私の好きなさだまさしの歌 2023.06.30
先日、こんなアンケートがさだまさしの公式サイトで実施されていました。
さだまさしさんが今まで発表してきた600曲を超える楽曲の中から、好きな歌を一人5曲、アンケート形式で投票する、というものでした(現在は受付終了)
入力フォームは選択式で、一つのプルダウンの選択肢に600を超える曲がずらーーーーーーっと並ぶ様は壮観でしたし、ファンコミュニティでは「5曲に絞れるわけがない」といういかにもな意見や、「選択肢からあの曲が抜けてる」というコンピュータのような緻密な添削が行われたりと、ある意味恒例行事の風景が繰り広げられました。
なお、10年前にも似たような形で「あなたが選ぶ さだまさし国民投票」という形で好きな歌のアンケートを行っており、こういうアンケートは定例行事なのかもしれません。
どんなミュージシャンのファンでもあるあるだと思いますが、「◯◯のどの曲が好きなの?」とよく尋ねられる事があると思いますし、僕も何度もあります。
おおむね、相手が求めてない過剰な情報量を早口でまくしたてることになり、相手に後悔の気持ちと畏怖感を与える事を常としています。
「そんな簡単に絞り込めない」「みんな好き」等々の感情はファンとしては当然のものだとは思いますが、沼にハマるようなファンは世間の人よりもそのミュージシャンに詳しい、ある意味専門家なわけで、専門家としての説明責任もあります。そういう問題意識もあり、私は常に「さだまさし好きな歌ランキング」をメモしており、ニューアルバム発売やツアーのたびにスクリーニングしてこまめに更新をしています。
実際のところランキング形式だと日々の変動が激しすぎるので、プロサッカーのようなカテゴリー制でグループとしてまとめるようにしています。
ということで私は「さだまさしのどの曲が好きなの?」と聞かれた時には、厳かに「これです」と提示するようにしており、相手の血の気を引かせることが生業になっています。
ということで、ここでは、私の「さだまさし好きな歌ランキング」を、何の需要も無いですが貼り付けていこうと思います。
さだまさしのトークのように、カレンダーバージョニング(2023.06.30)で番号付けしてます。お察しの通り、さだまさし50周年コンサート東京第二夜を終えての結果を多少反映した内容になってます。
カテゴリーの定義
S Group は、サッカーで言うとプレミアリーグです。比喩ではなく、人生を支えてくれた曲で、私がどのような境遇になろうと一生忘れる事は無いと思います。
それ以下(A Group 〜 C Group)は、自分の今の心境に合うか、当時の心境にマッチしていたか等々で順位は比較的変動しますが「好き」という枠組みでは常に安定しているものも多いです。
S ~ C までの総計で、現時点では「177曲」好きな曲がある、という感じです。
S Group(別格)
意外と少ない、と思われそうですが、僕の中では、しばらくの間、この4曲は別格な歌です。ほんと、生半可な意味でなく、僕の人生を形づくった歌、という思い入れがあります。
「まほろば」は、その世界観の比類なさ、スケールの大きさに圧倒されます。小学校の頃はじめて聞いた時、あまりにも自分が知らない世界、周りの大人から聞いたことが無い価値観を提示され、体が震えて他のことが考えられなくなった記憶があります。
今では、「何事も移ろいゆく」という価値観は、僕の中の根幹をなすものになっています。
「まほろば」のような歌の世界観は、まさに「さだまさし」にしか成し遂げられていないもので、その独自さについては以下のような記事も書かせてもらいました。
「まほろば」は、歌詞が極めて構造的な作りになっており、1番2番が合わせ鏡のような対比構造になっていて、極めて緻密なプロセスで作られた曲だ、と想像させられます。
この時期の作品だと、「風の篝火」にも同じ様に緻密に構造的に作られており、若き才気あふれる頃のさださんの、執着心というか完璧主義者的な姿も見えてきます。端的に言うと、ケチのつけようの無いレベルの高さ、完成度の高さを感じ、なかなかここまでの熱量で作られた作品というのはどんな優秀な人でもそういくつも作成することはできないでしょう。
「療養所」も、小学生の頃は、自分の知らない価値観を提示され衝撃を受けた作品でもあるし、年を重ねるごとにこの歌の持つ意味、その重さというものが私の中で増しています。
それは僕にとってだけでなく、時代の変遷により、この歌の持つ価値というものが重くなり、多くの人が共感を感じるような世の中に変わってきているようにも思います。以下のような記事も書かせてもらいました。
上記の記事に書いてないことをここで書くと、僕ははじめて聴いたころからずっとこの曲は好きですが、昔は、この歌の最後の一段落は、余計な付け足し、蛇足だな、とずっと思っていました。「人を憐れみや同情で語ればそれは嘘になる」と歌っていたではないか、と。
でも、今では、最後の一段落こそが、人にとって一番大事なことだ、「しあわせ」とはつまりこういう事なのだ、と思うようになりました。
「道化師のソネット」は、あえて順位をつけると、ここ数十年不動の1位です。僕にとっては、人生そのもの、の歌。
松本人志がこの歌が好きだ、ということが知られて人口に膾炙した感じもしますが、彼とはおそらくまた違う捉え方で、私の中でもかけがえのない歌です。
あえて駄文を重ねる必要がないくらいに歌そのものに力とメッセージがありますし、多くの人がこの歌を大事にしていると思いますが、個人的な勝手な解釈としてはこの歌は「自己犠牲」の歌ではなく、「心を救う」歌だな、と思っています。
