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2022/11月末 コロナ日記

1日目 この時までは普通だった


祝日で娘と遠出。
夕方の電車でコンコンと軽い咳が出る。全国旅行支援でどこかに行きたくて、平日の夕方に急いで娘を連れ出し、真っ暗な道を箱根の奥まで来てしまった。天気は悪く、冷たい雨がぽそぽそと降る中、美術館を周る。

(少し無理をしたから疲れて風邪をひいてしまったのかも)
近いから大丈夫かと思ったけれど、普段移動をしないからすぐに疲れてしまうのかも。もうこんな事はやめよう。

就寝時もコンコンと軽い咳。風邪が酷くならなければいいのに、と思いながらも、夜中まで仕事をして寝る。

星の王子さまミュージアムにも行ってきたよ

2日目 微熱


朝から体がふわふわするので、体温を測ってみたら37.7度。やっぱり風邪をひいてしまった。顆粒の葛根湯を呑む。

今日は本当は陶芸教室に行きたかったけれど、体も重いし咳も少しでるので家で小さなものを粘土で作ることにする。
夕方からは娘のバレエ教室の送迎。
レッスンが終わるのを待つ1時間、近くのガストで本を読んだり文を書いて過ごすのだけれど、今日はドリンクバーのコーヒーが一杯しか飲めない。悔しいではないか。

帰りに薬局で栄養ドリンクを買う。早く風邪が治ればいいのに。
悪寒がする。

3日目 高熱


朝起きたら、明らかに今日はダメな日、だった。悪寒がする。熱を測ると38.5分。インフルエンザかもしれない。ならば直ぐに病院に行かねばならない。

東京都の発熱相談なる番号を見つけ、すぐに電話。電話口の女性に家の住所を伝えると、近隣の発熱外来を3件教えてもらった。

https://covid19.supportnavi.metro.tokyo.lg.jp/service/EDp1nr1qF93oYS5J


そのうちの一件、自転車で5分ほどの所にある病院の予約を取り、私の順番、28番が近くなった頃合いを見て出かける。

今日が寒い日でなくて本当によかった。
発熱がある人は院内に入れないので、寒空の下、屋外で待機しなければならない。
今日は天気が良いけど、私は悪寒のせいで、寒くて寒くてしょうがない。アウターの、めったに閉じないフロントジップを一番上までひき上げ、首を引っ込める。きっとインフルだ、と思う。

ずいぶん待った。
隣家との間の塀と建物の間の、狭い軒下で診察をしてもらう。この病院は、こんな非常時のために軒下にしっかりした屋根を作ったのだろうか。勝手口のようなドアから先生が出ていらして、右の鼻の穴に細いスティックを入れる。
この検査で、インフルエンザなのか、コロナなのか、いっぺんにわかるそうだ。

11時半頃
先生が勝手口から出てきて私にA4サイズのモノクロのプリントを手渡した。
コロナについての説明が書いてある。は?と見上げると、「コロナです」と言われる。
今の今まで、自分は絶対コロナにならないと思っていた。驚いて、ひとごとみたいにそのプリントの字を目で追った。
まるで風邪なのに。
まるで、ただのインフルエンザみたいな風邪なのに、私はコロナになっちゃったんだ。

風邪薬と頓服を処方される。「風邪薬なんですか?」と聞くと、「はい、基礎疾患の無い方は風邪薬です」とのこと。なんか頼りない薬。

病院の向かいの調剤薬局の外で薬の説明を受けた。
お金は請求されなかった。

家に帰ると、まずスケジュールの調整だ。
今日午後の子供のインフルエンザのワクチンは、私が行けないから無理だ。娘の注射への恐怖は年々増すばかり。赤ちゃんの時は、ベロベロバーとか言って盛り上げておけばなんとかなったけど、小学生ともなるとそうはいかない。今日で終わる予定だったのに残念だ。

