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テレビ屋気取り #41「自己顕示欲と承認欲求」


テレビ局だったか、制作会社だったかは忘れましたが、
面接で聞かれた質問が今でも印象に残っています。

「表に出る側じゃなくてもいいの?」

そんなことは考えたこともありませんでした。

幼い頃からテレビが好きだったのは事実で、芸人が面白いとか俳優がかっこいいとか思ったことはあっても、それになりたいとは思いませんでした。
それでも、大好きなテレビの世界に身をおきたいと思ったのか、気付いたら裏方を志すようになっていました。

だから、この質問をされた後か、もしかしたら前だったかもしれませんが、なぜ自分が出役になろうと思わなかったのかを考えたことはあります。

ちなみに、この質問をされたときは少し不意打ちをくらってしまいましたがその時に咄嗟に自分の口から出たのは、
「裏方であっても評価してくれる人はいる」
という言葉でした。
「どの目線からの意見なんだよ」と面接官は思ったかもしれません。

「評価されたい」というのが自分の正直な気持ちなのだと気づきました。

今回はそんなお話しです。



一軍とか勝ち組とか自己顕示とか


深夜ラジオが好きな人間なので、いわゆる「一軍」とか「勝ち組」という言葉に敏感で、どこかそういう人たちに謎の嫌悪感や偏見を抱いてしまいます。

コミュニケーション能力が高く、生まれ持った才能なのか、何でもそつなくこなし、それなりにやりたいことがやれている人たち。

キラキラしているそういう人たちを見ると、何か自分が被害を受けたわけでもないのに、はらわたが煮えくり返ってしまいます。これをただの嫉妬というのかもしれませんが。

こういう人たちは、ウエストランドの漫才を見て果たして笑うのでしょうか。共感するのでしょうか。そもそもお笑いに興味なんかあるのでしょうか。


少し話が逸れてしまいました。

私は、野球場とテレビ局でアルバイトをしています。
誰のことかは言いませんが、どちらにおいてもいわゆる「一軍」の人たちと一緒に仕事をしています。かなり口が悪い表現になってしまいますが、表に立ってチヤホヤされる人たちです。野球場でその仕事をしていた人が、採用試験という関門を突破して、テレビ局でその仕事をすることもよくある話です。

長い間そういう人たちと仕事をするようになって、嫉妬みたいなものはなくなりました。自分とは違う世界の人たちとして接するようになり、嫌ったり避けたりするようなこともなくなりました。
その上で、やっぱり気になるのが「原点」です。就活的にいうと「志望動機」であり、もっと噛み砕いて言うと「なぜその仕事をやりたいと思ったのか」ということです。

私の偏見フィルターを通すと、どうしてもこういう人たちは「自己顕示欲」の塊にしか見えません。
またまた口悪く言うと、「どうせチヤホヤされたいからでしょ」という見方になってしまいます。



裏方のモチベーションとは


野球場の方の仕事で、自分と同じように裏方としての仕事をしながら、それでも表舞台に立つことに興味がある人もいます。モデルやウェブCMに出演する仕事を学生の段階でしているみたいです。
自分はそういうことをやりたいと思ったことはないので、その人たちの気持ちを推し量ることはできませんが、ウェブCMの撮影に参加してきたという後輩としゃべった日の仕事帰り、もしかしたら自分もそちらが側の人間なのではないかと思うようになりました。

自分がテレビ業界に興味を持ったのは、「めちゃイケ」の総監督である片岡飛鳥さんがきっかけです。
小学生〜中学生の頃に1番好きで見ていた番組で、たびたびメンバーから「総監督」や「飛鳥さん」というワードが出てきましたが、裏方としてほとんど表に顔を出すことはありませんでした。それが余計に「一体何者なんだ?」という疑問を膨らませ、自分も片岡さんのような演者との信頼関係の中で面白いコンテンツを世の中に発信していきたいと思うようになりました。

これは面接で語っていたエピソードですが、よくよく考えるとこれももしかしたら「チヤホヤされたい」だけなのではないでしょうか。

演出として自分が好きなタレントさんたちと一緒に仕事をして、認められたらやっぱり嬉しいし、その番組が視聴者にも面白いと思ってもらえて、自分みたいにその番組の作り手に注目した人たちによって自分が評価されて名前が有名になっていく。
そういうのに憧れているのだとすると、これは自分が嫌っていた一軍の人たちと同じだということに気づきました。

では、自分が憧れる現在テレビ業界の一線で活躍する演出家たちは、一体どういう想いがあって今の仕事をしていて、そもそもなぜこの仕事をしようと思ったのか、真面目に聞くことではないかもしれませんが、聞いてみたくなりました。



三軍とかたりないとか承認欲求とか


少なからず自分にもチヤホヤされたいという気持ちがあることがわかったところで、これは裏方であっても必然的なことだと思うし、むしろクリエイターとして、表に出る人よりも認められたいという思いは強くあるべきなのではないかとも思います。

それをどう定義づけするか、自分の場合は「承認欲求」だと思います。

「自己顕示欲」と言うほど自分に自信があるわけではないけど、誰かに認められたいという思いはあります。
だから、これを「承認欲求」だということにします。

自分は決して一軍ではなく、まだまだたりていないことばかり。
それでも認められたいという思いはある。

自分でも厄介なやつだと思いますが、「誰かに認められたい」という思いは忘れずにしたいと思います。


裏方として自分を殺す必要があるのではないかと思っていましたが、今自分が考えていることを正当化して、少し気楽に前に進めそうです。


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2021.06.27 作成

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