私事ですが、私の結婚式の際は、この曲をBGMにしてもらいました。
「奇跡」は、上記の歌とは違い、僕もかろうじてリアルタイムで聴いた曲です。(他の歌はファンになった後に遡って聴いた曲)。トヨタカローラのCMに採用されていたのを覚えています。
「人を愛する」「好きになる」ということは、つまりどういうことですか?という問いに対して、さだまさしなりの回答をした歌、という風に受け止めています。私は、今のところ、この歌以上に心をうつ、もしくは納得させられる回答を、まだ探し当てられていません。
A Group(とても大好き)
「無縁坂」は、私も男なので、どうしても母親への思い入れは強く、母の姿と自分の姿、それらと照らし合わせて聴いています。
「フレディもしくは三教街」は、詩もメロディもとにかく美しく、それが故に悲しい歌です。歌詞の一行目と最終行で同じフレーズが用いられていますが、同じ言葉なのにここまで言葉のもつ重みが変わってしまうのか、と毎度感嘆してしまいます。
「晩鐘」の描かれている情景は、まさに「もののあはれ」そのものだな、と思います。今後、現代文の教科書に採用されても良いのではと思っています。
「防人の詩」は、「なつかしい未来」コンサートであらためてその歌のもつ圧倒的な力を全身で浴び、ランクアップしました。
「黄昏迄」は、転調を繰り返しながら無限に宇宙まで広がるかのようなスケールの大きいメロディが大好きで聴いています。服部克久先生の面影も感じられる曲です。
「極光」で描かれる男の人のように、僕も生きていきたい、でも叶わないから、憧れの存在として繰り返し聴いています。
「しあわせについて」は平和について考えさせられる歌です。「しあわせ」と「平和」は不可分で、「未来」とも不可分。どのように未来を守ることができるのか、ということについて考えさせられます。
「風に立つライオン」は説明不要なんじゃないですかね。僕はこの歌を聴いて「海外に生きたい」「献身的な活動をしたい」とは思わなかったですが、「よどみない命を生きたい」とは思います。
「修二会」は、日本の伝統芸能・文化の世界観を、クラシック・西洋音楽の文脈で極めて高いレベルで音楽として昇華したことが素晴らしいなと思います。いずれ、どこかの時代に、世界の目に触れることもあるのではと妄想しています。
「虹〜ヒーロー〜」は、歌うたいの持つ運命について歌われていて、さだまさしさんの生き様そのものだな、といつも感じます。
「たいせつなひと」は、21世紀以降に発表された曲の中では一番好きかもしれません。以下の記事でも少し書かせていただきました。
この辺までで、すでに「え、あの有名な曲が入ってないの??」というセレクションになっていると思います。
有名な曲はこの後にぞろぞろ出てくると思いますが、私の中でランク付け・優先順位付けするとこのような形になります。さだまさしの歌は本当に数多の名曲があり、だからこそ人によって好きな曲の傾向も分かれる、という一つの事例として捉えてもらえればと思います。
B Group(大好き)
今までのノリで全曲コメントを書いていくとこの note の文量が10万字くらいになるので、ここからは割愛します。
一部ピックアップすると、「吸殻の風景」の世界観は、私の青春時代にはおおいに刺激になったというか、恋愛観に影響を与えたと思います。この歌に出てくる女性のセリフは、交際相手だった男への優しさなのか、自分に言い聞かせているのか。いずれにせよ、大人というのは複雑だな、と感じました。
あと、2020年に発売されたアルバム「存在理由〜Raison d'être〜」は最近発売された中では最も完成度が高く僕好みの曲が多いアルバムでした。上記リストの中でも二曲入ってます(残したい花について、一粒の麦)。
ランキングは、やはり個人の好みの音、世界観、というのが色濃く投影されます。
C Group(好き)
ここまで行くと、曲数も多すぎるので、特に触れることはしません。
好きな曲、という括りでもざっくり200曲弱(177曲)あるので、さだまさしのどのコンサートに行っても常に好きな曲だらけなので満足度はいつも高く、損したと感じることはまずないので、自分は人生で得をしているなと思います。
殿堂入り(有名曲)
これらの曲は、有名な曲ばかりで、多くの人が支持している作品なので、演奏されることも多いものばかりです。
これらについて、私にとっての好き・嫌いの判断はいったん保留しています。
もちろん、嫌いな曲ということはなく、なんだかんだいって世間の価値観でいうと「好き」寄りなんだとは思いますが、自分が「好きな曲は何ですか?」と訊かれた時には回答に含めないようにはしています。
これが、僕なりの「さだまさし」の受け止め方、個性、という事だと思ってください。そしてそれぞれのファンに、それぞれの、侵すことのできない個性、世界があります。
まとめにかえて
ということで、最近のコンサートツアーなどにも触発されて、熱に浮かされて、自己満足でしかない記事を書かせていただきました。
沼にハマったガチファンに「好きな曲は?」と安易に聞くと、どんなに簡潔に書こうと努力しても6000字くらいの文量になるので注意してください。
実際のところ、私はさだまさしファンの中ではこわっぱで、序列で言うと序二段程度の存在。ツアーに全国くまなく帯同するほどではないカジュアルなファンなので、本当の真髄というのはもっと奥深いところにあると思います。
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