来週月曜日は私の美容院と、娘の矯正歯科の予定。全部延期。11月のうちに色々済ませたかったのに、残念。

離れて寝なければならないので、リビングの一角に娘用の布団を敷く。客人用の簡易マットレスは、空気を入れるとかなりの厚さになる。そこそこ立派なスプリングマットレスのような佇まいだ。

娘は寝室から枕やクッションやぬいぐるみを持ってきて、ベッド周りをふかふかに飾ってとても楽しそうだ。普段は別々に寝ている犬のピン子も、今日は娘の布団に入って幸せそうな顔をしている。

私は、普段は夜中2時くらいまで起きているけれど、今日はさすがにそれは無理だった。
寒くて寒くて、ヒートテック、厚手のカットソー、厚手のカーディガンに、手編みウールのショールを首の周りにぐるぐる巻く。でも、まだ寒い。

今日はコーヒーが飲めなくて、白湯を飲んだ。白湯しか飲めないのだ。(白湯を飲むだなんて信じられない、コーヒー最高)と常々思っている私が、とうとう白湯の優しさに平伏したのだ。昨晩からあまり食べていないけど、特に空腹感もない。これは痩せてしまうかも、と少し嬉しい。

深夜に夫が帰宅して、
俺はあっちで寝るぞと、自分のマットレスを持ってリビングに行った。
これは明日からリビングがマットレスだらけになってしまう。
家が狭くて辛い。

4日目 具合が悪いとしか言えない


頭が痛い。ゴホゴホと咳をするたびに頭に響く。痰も出る。
昨日より明らかに具合が悪い。
朝は悪寒がなかったのだが、昼頃からやはり悪寒。
元気だった娘までもが、じわじわと熱が上がり16時の時点ですっかり病人になってしまった。

発熱外来に行くことも考えたが、2人で自転車でそこそこの距離を移動する気力もなく、まずコロナ罹患だと思うので無料のPCR検査キットを申し込んだ(宅急便ですぐに届きました)。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/kensa/kougenhaihu.html

明日の予定だったピアノ教室にキャンセルのメール。

夫がふと口にした「後遺症が心配だな」に、ただの風邪じゃないことを思い出す。なんでも、同じ会社の男性が、後遺症で鬱っぽくなり、しばらく出勤できなくなっているそうだ。心配。

娘から『いつかえってくる?』とメッセージが来る。あまりにも私の存在感がないから、家にいないと思ったらしい。ママはずっと寝室で寝てますよ。

娘の具合はみるみる悪くなる。
リビングでシクシク泣く声が聞こえる。
頭が痛いそうだ。朝は元気だったのに。

夫に頼んでいたスポーツ飲料、娘は臆病なのでちっとも飲まない。
「アクエリアスだよ、美味しいよ」と夫が言うと、とたんに様相が変わって「サッカー選手がのむやつ?」と前のめりだ。どこ情報なんだろうか。

ベッドでうつらうつらしながら、それでも有意義に過ごす方法を考えた。とりあえず、Amazonのウィィシュリストの整理をした。そして、娘がサンタさんに頼んでいる品を検索。
高い、結構高いではないか。
品はキティちゃんのチェキだ。
サンタさんは外人のお爺さんだからあんまり日本語わかんないよ、と常々言っているので、ここはチェキ風の何かとか、キティじゃないチェキとか、どうにかならないものかと考える。

頭は痛いけれど、何もしないと仕事が溜まってしまう。頭痛よりも仕事が溜まる方が嫌なので、起きて数時間仕事。


5日目 この具合の悪さは何なんだ


相変わらず頭が痛い。
娘は昨晩とは打って変わって、随分と元気になった。
子供の回復力はすごい。

私の体温は37度。でもどうしてこんなに具合が悪いんだろう。起きてしばらく仕事をしたが、すぐに辛くなってベッドに戻る。

とにかく具合がわるすぎる。これを倦怠感というのだろうか?体はそうでもないけど、頭がぐわんぐわんする。目には涙が滲み出し、赤く腫れている。

仕事をしようと思っていたけど、今日は起き上がるのをあきらめよう。

ずっとパジャマ姿のまま着替えていなかった娘が、「シャワー浴びていい?」と昼間にシャワーを浴びて髪を洗った。何日もお風呂に入っていなくて気持ち悪い、という感覚がちゃんとあるんだ、大きくなったなー、と思う。

