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タコベルを前にした我を止められる者などいない

今年の8月14日。私は初めてタコベルを食べた。初タコベルで私が選んだのはチキンケサディーヤだった。友人の彼氏が経営するシーシャ屋のソファ席でそれを齧ると暴力的な旨みに脳が震えた。当たり前のように具も美味いが、皮が抜群に美味かった。夢中で貪るとあっという間に完食してしまった。恐ろしかった。タコベルを食べたことがないこれまでの人生が酷くつまらないものに思えて仕方がなかった。

8月23日。身体がタコベルを求めている。夜勤明け、1番近場のタコベルを検索する。渋谷道玄坂店。初めてタコベルを購入した店と同じだった。タコベルは店舗数が異常に少ない。こんなこともあるだろうと地下鉄を乗り継ぎ、ネズミの死体を横目にタコベルへと向かった。その時の私に理性は無かった。Bell To Go For2とチキンケサディーヤというおよそ1人で食べるには多すぎる量を買い込み帰路に着く。2Lのコーラと黒烏龍茶、氷をスーパーで買い、宴を始めた。
まずはビーフクランチタコス。オーソドックスなそれは、前菜にはちょうど良かった。パリパリとした食感、脂と旨味をたっぷり吸った牛肉は食欲を倍増させた。
お次はチージービーフブリトー。ブリトーは完全初見だったのだが、これには米が入っている。例に漏れず美味すぎる。米が入っていることで満足感がある。腹持ちも良さそうだ。
箸休めにナチョチップスを喰らう。なめていた。手が止まらない。箸休めになどならない。付属のマイルドソースを付ける。美味い。付けても付けなくても美味い。なんだこれは。なぜこの存在を誰も教えてくれなかったのだ。
お待ちかねのチキンケサディーヤ。コイツを食べるために私は生まれてきたのだと錯覚するほどの美味さ。620円でこの味が食べられていいはずがない。価格設定を間違えているのではないかと疑うほどだ。
油分でいっぱいになった口をキンキンに冷えたコーラで洗い流す。
もう死んでもいい。そう思わせる何かがタコベルにはある。
朝食を食べていなかったからであろう血糖値の上昇を感じながら、私はベッドへと誘われるのであった。

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