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 たまには下を向くのも必要なのかもしれない。移動手段が車から自転車に変わってからというもの横断歩道等で見知らぬ人が隣にいるというシチュエーションが増えた。

 別に何か人がいて困る事などないし、その状況に苦痛を覚えるタイプでもない。先日横断歩道で信号待ちをしていた時、自転車に乗っている僕の隣にベビーカーを押したお父さんが来た。僕はそれなりに気がきく方なので、特に目線は向けていないがベビーカーの気配を察知し、万が一にも自転車のペダルがベビーカーにぶつかるという最悪の事態を避ける為少し離れようとした。
 その時視界の端の方で何かが動いている事に気づいた。ふと下を見るとベビーカーの赤ちゃんが僕に対して手を振ってくれていたのである。僕は赤ちゃんが好きだし、赤ちゃんも僕のことを好きになってくれるという自負があるのだ。(もちろん変な意味じゃなくてです。)手を振ってくれていた赤ちゃんに全力で手を振ろうとした時、さらに赤ちゃんの下に視線がいってしまった。それは自分の靴に穴が空いていたのである。

 なんと赤ちゃんは僕に靴の穴が空いている事を教えてくれてたのである。(本人の意思ではないのかもしれないが、結果的にそうなってるのでもうそうゆう事で話は進めます。異論は認めません)思わずうっわ、まじかと声に出してしまった。ここで問題なのはこの状況を上から見てた赤ちゃんの父親である。お父さん的にはかわいいかわいい我が子が全力で手を振っているのにこの小デブは嫌な声を出しているように見えてるだろう。いやだろうじゃない、きっとそうだ。リカバリーを図ろうと赤ちゃんに手を振ろうとした瞬間、信号が青になりベビーカーが進み出したのである。慌てた僕は、まだ物珍しそうに僕を見ながら先に進んでいる赤ちゃんに全力のスマイルを送った。これも実際マスクしているから届いたかは不明だが。

 親子二世代に渡り悪い印象を与えてしまった僕は家に帰り猛省し、破れた靴を家に飾り臥薪嘗胆の思いで日々を過ごしている。(嘘つきました、猛省はしましたが、靴はすぐ捨てました)しかし、あの赤ちゃんには助けてもらった。穴靴は恥ずかしい。もう教訓として心に刻んで生きていくしかないなこれ。

 というわけで皆さんも上ではなく画面でもなく、たまには下を見るのも良いと思いますよ。コケたりぶつかったりしても責任は一切負いませんけどね♫

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