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日曜の朝にパンケーキを焼くという個人的宗教行事について。

私は日曜日の朝はいつもより早く起きて、歯を磨き、顔を洗い、髪を整える。

それからパンケーキを焼く。

パンケーキを焼きながらお湯を沸かし、コーヒー豆を挽き、薄めのコーヒーを淹れる。そしてIDEEのコーヒーカップにコーヒーを注ぎ、コーヒーを飲む。

パンケーキとコーヒーの匂い。リネンレースのカーテンから零れる柔らかな光。家族が目を覚ます気配。

私がパンケーキを焼くことにある種の宗教性を抱いているのは映画の影響が大きい。

宮崎駿監督の映画「魔女の宅急便」のパンケーキは日本で最もポピュラーなパンケーキの一つだろう。焦げ目のついたパンケーキの上で緩く溶けたバター。ソーセージとミニトマト。海の見える街でジジと一緒に迎える朝に憧れを懐かずにはいられない。



チャーリー・チャップリンの映画「キッド」の少年がフライパンで焼いた大量のパンケーキは微笑ましい。チャップリンがでっかいバターを薄っぺらいパンケーキに包んで食べる。家族と過ごす日常が特別なものであることに気付かされる。笑いあり涙ありのチャップリンの映画みたいなパンケーキだ。



クエンティン・タランティーノ監督の映画「パルプ・フィクション」のパンケーキはとってもアメリカン。ジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンが人を殺した朝にダイナーで食べているパンケーキは男子の憧れだ。

溢れんばかりのメープルシロップ、カリカリに焼かれたベーコン、薄めのコーヒー。白人と黒人のアウトローおじさん二人が雑談しながらパンケーキを食べるという可笑しみを生み出した監督に敬礼。



パンケーキは文化や宗教を超えて人間の存在と時間を包括している。

私は日曜の朝にパンケーキを焼くという個人的宗教行事を通じて、家族と触れ合い、文化と繋がり、時間を超えて、世界の存在を確認する。


※私の記憶が確かならば、「サザエさん」のマスオさんのパンケーキの焼き方は凄まじい。カツオか誰かに「マスオ兄さん、いつもの頼むよ」とせがまれ、フライパンの上のパンケーキをひょいと放って、パンケーキが宙を舞う間にマスオさんが宙返りをして再びフライパンでパンケーキをキャッチするという神業を披露していた。私もあれほど芸達者になって子供達の尊奉の眼差しを勝ち得たいと思う。(該当するエピソードが探し出せず要出典)

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