時間を見つけては色々な場所に出向いたり、映画館で映画を見たり、本屋で気になった本を手に取ったりしていたのに、家から出るのも面倒くさくなって、気づいたら週末が終わっている。

なんとなくその異変に気づいた頃には、そんな自分にガッカリして、無理やり何かに取り掛かってみたりもしていたが、今は自分にガッカリもしなくなった。




何もやりたいことがない


会社で顔を合わせる同期が、「今後どうするのか」を聞いてくる。

確かに、自分が同じ立場だったら気になって聞いてしまうかもしれないが、正直「ほっといてくれよ」と思ってしまう。

だって、1番自分がわかっていないから。

そんなことを聞かれた時は、明るく「今は考えている段階かな」なんて答えるようにしていたが、それも面倒くさくなった。

いよいよ限界がきて、ある同期に「何もねえよ」とヤケクソでかえしてしまった。
その同期は冷静に「じゃあやめれば」と返した。

ごもっともである。




化物


誰かこの声を聞いてよ

ここまで生々しく不満を書きたかった訳ではない。

久しぶりにライブで「化物」を聴いて、“まだやれるんじゃないか”と思えたのは事実で、やってみたいことのアイデアも頭の中で湧いてきた。

この曲と自分の人生との思い出は、確かに辛かったことばかりだったが、でもその後にはうまくいった成功体験がつながっていて、今回もきっとそのひとつなんだと思っている自分がいる。

この期に及んでもそうやって期待してしまっている自分にもガッカリするが、こうして心揺さぶられた事実を否定してしまったら、いよいよ生きていられなくなってしまう。


この人と仕事がしたい


自分の場合は、何がやりたいかよりも、誰とやりたいか。

これに尽きるんだと再認識した。



会場に入って目に飛び込んできた、自分の会社からのお祝いの花。

そういえば、源さんと仕事するチャンスがあるのではないかと思ったのも、最終的に今の会社を選んだ理由だったな。



理由やきっかけは何だっていい。


もう少し生きてみようと思えた“化物”の休日の話。


奈落の底から
化けた僕をせり上げてく
知らぬ僕をせり上げてく



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2023.01.29 作成










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