ライブレポ|ぴあpresents dabadabada vol.2 -Re:Re:Re:Live-(12/13)
靖子ちゃんのメジャーデビュー10周年を記念した『大森靖子10周年 プレミアム輪廻ガチャ』。その企画の1つとして発表されたこのライブ。
大学の授業が終わったと同時に教室を飛び出し、ダッシュで最寄りの駅まで向かい電車に乗り、17時前に立川に到着。ロッカーに荷物を預け、会場に向かう。開場30分前ということもあり、会場の前にはたくさんの人が開場するのを今か今かと待ちわびていた。
17時30分となり入場が始まった。自分も入場しフロアに入る。イスも間隔がとられたマスももちろんない。ほかのバンドのライブでは何度も見た光景だが、これを銀杏のライブで見られるのが本当に待ち遠しかった。
開演まであと10分ほどになったころ、ステージを見ると袖からピーズのはるさんがふらっと現れた。そしてこの日限定で販売しているロンTを紹介するとともにはるさんがこの日限定のロンTを取り、「『THE』PEESって書いてあるんだけど、数年前に『THE』は取れてるんだよね」と話しだし、「ライブ終わったらそこら辺ふらふらしてるんで、声かけてください。上からガムテープ貼ります。」と印刷ミス(?)の話しをすると会場から笑いが起こり、サウンドチェックのためにメンバーほかのメンバーもステージ上に登場し、一通りサウンドチェックが終わったので一足早く始めようとすると「まだ早いです…」とスタッフに止められここでも一笑い。小さいライブハウスだろうが、大きなステージだろうが関係なく自然体でいるはるさんのお陰で、少しは和らいだ。そして開演時間となると照明が暗くなり、いよいよライブが始まる。
SEが流れだし、Dr.茂木左を先頭にほかのメンバーも続いて登場。ほかのメンバーの準備ができている中、ここでもはるさんは流れるSEで体を揺らしたりしていた。そんな感じでメンバーがドラムの前に集まり、ライブがスタートした。
1曲目はBa.岡田光史のベースから始まる"日が暮れても彼女と歩いてた"。流れ出したときになんとなく今日のライブに合ってるなと思ったのは、メンツもそうだしらこのライブに向けての3人(峯田と靖子ちゃんとはるさん)の鼎談記事の写真もあったからだ。1番を歌い終えて間奏に入ると、袖から青いダウンコートを着た靖子ちゃんとミリタリーシャツを着た峯田が手を繋ぎながら現れた。するとフロアは一気に前に詰まりもみくちゃに。まさかピーズからこんなになるとは思わなかったが、逆に『今日のライブだからこそ』という感じがあってそれも良かった。そして2人を加えた6人で歌い上げた。
演奏が終わるとフロアから大きな歓声が上がり、歓声が止まぬ中、はるさんが峯田に「なんで俺の後ろ通るんだよ。図々しく前通ってけばいいのに」と言うと靖子ちゃんも乗っかって「ほら言ったじゃん!」と言い、反論するように峯田が「だって歌ってるじゃん!」。そんな3人のじゃれ合いがあり、はるさんが「5人?6人でもう1曲いこうか!」と言って、靖子ちゃんと峯田を加えもう1曲演奏したのは"生きのばし"。日が暮れてもだけでも十分豪華なコラボなのに、それが2曲続けて聴けるという、まさしく1夜限りのコラボだった。
2人が捌けていったあとのMCで、靖子ちゃんが喉の手術のため今日のライブを最後に少しお休みに入ることについて触れ、「いやー、すごいよね。こんなたくさんのお客さんに送ってもらって。一番声出てたんじゃないの?(笑)」と靖子ちゃんを絶賛していた。
「俺ら、さっき2人が来たときがピークだから(笑)」と自虐を交えたMCから、ピーズのライブがスタート。比較的最近の曲が多かったが、"実験4号"などの名曲を織り混ぜたセットリスト。途中にピーズの『THE』が取れた経緯のMCも交え、最後は"プリリヤン"を歌い、みんなで「プリプリプリ」と歌って締める、ピーズらしさ全開のライブだった。
ピーズのライブが終わり、ステージの転換に入っていく訳だが、いつもならトイレに行く人などで人と人の間に多少ゆとりが生まれるはずだが、列が全くといっていいほど緩まない。トイレに行く人はいてもギチギチな状態は変わらなかった。
機材撤収が終わり、次に運ばれたのはナナちゃんが乗ったテーブル。そう、2バンド目は靖子ちゃんだった。これにはびっくりした。というのも冒頭に書いたように、靖子ちゃんの企画の一環で発表されたライブだったのでてっきり靖子ちゃんがトリだと思っていたので、これにはびっくりだった。となるとトリは銀杏BOYZ。俄然緊張が高まった。
SEが流れ、バンドメンバーが入場し、少しして青いドレスを身に纏った靖子ちゃんが登場した。以前、アルバムのリリイベで靖子ちゃんを見たことはあったがそのときは靖子ちゃん1人のアコースティックでメドレーだったので、今日のようなバンドセットでちゃんと見るのは初めてなので、とても楽しみだった。
そうして靖子ちゃんのライブが始まった。1曲目は"ミッドナイト清純異性交遊"。転換のときですでにギチギチだったフロアはさらに加速し、手拍子もできないレベルと、まるで1曲目とは思えないほどの盛り上がりだ。そして休む間もなく『きゃりーぱみゅぱみゅ みんなのうたは だれのうた?』と続けて歌いはじめた"新宿"。土地柄、ここに来るまでの道中に新宿を通ってきた人も多いだけに、この曲もこの日のライブとの相性はバツグンだった。
