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なぜ男は革靴にハマるのか。


革靴は、心の大空へと羽ばたく旅の友である。(東京都/30代男性)


スーツという鎧を身に纏い、ビジネスシーンというバトルフィールドで戦う男達の相棒は、毎日踵をすり減らし、共に同じ道を歩む革靴である。

聞いたところによると、とある紳士の休日は、お気に入りの革靴を丁寧に磨き、テーブルに並べ、それを眺めながらウイスキーを飲めるほどに革靴には男を狂わせる魔力を秘めているようだ。

これはもはや日本刀、ないしは盆栽の領域である。

そんなわけで、男がなぜ革靴にハマるのかGoogle先生に聞いてみると、とあるブログの記事にたどり着いた。その記事曰く、

「革靴にハマる男性は、経済的余裕をアピールし、社会的優位なポジションに立ちたい欲求を持つ傾向にある」

などと、革靴のことなど1ナノメートルも分かっていないような人物がいかにも分析的「的」な記事を書き連ねていることが誠に無念で仕方がなかったので、今回は私の革靴について思うことをネットの大海に放つことで即出の偏った情報のバランスを取ろうという試みである。


まず、あらゆる角度から革靴を観察してもらいたい。革靴をしばらく見つめていると、颯爽と風を切り裂いて大草原を駆け回る駿馬を見ているような感覚に陥る。(もちろんそんな景色は見たこともないのだけれど)

それは生き残るという目的のために研ぎ澄まされた自然美と機能美を併せ持つ姿だ。

革靴もまた、人の歩行を支えるという目的のために、丈夫で、しなやかに、人の足にしっかりとフィットするように、結果として美しく研ぎ澄まされたフォルムを得た。

その個性も様々、世界中の文化や環境にフィットするように今も尚進化し続けている。

靴屋の店先に並んだ色んな靴を見ている紳士を見ていると、実家の近所の神社の境内の大木に止まっているカブトムシやクワガタムシを見て、目を爛々とさせている少年を思い出す方も少なくないのではないだろうか。

そう、男子は革靴を通して自然に還ろうとしているのだ。

コンクリートジャングルを踏みしめる革靴は、踵を鳴らして心に浮力を与える魔法の靴である。

そしてその跳躍力は、革靴の持つポテンシャルに大きく左右されるのだ。


革靴は、心の大空へと羽ばたく旅の友である。



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