ネットフリックスで佐藤健と満島ひかりの『初恋』を全話一気見してしまう。涙がとまらん。具合が悪くて、じゃなくて話が切なくて。


6日目 夫に失望


昨晩何回も頼んでいたのに、夫は燃えるゴミを出すどころか、家中のゴミをまったくまとめてもおらず、その上ゴミ以外の全ても中途半端のそのままの状態で、朝から私を愕然とさせる。

なぜ、掃除をしようとかゴミ出しをしようと思わないのだろうか。私はとんでもないデクノボウの馬鹿と結婚してしまったもんだと絶望感でいっぱいになりながら、急いでゴミをまとめて集積所に持っていく。

夫はコロナになっていない。濃厚接触者だから自宅待機をしているだけだ。なぜ、結局私が全ての雑事をやらなければならないのか、何故 自分がやろうと思わないのか、私にはまったくわからない。散々お願いしてもやらないのは、家にも私にも愛がないからなのか。考えるとむかむかする。こんなに嫌な気分にさせられるなら、家に居ないほうがずっとマシだ。

娘の学校に電話。今晩先生がタブレットを家に届けてくれるそうで、それで家でリモートで勉強できるそうだ。
少し安心。便利な時代だ。

昨日よりも元気になった娘が朝から色々聞いてくる。どういうわけか
「ママの元彼ってどんなひと?名前はなんていうの?」としつこい。
昨日のネトフリの佐藤健がちらつき、私の初恋が今すっかり美化されている所なので「元彼だったらこういう時、もうちょっと色々ちゃんとできたと思う」としんみり言ったら「そうだよねぇー」と娘も大きく頷いていた。

夫にガス電気代と電話料金のコンビニ支払いを頼んだら「は?」と喧嘩腰の声を出すので、(おまえいい加減にしろよな)と心の中で罵る。
普段こっちがぜんぶやってあげていることなのに、当たり前だと思われていて憤慨だ。これは全部についてだ、生活に関わるとにかく全部。

元気が有り余り、スーパーボールみたいに跳ね回る娘、頼んでいたコロナの検査キットが届いたので、さっそく試したらやっぱりコロナだった。しかし、学校をずっと休む事になるのは痛すぎる。

娘の検査


昼間は請求書を出したりオンラインショップの発送で何時間か仕事。
この調子で今日はすいすい仕事ができるんじゃないの?と思っていたけれど甘かった、私はゼンマイを巻かれていないオモチャみたいにみるみると力尽きてしまった。座っている事もしんどくて夕方には一度ベッドへ。 

夫が薬局で自分用の検査キットを買ってきた。
説明書の文字を読む気がないらしく「どうすればいいんだ」とうるさい。なんで私が全部やってあげないとできないんだ、っていうか私と住んでからこの人はこんなにもロクデナシのデクノボウになってしまった気がするから、全部私のせいなのかもしれない。

透明の小さな容器に綿棒を入れ、かき混ぜる。綿棒を引き出し検査プレートに3滴垂らす。(全部私がやっている)
 
浮かび上がる線は一本。

「やりーぃ」
夫が狂喜の声を上げる。
なんだ、この結果、つまらん。
陽性だったらよかったのに。
夫は妙に体が丈夫だ。

夫に「先生がタブレットを届けてくれるから応対して」と至極当たり前のことを頼んだのに、「何で俺が?」と聞くから「お父さんだからだよっ」と野太い声で答えてやった。この人は一回佐藤健に殴られてほしい。

先生がいらしてくれて、夫がつまらない普通の応対をしている声が聞こえてくる。
こんな夜まで生徒の家にタブレットを届けに来てくれて、学校の先生は大変な仕事だな、と思う。先生は30くらいらしい。30なんてつい最近のことのように感じてしまうけど、よく考えたらそんな訳全然なかった。変な感じだ。いつの間にか年をとってしまったような気が、しょっちゅうしてしまう。