間に一度MCを挟み、ここから靖子ちゃん10周年にちなんだ曲が続く。メジャーデビュー5周年の際、道重さゆみさんが共にボーカルとして参加した"絶対彼女"、来年1月に発売するZOCのニューシングルから"QUEEN OF TONE"と続き、ドラムと手拍子が鳴る。そして袖から峯田が登場。もちろん演奏するのは"Re: Re: Love"。この日何よりも楽しみにしていたコラボだ。あまりの盛り上がりに途中お客さんがなだれ倒れてしまうほどだった。
峯田が捌けていったあとのMCで、峯田が高校生の時にNIRVANAを聴いてロックにのめり込んだと話から始まったのは、大森靖子がプロデュースするMAPAの楽曲 "NIRVANA"。MCで「私なりのロックを表現した曲」と言っていたように、踊りからも感じ取れる、そんな曲だった。さっきまでの盛り上がりとは一転、ピアノのイントロから入る"死神"、そしてラストの"Rude"へ。周りの照明が暗くなり、センターライトが靖子ちゃんに当たり、シリアスともまた違った空気感に包まれる。まるで会場にいる1人1人に向けて歌っているようだった。
ピーズのMCでも話していたとおり、声帯の手術のためこの日から少しお休みに入る。そんな休養前最後のライブがこんな素晴らしいライブで締めくくることができ、またパワーアップして帰ってくるのが楽しみだ。
靖子ちゃんも終わり、いよいよ残るは銀杏BOYZ。フロアの詰まりも激しくスマホも取り出せないほどに。銀杏は何度も見ているし、特に今年は見る回数が多かったが、ライブが始まる前のこの緊張は治まらない。
そしてトリの銀杏BOYZ。照明が消え、SEは流れないまま。岡山建二、山本幹宗、藤原寛、そして“加藤綾太”、峯田和伸と登場する。フロア全体から怒号が響き、その中にはPちゃん(加藤綾太)に向けてのものもあった。峯田がアコギを持ち、"人間"からライブはスタートした。歌い始めから大合唱。後のMCで峯田が「俺のレクイエムみたいな曲なのに…(笑)」と話していたが、同じように鎮魂歌だと思っている人間の集まりだからこその大合唱だと自分は思った。
そしてアコギからリッケンバッカーに持ち変え、20年前のあのライブのように「今夜、立川を、壊します」と言って始まった"若者たち"、続けて"エンジェルベイビー"。イントロの「日本!日本!」や「オイ!!」など、3月の銀杏山形でも声出しはOKだったが、そのときとは比べ物にならないくらいの声量、そしてダイバー。ずっと見たかった光景が広がっていた。
MCで峯田がPちゃんに「どう?こんだけのお客さんいて」と聞くと、「いやぁ、最高っすね」と噛みしめるようにそう話した。
一期一会を"漂流教室"、"夢で逢えたら"。以前noteに書いたように、今年はたくさんの人と出会ったが、同じように別れもあった年であり、年の終わりも近い12月のこのライブで聴いたこの2曲は特別だった。
そんな余韻に浸る間もなく、「今 目と目があった」と歌い始めた"少年少女"。ライブも終盤に入り、盛り上がりはフロアだけに留まらない。ドラムステージから飛びながらギターを弾くPちゃんと幹二くん、ロックを宿した寛くんと建二くんのリズム隊、そしてギターを掻き鳴らす峯田からそんなことは簡単に感じ取れた。
全てが最高潮に高まった頃、「この曲をいつか、満員の国立競技場で歌えるように」、そう言って"BABY BABY"へ。周りから聞こえてくる歌声や泣き声、笑い声には、この3年間封印されていたものが詰まっているようで、こんな光景を国立競技場で見られたらいいなと思った。
そんな最高な空間に包まれながら最後の"ぽあだむ"は。
メンバーがみんな捌けるとすぐに「やるなら今しかねーべ!」とアンコール。すると身を屈めながら袖から峯田が現れ、「銀杏BOYZ!」の掛け声に合わせて手拍子を峯田が先導してアンコールが始まる。声量も熱量もMAXに上がると峯田が捌けていき、少しして会場が明るくなり、再びメンバーが登場した。
ギターやベース、ドラムのポジションに立ち、楽器を掻き鳴らし、峯田の「ワンツー!」の叫び声で始まったのは"駆け抜けて性春"。あまりの前方でなだれ倒れてしまい、演奏が止まってしまったが、周りの連携もありすぐに復活。今度こそ"駆け抜けて性春"。声と拳と人が飛び交い、もはや熱いなどでは言い表せない盛り上がり。峯田パートを歌い終えるとピンクのドレスを着た靖子ちゃんが現れ、5年前のdabadabadaのようにYUKIパートを歌い上げ、ラスサビへ。最後は峯田がドラムセットに飛び込み、この伝説のライブを締めくくった。
自分が銀杏BOYZに出会ったのはコロナ真っ只中の2020年。初めて見た銀杏のライブはその年の8月にあったスマホライブ、ようやく行けた対面ライブもアコースティックセットで座席指定のシッティングのライブ、ぐちゃぐちゃなライブなんてYouTubeやDVDとかでしか見ることができない『映像上のもの』、『夢の光景』だった。そこから規制が徐々に緩和されていき、そうして迎えたのが今日のライブだった。
峯田も今年46で、いつまでこんなライブが見られるかわからない。そんな、そう見ることはできないであろう伝説のライブだった。
と思っていたが…
お楽しみに
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