体は重いけど、起きてご飯を食べてその後仕事。怠くて怠くてしょうがない。この説明のつかない怠さは、少しツワリと似ている。何がなんだかわからない怠さ、寝ても起きても、水を飲んでも頭を冷やしても怠い。

ダルさには波があるようで、ピークを過ぎたらなんとか普通に座っていられるようになった。
でも今日は色々諦めよう。
健康な体がないと、頭が働かないし何も生み出せないんだな、と思う。

早めにベッドに行き、もう一度娘のクリスマスプレゼントを考えることにする。

7日目 夫がムカつく


朝起きると、昨晩何度も念を押したのに、夫はまったくキッチンを片付けていなかった。
心底絶望し、これから先の人生、この出来損ないの夫の後始末をし続けるのかと思ったらうんざりして、今日はずっと離婚のことばかり考えている。離婚する場合のデメリット、金銭的な問題、など。

しかし、ここから先の人生を、今度はバツイチ独身、として生きていくのかぁー、と思ったら、それはそれで未婚独身として生きていた頃と何か似たところのある、少々険しい道のように思えて流石に一歩を踏み出せない。

娘は朝からリモート授業。ありがたいことだ。
私は今日はずっと起きていられる。
多少の体の重さはあるが、昨日までとは違う。でも、郵便物を出すためnポストまで歩くと、少し妙な感じがする。腰が重い。きっと長い距離はまだ歩けないのだろう。

倦怠感、疲労感とはこういうことなのか。お勤めだったら多分、通勤だけでかなり疲れてしまうに違いない。大変だ。

一日中 夫の事を考えてむしゃくしゃし、ちょっとパソコンをひらけば、知らない誰かの華やかな仕事にイライラし、自分が何もできていない事、自分が取るに足らない存在だといことに嫌気がさしてきた。

もしかしてこれもコロナの影響なのか?

そう思ってコロナ後遺症、と調べるといろいろ出てくる。もはやどんな事も悪いことは全部コロナのせいなのかも。

夜はなかなか寝付かれなく、4時くらいまで布団の中でシーツの冷たい所を探して足をスルスルと動かしてばかり。

鼻が詰まっている。

ふいに、ああ、息ができなくなったら私は死ぬんだ、と怖くなって起き上がって鼻をかむ。私はどうやって死ぬんだろうか。苦しいのは嫌だ。

恐ろしい。

鼻はまだ詰まっている。息の事を考えてばかりいると、息が乱れてくる。

8日目 これが倦怠感というものか


昨日よりも具合が悪い。体が重い。
倦怠感、とはこういうものなのか。
まさか日を追ってこれほど悪くなるとは思ってもいず、自分の体が順当に治っているのか不安になる。

鼻が少し詰まっているせいもあり、息苦しい。息のことばかりを考えていたら、息がうまく出来なくなっている気がして、恐怖におそわれる。
窓を開けて、空気を吸う。
すーはーすーはー
まだ、ちゃんと息が吸える。
まだ、ちゃんと生きている。

恐ろしくなって、何かの時のためにバッグに着替えなどを詰めた。
娘に、ママに何かあった時は119を押すように教える。
でもその前に、コロナの人が気軽に行ける病院は本当にないのだろうか?
調べてもわからない。
「不安なんです」
相談窓口に電話しても、解決してくれる人はいない。
いったいどうすればいいのか。
どう判断すればいいのか。
東京に住んでいて、周りには無数に病院があり、私は歩いてどこかの病院に行ける距離にいるのに、私が行っても良いとされる病院はない。

こんなに人がいるのに、一人なんだ。誰も助けてくれないんだ。
考えれば考えるほど不安になる。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/soudan/index.html


救急を呼ぶチェックリストを確認する。
私の顔色は青ざめていないし
唇も青くない。
まだ大丈夫。

ちゃんと息を吸おう、と考えるとまた怖くなってしまって息が苦しい。

明日はちゃんと快方に向かうのだろうか。わからない。怖い。

あまりにも怖くなってしまって、今さらながらパルスオキシメーターを貸与を申し込んだ。もっと早く申し込めばよかった。

今は、基礎疾患のない罹患者は、放っておくと保健所からの連絡はなく、自分で登録しなければならない。登録や食料、パルスオキシメーター貸与の申し込みには、発熱外来受診を証明するものや、健康保険証などの証明書を提出しなければならない。

風邪みたいなもんだから、きっとすぐに治ると思っていたけれど、そんなことはなかったので、もっと早く登録しておけばよかった。

9日目 もう大丈夫


朝起きて安心した、今日は間違いなく昨日よりいい。普通に起きて、普通にご飯が食べられる。
だけど、咳をすると溝落ちに刺すような痛みが走る。なんなんだこれ。でも咳が酷く出るわけではないから大丈夫だ。

娘のオンライン授業は1時間目のみ。
図工も体育も音楽も配信がないから
昨日も今日も、参加できる授業はごく僅かなのである。
pcr検査で大丈夫なら明日から学校に行ってもらわなければ。

今日は本当ならば保護者会のはずだが、コロナ罹患で出席を免れて良かった。この1週間、学校の宿題を見たり、何かを見てサインしたり、記入したり、プリントを読んだり娘のスケジュールを確認したりが何もなかった。何もない日々はとても原始的で、いま少し悲しいのは、この生活を手放すことだ。私も娘も家の中が大好きなので、外に出られないのは何も苦ではなかった。

実物を見ないとイメージが湧かなくて、ネットスーパーで買い物をするのは苦手だ。コロナになる前に八百屋で買った、大根、白菜、キャベツ、ネギが野菜室にゴロンとしているけれど、今日もお腹がすいているし、昨日までも、食べるものがなくて途方にくれていた。野菜があっても、ダメなのだ。料理をするくらいならば、空腹を我慢したほうがマシ、な体調なのだから。

夫は、放っておいても私ならば自分でなんとかする、とわかっているからなのか、実になるものは全く買ってこない。昨晩買ってきたのはアイスで、今日も冷凍庫には2つアイスがあるけれど、私たちは熱があるわけでもないし、療養にワクワクしている段階でもない。普通に、すぐに食べられる、簡単でおいしい何かを買って来いや、何も言わなくても買って来いや、
1から10まで言わせんな、と今すぐにでもメールを連打したいくらいだ。本当にアイツなんの役にも立たない。

今日は私の習い事の日。容態に不安があれば休もうと思っていたけれど、いつものように自転車かっ飛ばして行くのは無理だとして、ゆっくり歩いて電車を使えばなんとかなりそう。それに、思考停止している頭をそろそろ動かさなければならない。

何日も家にいたけど、本も何も読めなかった。本を手に持って字を追う、そんなことは無理だったのだ。じっとしていると、通りの悪い鼻が気になって、そしてそのうちに息のことが気になり、死ぬのが怖くなった。

私はどんなふうに死ぬのだろう、と考えた。みんな死ぬ前の恐怖を乗り越えないと死ぬこともできないのだ。何事も試練ばかりで、人間は大変だとしみじみ思う。

コロナに罹患する前に、吟味して選んだパソコンが届いた。いま使っているパソコンはムスメが生まれる前、これからは何かと忙しくなりそうだから、と初めて買ったノート型だ。そして今回は久しぶりにデスクトップを選んだ。
廊下に積み上がった巨大な箱にたじろぐ。
パソコンを組み立てる、そういえばそれが一番嫌なのだった。
昨日より元気になったけれど、私はまだまだパソコンを組みあげるほどには元気ではない。

Amazonで買った、やや怪しいコロナの検査キットで確認すると、陰性だった。

習い事に行くために、久々に歩く。足も腕も重いし、胸は苦しい。
でも大丈夫だ。
もうコロナの免疫がある、というのも気を強くしてくれる。
脱皮して外側の薄い膜を脱ぎ捨てた、新しい自分になったような気もする。

帰りに無印でお菓子をたくさん買う。夕食はサミットで見繕う。
土鍋で米を炊く。
とても久しぶりに米を食べた気がする。

食後はパソコンを開いて、少し中を整理。新しいパソコンには、このパソコンをコピーしたくない。
必要なもの、キープするの、引き継ぐもの、を今月中に整理したい。

Amazonで娘のクリスマスプレゼントや、もろもろを購入。自分のプレゼントとして、60色の色鉛筆も買った。そろそろ絵ももっと描きたい。

10日目 回復


娘は今日までが療養期間だけど、pcrで陰性も出ているし、金曜日の今日くらいは学校に行ってほしいと思っていた。なのに2人とも寝坊して起きたら8時半だった。

慌てて起きて娘はタブレットを開いたけれど、今日はまったく授業を配信していないようだ。どうしたんだろう。オンラインでの配信のある無しで、学校との距離感が随分違う。

つい先日頼んだ東京都からの支援物資が届いた。段ボールにぎっちり詰まって二箱、二つともずっしり重い。開けると、こんなに?と声をあげずにはいられないほどの食糧が入っていた。

パックの米
ツナ、鯖缶、マンゴーの缶
レトルトのお味噌汁
レトルトカレー
どん兵衛 たくさん
リポビタンD
ドレッシング
混ぜ込みわかめ
アクエリアス
トマトジュース
サラダ用豆の水煮パック
お菓子
ゼリー
栄養補助スナック
レトルトのコーンクリームスープ
はるさめスープ

などなど、これだよ、こういうものが欲しかったんだよ!と叫びたくなるようなものが沢山だ。もっと初期の、どうにもならなかったときに頼んでおけばどれだけ助かったか。

私は一応夫もいるし、やろうと思えばネットスーパーも使えるから、と始めの段階で依頼しなかった事を悔やむ。旦那は「もう熱がさがったんなら大丈夫だな」とふざけたことを言い、素っ頓狂なものをポツリポツリと買ってくるだけだった。
 時間通りにお腹が空くし、オヤツも食べたい元気な娘に、一日3回食事の用意をしなければならないけれど、食べたい物もなければ、買い物にも行けないし、ネットスーパーは思いついた時に買うのでは遅い。それならもういいや、と私は豆腐や茶碗蒸しばかりを食べていた。

家に食糧があると安心する。しばらくは食事のことを考えなくてもいいというのが素晴らしいのだ。元気な時には そんなことにもちゃんと気が付かなかった。

たまに痰がからむ咳がでる。
それは気にやむほどの咳ではない。でも、咳をする度にみぞおちに違和感がある。息苦しさも、怠さもまだ解消されない。

私の療養は今日明けるけれど、体は古びたロボットみたいにきしんで、重く、直ぐに燃料が切れる。
会社にお勤めだったら、朝の通勤から就業時間まで、とてもじゃないけれど耐えられなかっただろう。それでも、会社の人は(1週間も休んだんだから)と罹患前と同じ状態に戻っていると思うに違いない。全然戻ってなんかいないのに。

コロナ療養期間が終わると、これからは何かあっても自由に病院に行ける。病院なんて普段は殆ど行かないけれど、行きたくても行けない、自分の力で治癒しなければならない、という状況はひどく心細くてつらくて悲しかった。こんな心細さのなかで、家で一人で戦って亡くなってしまった人が沢山いることが辛い。

夜は早く店を閉めて、ゆったりと過ごす。
確か私はそこそこ忙しかったけど、なんでそんなに忙しかったんだっけ?全部忘れてしまった。

11日目 復活

娘のバレエの練習があった。
私は自転車に乗って迎えに行く。
元に戻った、と実感する。もう怠くもないし、苦しくも無い、
よかった、ちゃんと普通に生きている。

やっぱりコロナは普通の風邪じゃなかった。
あんなに不安で心細くなることって、なかなか無い。
もう二度となりたくないな。

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